【対談】逹瑯(MUCC) × 櫻井敦司(BUCK-TICK)、異種格闘技対談-Ring 番外編「歯がなくなるまで噛み付こうと思います」

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■あるとき、自分という枠の中でやるのがベストなんだって悟った
■そうしないと、後々自分にツケが返ってくるので──櫻井敦司

──今日は、そんな少年逹瑯に戻って、櫻井さんにいろいろと普段出来ない質問をしていきたいそうですので、聞いてやってもらえますか?

櫻井:えぇ。なんでもどうぞ。

逹瑯:ありがとうございます! 昨日、“櫻井さんと何話したい?”って聞かれたんで、そんなのいっぱい話したいことあるもん!って思ったんですけど。……あ、そうだ! 今回はMUCCの逹瑯じゃなくて、まだBUCK-TICKのメンバーを呼び捨て出来てたあの頃のキッズに戻って質問させてもらおう!と。

櫻井:あははは。どうぞどうぞ。

逹瑯:キッズ逹瑯がBUCK-TICK櫻井敦司に訊きたいことってなんだろうな?って考えたんですよ、改めて。

──あ、呼び捨てた。

逹瑯:いやいや、今、キッズ逹瑯だから。MUCC逹瑯じゃないから! だから許されるの! 呼び捨てが許されるのって、ファンと先輩の特権だからね!

櫻井:あははは。たしかにそういう感覚ありますよね。

逹瑯:はい! 本当にそうなんです! それで、すっごい質問したいこと考えてたんですけど、今さらインタビューでも、もう訊かれなくなったであろうことを訊いてもいいですか?

櫻井:いいよ。何?

逹瑯:じゃあ、遠慮なく。櫻井さんがバンドを始められたきっかけって何だったんですか?

櫻井:僕も逹瑯くんと同じだと思うよ。僕たちにも当時、憧れがあって、そこに憧れる存在というのも居て。具体的なところで言うと、地元が群馬なんで、BOOWYっていうバンドが居て、“BOOWYみたいになれたらいいなぁ”くらいに思っていて。憧れとかカッコいいなって思うところから始まって、だんだんと自分たちの中に自我が芽生えてきて。“こうするより、こっちの方がカッコいいな”とか“こういうのはどうだろう?”っていろいろとチャレンジすることを覚えて行く中で、さらに新しくカッコいいと思えるモノを見つけていったんです。“おっ! なんだ、このバウハウスってバンド!?”とか“デヴィッド・ボウイって何!? カッコいい! なんだ、この感じは!?”って、だんだん興味が広がって、憧れが膨れ上がっていったんですよね。だから、最初はみんなと同じだと思うよ。

逹瑯:なるほど。俺なんて、櫻井さんの着てたマントみたいなロングコート、マネして作ってもらったんですよ!(※この対バンで衣装として着用)

櫻井:2002年の<TOUR WARP DAYS>とかで着てた黒のロングのかな?

逹瑯:そうですそうです! 俺もああいうの着たい!って、ワガママ言って作ってもらったんです!

櫻井:そうやって憧れてもらえるって幸せなことですよね。本当にそう思います。逹瑯くん、たっぱがあるからカッコイイよね。何でも着こなせるから。

逹瑯:いやいやいや。櫻井さんに言われちゃうと……。でも、めちゃめちゃ嬉しいです! ありがとうございます! あの、今、だんだんカッコいいと思えるモノが広がっていったっておっしゃってましたけど、BUCK-TICKもアルバムごとにスタイルがどんどん違う色へ変化しているバンドだと思うんですよ。その変化に毎回ウキウキさせられて、毎回アルバムが出るのが楽しみで仕方なかったんですけど。そんな流れの中で、他のメンバーさんが作られる曲の振り幅を、櫻井さん自身、“これはどうなんだろう?”って思われたことはなかったんですか?

櫻井:全然ありましたよ。自分の中で、“僕はこんなことも出来ますよ。ほら、こんなことだって”って無理していた部分があったんですけど、あるときから、自分は“自分”という枠の中でやるのがベストなんだってことを悟った時期があったんです。自分の知らないことは、自分が発してもまったく響かないんだなってことがわかったんです。なので、今は、どんなものが来ても、開き直るようになったんですね。アッパーで突き抜けるような曲であっても、精神世界にどっぷりと漬かるようなとことん暗い曲であっても、自分の中で納得して消化したモノを出すようにしていますね。そうしないと、後々自分にツケが返ってくるので。

逹瑯:なるほど。そういう意味で、櫻井さんが一番大変だったのはどの辺りですか?

櫻井:自分自身もそうだけど、バンド自体も手探り状態だった頃が一番苦しかったかな。そうだな、歳で言うなら、30代の前半くらいの何枚かはそういう状態でしたね。『COSMOS』(1996年6月21日リリースの8thアルバム)だったり、『SEXY STREAM LINER』(1997年12月10日リリースの9thアルバム)とか『ONE LIFE,ONE DEATH』(2000年9月20日リリースの10thアルバム)の頃かな。

逹瑯:え!? そうなんですか!? 俺、その辺りのアルバム大好きなんですけど!

櫻井:なるほど。それはきっと、あがいてるというか、模索しているというのを“S”な目線で見れていいんじゃないかな。

逹瑯:そうなのかもしれないですね。俺、「キャンディ」をテレビ番組とかで見て聴いたとき、サビがまず耳に残って、“おぉ~今回結構ポップなんだな!”と思ってCD買って頭から聴いたら、めっちゃマニアックだな!って。何コレ!? サビ以外のこの感じ、何!? ちょっと待って!みたいな。その衝撃が今でも忘れられないんですよ! このマニアックな流れってありなんだ!って。「SEXY STREAM LINER」のあの空気感とかもそうだったし、「ONE LIFE,ONE DEATH」もすげぇなって。「ONE LIFE,ONE DEATH」なんて本当に好きで好きで、東京来たばっかの頃、とにかく毎日聴いてましたからね!

櫻井:ありがとう。そうね、あの頃はとにかく試行錯誤していたというか。なんでもとにかくやってみたというか。自分たちのモノになりきれていないところも多々あるんだけど、そういうところも、聴いている人たちからしたらとても新鮮だったりしますよね。なんていうのかな、その不安定なところにグイグイ惹かれるというか。完成されていないもの故の魅力というのが、その当時の僕らの音にはあったのかもしれないですね。もちろん、僕ら自身もその頃の自分たちの音を否定するわけではないけど、やはり歌詞に関しても、自分の言葉としても核はあるんだけど、それ以外の借り物の言葉も使っていたりもしたし。いろんなことを試していた時代でもあったからね。30代前半から30代中盤くらいかな。ちょうどその頃くらいは、ずっとそんな感覚が続いていたかな。

逹瑯:ちょうど今の俺の年齢くらいですね。

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