【対談】逹瑯(MUCC) × 櫻井敦司(BUCK-TICK)、異種格闘技対談-Ring 番外編「歯がなくなるまで噛み付こうと思います」

ポスト

■幼少期に受けた刺激が今も変わらず僕の刺激になっているんだと思います
■人間の本質的なところが自然と表に出るようになったというか──櫻井敦司

櫻井:あ、そうなんだよね。さっき楽屋でYUKKEちゃんに聞いたんだけど、逹瑯くん、明後日(8月21日)誕生日なんだって?

逹瑯:あ、はい! そうです!

櫻井:おめでとう。いくつになるんだっけ?

逹瑯:35歳になります。

櫻井:一番いい時期だね。本当にそう思うよ。僕が35歳くらいの頃って、エネルギーも興味もいろんなところに行ってたから出来たと思うからね。

逹瑯:はい。本当にすごく今、いろんなことを吸収出来てると思うんです。俺はMUCCしかちゃんとしたバンドは経験もないし、ソロの経験もないんですけど、櫻井さんがソロをやられたときって、ご自身じゃなく、他の方に制作をお願いしていらっしゃったじゃないですか。そうした意味って何だったんですか?

櫻井:僕はシンガーで居たかったからかな。ずっとデビューの頃からやってくれていたディレクターが、“櫻井敦司というものが、いろんな人と絡んでいる作品を作ってみたかった”ってところから始まったモノだったりもしたからね。外国の方もいたし、いろんなジャンルの人たちも関わってくれていたので、まとまりという意味では難しいのかな?って思ったりもしたんだけど、自分という1つの柱がそこにありさえすれば、刺々しい枝も、美しい花も、その柱にくっついていくんだなって。すごくいい刺激になりましたね。初めて会った佐藤タイジだったりとか髭のメンバーだったりとか、自分が今まで知らなかった音がどんどん自分の中に入ってきて、体力的にはすごく疲れたんだけど、それが一番エネルギーをもらった瞬間でもあったし、逆にエネルギーを吐き出せた瞬間でもあったんですよね。バンドとは違う刺激的で魅力的な時間だったと思ってます。

逹瑯:すごいことですね、それって。今現在は、どんなところから刺激を受けられていたりするんですか?

櫻井:三つ子の魂百までじゃないですけど、いまだに幼少期に受けた刺激が、今も変わらず僕の刺激になっているんだと思います。その頃に見た景色とか、その頃に体験したこととか、家庭環境だとか。今までは、意識していなかったし、意識しないようにしてたところでもあったのね。もう過ぎ去った過去だし、わざわざ思い返すようなことも必要ないのかなって。でも、だんだんと自分が父親が亡くなっていく年代に近づいてきてきた今、育って来た環境だったり、味わった経験だったり、臭いだったり、肌触りだったりっていうすべてが核になっているなって感じさせられることが多くなったんだよね。今までは、そんな泥臭いところではなく、とにかく、お洒落にカッコ良くってところだけを目指していたところがあったんですけど、今は、人間の本質的なところが自然と表に出るようになったというか。それこそ、少年だった頃の櫻井敦司を、今、大人になった櫻井敦司が書いているという感覚になってきていますね。だから、新たに外から刺激を入れるとか、そういうところではないのかなっていう気がしていますね。

逹瑯:対自分というか、より深く自分を掘り下げるようになってきているということなんですね。

櫻井:そうですね。内向的なので、昔から。

逹瑯:なるほど。お話聞いてたら、ウチらというか俺と真逆なんだなって。ウチらは内側を吐き出すところから始まっていって、どんどん外側を内側に取り入れていくという流れに変化していったバンドでもあったんですよ。だから、今のお話の流れで言うと、ウチらもまた一周して内側を掘り下げるような時期がくるのかもしれないですね。

櫻井:そうだね。ループするモノなのかもしれないよね。基本そこでループしながらも、たまにどこかに旅に出る。そんな感覚なのかもしれないですね。

逹瑯:今のウチら世代のバンドは、櫻井さんたちに、どんなふうに映っているんですか?

櫻井:一番素晴しい時期だと思ってるよ。すごく勢いがあると思って見てる。20代30代っていうのは体力もエネルギーも吸収力もあるから、とにかくいろんなことにチャレンジして、いろんなことをやってみたらいいんじゃないかなって。でも、本当に自分の好きなことをやるのが一番だなって思いますね。自信って見ている側に絶対に伝わるからね。逹瑯くんの好きもとことん伝わってくるからね。

逹瑯:そうですね。そういう感覚って大事にすべきですよね。

◆インタビュー(4)へ
◆インタビュー(2)へ戻る
この記事をポスト

この記事の関連情報