母ちゃんのセンス満載、映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のサントラ、日本でもリリース

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9月13日(土)より公開される映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のサウンドトラックが日本でもリリースされることになった。

◆『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』サウンドトラック画像

8月1日に全米公開され、絶好調の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は、公開3週目にして『アメイジング・スパイダーマン2』を抜き、『トランスフォーマー/ロストエイジ』や『X-MEN:フューチャー&パスト』といったシリーズ作品を抑え、見事2014年全米No.1ムービーに躍り出ている。

そして同時に注目を集めているのが映画を彩る1970年代の名曲の数々で、これらの楽曲が収められたサウンドトラックはビルボードのアルバムチャートで2週連続首位を獲得し、大ヒットを記録したばかりだ。

このサントラは、映画の主人公ピーター・クイルが肌身離さず持ち歩く、亡き母の形見である母のカセットテープと同じ内容が収録されており、母ちゃんのセンス満載の懐メロの数々が満載だ。銀河クラスの名曲からきっと誰も知らない一発ヒットまで、映画の世界にズドンとハマってしまう選曲にあっぱれだ。各楽曲にまつわるエピソードや詳細は下記の通り。

●10cc「愛ゆえに(アイム・ノット・イン・ラブ)」
非凡メロディと実験的アートの世界を融合させた希代の名曲

1969年に英国マンチェスターで結成されたプロジェクトバンド、10ccの代名詞。美麗かつ特異な旋律と複雑で奥深いコーラスを生かした希代の名曲。1975年6月に全英1位(年間11位)、同7月に全米2位(年間42位)を記録したスーパーヒット曲でもある。日本でも食品、車など多くのメーカーのCMソングとして起用し続ける永遠の名曲だ。母が最期の時を迎える時に、主人公のピーターが病院の廊下でひとりヘッドフォンステレオを聴いているシーン。時代を象徴する懐かしいオレンジのヘッドフォンからこぼれ流れてくる永遠のメロディ。誰かを好きになっている自分を認めたくないし知られたくないという囁きが、目前で母親を失うピーターの悲しさを代弁しているようだ。壮大で幻想的な多重コーラスに包まれる男の子は泣かないの囁きも罪深い……今世紀最高の男泣かせ映画の幕開け曲としても(?)ニクイ演出。

●レッドボーン「カム・アンド・ゲット・ユア・ラブ」
昔も今もおもわず腰がくねり出す♪カマゲッチョラ~ヴ!

ロサンゼルスで結成されたポップロックバンド、レッドボーンの代表曲。1974年4月に全米最高5位まで到達、そのままラジオフレンドリーなロングヒットとなり年間チャートで堂々4位を記録した。ネイティヴ・アメリカンのみで編成されたバンドの初めて全米トップ10ヒット曲としてもチャート史に刻まれている。ピーターの宝物となった母親が遺した“最強ミックスvol.1”の中でもひときわ存在感を放つ1曲。宇宙をまたにかけるトレジャーハンターとなったピーターは、惑星モラグでパワーストーン、オーブを盗み出す時に、この曲のリズムに身を委ねノリノリになる。廃墟のなかでLOVE(オーブ?)を探してゲットする劇中前半のイカすシーンの立役者だ。

●ラズベリーズ 「ゴー・オール・ザ・ウェイ」
1970年代アメリカン・ロック史上最高のイントロギター

「オール・バイ・マイセルフ」(1975年)の大ヒットでも有名な天才メロディメイカー、エリック・カルメンが在籍したラズベリーズ(1970年にオハイオ州クリーブランドで結成されたロックバンド)の人気曲。'72年10月に全米5位(年間33位)を記録した。豪快なイントロから、ポップな雰囲気に様変わりする業はロックとポップスのエッセンスを併せ持つバンドの妙。惑星モラグから宇宙船で飛び立つシーンは、最高のイントロギターリフが後押しした。軽快なラヴソングながらも、行くところまで行くの全てをさらけ出してぇと聴こえる女の子の目線の際どい内容は、検閲が厳しい当時のイギリスでは放送禁止となった。何も気にしないで行っちゃえ!という気持ちの代弁か、向こう見ずな景気づけのロケット発射的ナンバーとしてのイメージ。

●ブルー・スウェード「ウガ・チャカ(フックト・オン・ア・フィーリング)」
日本では原題も原曲も知られてないけどみんな知ってる“ウガチャカ”

シンガーソングライター、B.J.トーマスのオリジナル版「Hooked On A Feeling」(1969年1月全米5位)を、イギリスの策士ジョナサン・キングが全く違う曲にアレンジ。白羽の矢を当てられた新人バンド、ブルー・スウェードが演奏し1974年4月にオリジナルをうわまわる全米1位(年間20位)を獲得し、スウェーデンのグループとしては初の全米制覇を成しとげた(アバは2番目)。日本では満島ひかり出演の飲料メーカーのCM曲としても記憶に新しい。宇宙最凶チーム5人の顔が出揃うキルン刑務所のシーンで効果的に多用されたが、看守がピーターのヘッドフォンステレオを勝手に借用してウガチャカを聴いている。Hookedは、“夢中”と“牢屋の鍵”のWミーニングなのかもしれない。

●ルパート・ホームズ「エスケイプ(ザ・ピニャ・コラーダ・ソング)」
70年代最後の全米No.1ヒットは、中年男の現実逃避ソング!?

英国発のシンガーソングライター、ルパート・ホームズが放った3分間の“名ドラマ”。自分の妻(ガールフレンド)に飽きて、新聞でピナコラーダが好きな女性を求めた。出会い募集を通じて約束のバーに行って見るとそこに現れたのは皮肉にも自分のガールフレンドだった。それがきっかけで二人は新しい場所へエスケイプする ……ボブ・グリーンのコラムのような甘口カクテルな歌声は、ラジオから火が点き、1979年のクリスマスに全米1位に到達、70年代最後のヒットチャートを制した。チーム5人で力を合わせて刑務所からエスケイプする緊迫シーンで使われるが、どこか懐かしき時代を想起させるミディアムテンポとのギャップが心地よい。ピーターは、かつて母と過ごしたホリデーシーズンを想い出しているのかもしれない。

●デヴィッド・ボウイ「月世界の白昼夢(ムーンエイジ・デイドリーム)」
ロックスター=ジギー・スターダストの月世界の白昼夢

グラムロック時代のデヴィッド・ボウイの傑作『ジギー・スターダスト』(1972年)収録曲。アルバムの3曲目で、架空ロックスター、ジギー・スターダストが初めて登場する必殺のナンバー。ロック然とした歌詞&語感をエモーショナルなメロディに乗せるセンスは昔も今も追随を許さない月面宙返り技。月世界の白昼夢でハイになろうぜ。ボウイの歌声をバックに、一行はオーブに大金を出そうという相手が待つ惑星ノーウェアに向かう。彼らは異星から来たスーパースターなのか、はたまた破滅者なのか……アルバム『ジギー・スターダスト』の世界観と重ねてみるのも面白い。

●エルヴィン・ビショップ 「愛に狂って(フールド・アラウンド・アンド・フェル・イン・ラブ)」
Superflyもカバーした1970年代の隠れた名曲

決して歌がうまいとは言えないブルースギターの名手エルヴィン・ビショップが、のちにスターシップのメンバーとなるミッキー・トーマスをボーカルに迎えて放った異色のポップナンバー。数えきれないほどの女の子と経験した、とモテる男を気取るラヴソング。1976年5月に全米最高3位(年間56位)を記録、エルヴィンの一世一代の一発ヒットでもある。
ピーターとガモーラがバルコニーでロマンティックな雰囲気になるシーンで登場する曲だが、二人の会話の話題はなぜか時代も音楽も関係ない映画『フットルース』(1984年)に。唯一の共通アイテムは、ヘッドフォンステレオ。懐かしいアイテムにニヤリとしとした方は、ピーターと同じくケビン・ベーコンがお好き?

●ザ・ランナウェイズ 「チェリー・ボム」
世界で一番最初に成功したガールズロックバンドの代名詞

オールガールズロックバンドの先駆けにして伝説となったランナウェイズの代名詞。16歳のボーカル、シェリー・カリーが下着姿で♪チチチチチ チェリーボム!と叫ぶ姿は、本国アメリカ以上に日本の洋楽ファンを悩殺。1977年来日時のNHKの歌番組は放送事故を恐れてロングショットで対応したことは有名なエピソード。チェリー・ボムは子供が遊ぶサクランボの形をした爆竹のこと。一度火が点いたらもう止められないという解釈だとすると、ピーター達の出撃シーンで大き目のボリュームでスクリーンを賑わせたことは納得。チーム5人と同じように、ランナウェイズがジョーン・ジェットやリタ・フォードというチームという枠には収まりきれない強烈なキャラクターを擁していたこととも無縁ではないのかもしれない。

●ザ・ファイヴ・ステアステップス「ウー・チャイルド」
ソウル系アーティストにカヴァーされ続ける屈指の名唱

1965年にシカゴで結成されたR&Bファミリーグループ、ザ・ファイヴ・ステアステップスのヒット曲で、1970年7月に全米8位(年間21位)を記録。バーク夫妻が上から5人の子供たちを並べ、違い過ぎる背の高さを見て「5階段だね」とつぶやいたことから始まるグループ名だった(最終的には11名の子供達が入れ替わるモーニング娘。状態)。地上戦で敵の気をそらすために、ピーターが子供に優しく語りかけるように歌うこの曲は、終盤のハイライトを演出する。劇中のピーター、ガモーラ、ロケット、グルート、ドラックスも「5階段」に見えてしまうのは、筆者だけだろうか。

●マーヴィン・ゲイ&タミ ―・テレル「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」
後発のお手本となった世界最高のデュエット

1960年代最多のヒット曲輩出レーベル、モータウン・レコードが放ったデュオ、マーヴィン・ゲイ&タミー・テレルの代名詞。1967年7月に全米19位を獲得(R&Bチャートでは3位)。記録以上に記憶に残るヒットとなった名曲は、ダイアナ・ロスも単独カヴァーし1970年9月に全米1位を記録した。ピーターが母親の死の直前に受け取ったプレゼントと手紙を確認するラストシーン。高い山、深い谷、幅広い川があっても、私があなたのところに行くことを妨げることはできないと励まされる歌声がスクリーンを包み込む。

●ジャクソン5 「帰ってほしいの(アイ・ウォント・ユー・バック)」
マイケル・ジャクソン伝説の正真正銘の原点

1960年代を席巻したマーヴィン・ゲイ、ダイアナ・ロスの意志を継ぎ1970年代の幕開けと同時に時代の寵児となったジャクソン5。1970年1月に全米1位(年間28位)を記録したスーパーデビューヒット曲。11歳のマイケル・ジャクソンが何の楽器にも代えがたい声という天賦の才を遺憾なく発揮している。エンドロールに入る直前、新たな気持ちでガーディアンズたちが宇宙船で旅立って行くシーン。“ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー2(仮)”としての次作への観客の願いの代弁か。はたまたマイケル・ジャクソンの現世降臨の期待か……「帰ってほしいの」は様々な想いを乗せたエンディングとなったようだ。


『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:最強ミックスVol.1』
1.ウガ・チャカ(フックト・オン・ア・フィーリング)…ブルー・スウェード
2.ゴー・オール・ザ・ウェイ…ラズベリーズ
3.スピリット・イン・ザ・スカイ…ノーマン・グリーンバウム
4.月世界の白昼夢(ムーンエイジ・デイドリーム)…デヴィッド・ボウイ
5.愛に狂って(フールド・アラウンド・アンド・フェル・イン・ラブ)…エルヴィン・ビショップ
6.愛ゆえに(アイム・ノット・イン・ラブ)…10cc
7.帰ってほしいの(アイ・ウォント・ユー・バック)…ジャクソン5
8.カム・アンド・ゲット・ユア・ラブ…レッドボーン
9.チェリー・ボム…ザ・ランナウェイズ
10.エスケイプ(ザ・ピニャ・コラーダ・ソング)…ルパート・ホームズ
11.ウー・チャイルド…ザ・ファイヴ・ステアステップス
12.エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ…マーヴィン・ゲイ&タミ―・テレル
9月10日(水)よりiTunesほかにて配信開始

映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
子供の頃に地球から誘拐された、宇宙一運が悪いトレジャー・ハンター、ピーター・クイル。ある日、彼は巨万の富を夢見て、無限の力を持つパワーストーン<オーブ>を盗み出す。だが、オーブを狙う“闇の存在”から命を狙われ、セクシーな暗殺者、復讐に生きる破壊王、さらに凶暴なアライグマ&歩く植物という、史上最もヒーローらしくない仲間たちと“宇宙最凶チーム”を結成。銀河存亡を懸けた無謀すぎる戦いと、ありえない冒険に挑む。
(原題:The Guardians of the Galaxy)/全米公開:2014年8月1日
監督:ジェームス・ガン
製作:ケビン・ファイギ
出演:クリス・プラット/ブラッドリー・クーパー/ヴィン・ディーゼル/ゾーイ・サルダナ/デイヴ・バウティスタ/ベニチオ・デル・トロ
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ
公式サイト:marvel-japan.jp/GOG/
(C)2014 Marvel.All Rights Reserved.
marvel-japan.jp/GOG
9月13日(土)2D/3D ロードショー
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
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