Berryz工房と℃-ute、“後悔なんてしたくないから”日本武道館で「忘れたくない夏」

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最後に、客席一面が、各メンバーカラーの色に変わり、幻想的な空間を生み出す中でのラストMCを紹介しておこう。

「いやー、もうほんとに緊張しました。でも去年の11月29日に武道館でやらせてもらったときよりも、緊張したんですけど、すごくなんか、冷静に自分を保つことができたんじゃないかなと思います。あらためて、ま、ダンスはちょっと苦手なんですけど、歌うことも、みんなでパフォーマンスすることも、本当に楽しいなってあらためて感じた一日だったなって思います。」と、菅谷梨沙子。さらに来春、Berryz工房が無期限の活動停止に入ることに触れ、「それまでみんなで力合わせて頑張りますので、それまで応援よろしくお願いします。」と結んだ。

10ヶ月前の初日本武道館単独公演にて、興奮のあまり舞台袖の階段で転んでできた傷がまだ残っているという熊井友理奈。「傷が残っているうちに、もう一度この夢の舞台に立てて、傷残っているのはショックだけど、ある意味、すごい早い期間でまたステージに立てたので、ほんとにすごい幸せだなって思います。」と、充実した表情を浮かべる。そして、このアイドル界のスカイツリー(公称176cm)は、武道館をぐるりと見渡して、「ほんとにこの(武道館の)景色が最高で、私は今、ここにいれて、本当に幸せものだなと心から思いました。ほんとにほんとに、素敵な一生の“思いれに”……うううー。」と、大事なところで噛んでしまい、悔しさを滲ませるのであった。

そして雅ちゃん。「みんな、楽しかったー?」という、このテンションが上がりきった声を耳にした瞬間、クールビューティーにチラリとセクシーも覗かせている普段の彼女……ではなく、後輩たちと一緒になって騒いでいる子供っぽい雅ちゃんになっていることに誰もが気づいたはず。さらに雅ちゃんは「Berryz、大好き? miyaのことも大好き?」と訊ねる。言うまでもなく1万人分の「大好き!」の声が、塊となって雅ちゃんに返ってくる。ここで「どのくらい好き?」と訊かれたら、ストレートに「世界で一番」と即答すべきか、それとも「もしも雅ちゃんがチョコレートだったら、頭から一気に食べちゃいたいくらい」と、ライブ前半のお菓子ネタを持ち出すべきか、はたまた「一言では言い表せないから、これから先、握手会やイベントで会うたびに少しずつ伝えていくよ」と言うべきかと考えを巡らせた人もいたかもしれない。が、そんな心配をよそに、雅ちゃんは「ありがとう。miyaもみんなが大好きって思いました!」と、とびきりの笑顔を弾けさせる。そして、「同じ場所にみんなが集まることってすごいなって思って。きっと、まったく同じ人たちがこうやって集まることってないと思うんですよ。だから、この瞬間はほんとに大事な瞬間だなって思うので、みんなにも忘れてほしくないなって思いました。」と、語りつつ、「それでね、素敵なこのステージ上で、アレやりたいなーって思って。」と、観客の期待感を煽る。センターに歩みを進めた雅ちゃんは、「シャキーン!」と(自分で言いながら)右手の人差し指をピンと伸ばす。そしてフランスの人たちをも虜にした伝家の宝刀「みやビーム」を客席の端から端まで発射。観客ひとりひとりは、声を上げながら雅ちゃんに染まっていったのであった(ラストに雅ちゃんからの投げキッス付き)。

雅ちゃんによって会場全体が火照ってしまった中で、「みなさま、本日はどうもありがとうございました。」と、いつもどおりの堅い挨拶を行なう須藤茉麻。雅ちゃんとのギャップに笑いが起こる。須藤は、前回の武道館公演の際に、スタンドから写メを撮りながら「きっと最初で最後なんだろうなぁって心の何処かで思ってしまった自分がいた」と語り、そして「今日はこうやって2年連続でこんな素敵な場所に立ってることができたのは、本当に皆様のお陰です。どうもありがとうございます。」と頭を下げる。さらに、「みなさん、今日この後、思い出に浸りながらにやにや帰るもよし、だけど、帰るまでがコンサートだから、羽目外さず、帰るための体力だけ残して、最後まで楽しんでいってください。」と、さすが“Berryz工房の母”らしく締めくくった。

「始まる前からお家に帰りたくなっちゃうくらいすごい緊張していた」と、徳永千奈美。「でも、始まったらすごいあっという間で、もっともっとこのステージにずっと立ってたいなって。あと、6時間くらい立ってたいなって思ったんですけど。」と具体的な延長時間まで出すものの、それまで体力が持たないと即、却下。そして、13年間一緒だった℃-uteと、活動休止までの期間、どれだけ一緒のステージに立てるかはわからないものの、この日のステージで一緒に立てた時間は本当に幸せだったと振り返り、「残りの時間も目一杯楽しみたいと思います。」と、これからの意気込みをあらためて語った。

嗣永桃子は、活動休止を発表して以降、メンバーといる時間が大切なものだと実感したと話し始める。さらに「大好きな歌やダンスを……まぁ、りーちゃんが言ったように私もダンスはちょっと苦手なんですけど、その、歌もなんだけど、じゃあ何が得意なんだって言ったら、可愛さくらいしか取り柄はないんですけど。」と、畳み掛けようとするも、そこはしっかり「えー」と声を上げて抗議の意を示すオーディエンス。「いいじゃん、謙虚にひとつにしたんだからさぁ。なんですけど、こうやってBerryz工房でステージに立つのって楽しいな、アイドルって楽しいなってあらためて思いました。」「道重さんは40代みたいとかおっしゃってましたけど、今日のこの思い出は、40代50代、100歳になっても忘れられない思い出になったなって思います。そしてみなさんにとってもそうであってほしいなって思いました。」と、気持ちを素直に伝えたももち。「私なんでこんなマジメなこと言ってるんだろう。」と、割りと本気で照れる。しかし、「(普段との)ギャップでイチコロにしないとね。ファンのみなさんを。」と、口にしたところで、「それはどうかな。」と、鋭いツッコミのように聞こえて、実は普段のももちのペースに戻す、助け舟のような一言が飛んでくるのであった。もちろんその発言の主は、雅ちゃんである。

そしてキャプテン・清水佐紀は、こんな言葉を口にする。

「この景色をまた見ることができて、ほんとに幸せだなって思いますし、いやー、生まれてきてよかったなとも思うし、キッズオーディションを受けてよかったなとも思うし、こうやってBerryz工房、℃-uteメンバーに出会えてよかったなーって思うし、このキッズ、Berryz工房になってなかったら、みなさんにきっと出会えてなかったんだろうなって思うと、あー、なんか……よかったな、やってきてって思うし。残りの約半年間を今まで以上に大事にしていきたいと思うんです。」── 清水佐紀

人生に「もしも」は存在しない。しかし、もしも清水佐紀がこの時代に生を受けなかったら、キッズオーディションを受けなかったら、Berryz工房と℃-uteが出会わなかったら、Berryz工房がこのメンバーではなかったら……。

「同じ場所にみんなが集まることってすごいなって思って。きっと、まったく同じ人たちがこうやって集まることってないと思うんですよ。だから、この瞬間はほんとに大事な瞬間だなって思う」と、夏焼 雅も話したように、この瞬間とは、言ってしまえば、たくさんの運命や偶然、そしてひとりひとりの選択から生まれた、奇跡のようなものである。

そしてBerryz工房が決断した来春での無期限活動停止。これまでの選択の数々が次の偶然を呼び込み、この日の奇跡と笑顔につながったように、この決断もまた、新たな偶然を巻き込んで、次の奇跡と彼女たちの笑顔に、きっとつながっていくのである。



なお、ライブ中には、Berryz工房のニューシングル「永久(とわ)の歌/ロマンスを語って」(※曲順未定)の11月12日リリースも発表された。

text and photo by ytsuji a.k.a.編集部(つ)

◆BARKS Kawaii
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365日、アイドルが作るアイドルメディア Pop'n'Roll 準備号創刊

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