【イベントレポート】<MONSTER BOX Vol.02>、閉塞感をぶち壊す意思表示「もっとアゲていこうぜ!」

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既存のジャンルを破壊すべく、2014年2月に新木場STUDIO COASTにて産声をあげたイベントが<MONSTER BOX>だ。今回は全8ヶ国13公演という欧州ツアーを大成功させ、新作『gravitation』リリース間近のギルガメッシュを中心に、そのVol.01とVol.2が9月6日および7日の2DAYSにわたって渋谷WWWで開催された。両日ともに3時間を超える激戦となった<MONSTER BOX>をレポートしたい。初日に続いてはシーンの閉鎖感を打破したVol.02の模様をお届けする。

◆<MONSTER BOX Vol.02>出演者 拡大画像

二日目の出演バンドを形容する言葉はいくつかあるが、決してでひと括りにはできない振り幅がある。普段のフィールドですら、なかなか重なることもない。だが、それが他にはない極上の刺激を生み出すのだ。この日はTOKYO BOOTLEGの2人が開幕DJを飾り、様々なサウンドスタイルが交錯する<MONSTER BOX>ならではの多彩なプレイを披露した。早くから会場に詰めかけたオーディエンスの期待感を高めていく。

そんな流れを受けて飛び出してきたのが、福岡からやってきた彼女 in the displayだ。"変わり続けてきたからこそ変わらずに生きてきた"という彼ら。単純なカテゴライズにハマならない音を鳴らしているバンドだけあって、このイベントにはまさに打ってつけ。颯爽とステージへと飛び出してきた武藤(Dr)の右肩にはマジックでメタルと書いてあるという遊び心もあり、ライヴ前からワクワクが止まらなかった。

「メッチャ楽しみにしてきたぞ!バカみたいに騒いでいこう!」

と稲木が叫び、「まずは小手調べに汗をかいてもらってもいいですか?」と「Unlimited」のダンサブルなビートでフロアを高めた。盛り上がったオーディエンスが「Black Hawk Down」では盛大なジャンプとコールを見せる。聴く者へ呼びかけるような稲木の歌も相まって、より一層の一体感が築き上げられていく。それぞれのメンバーがグッと何か噛み締め、稲木もマイクを両手で握りしめて熱唱した"決意の歌"という「Determination」の求心力も秀抜だ。同曲の終わりに稲木がつぶやいた「何も否定しない」という言葉、そして「GOLD EXPERIENCE」の前に「迷ってばっかのオレらだけど、それでいいと思ってます。迷うのってさ、楽しいんだ!」という言葉。そこに嘘はないだろう。彼らとは言葉を交わしたことがないが、このライヴを観ただけでそう確信できるほど、澄んだ決意が浸透していく。

終盤は、ここぞとばかりに驀進し、フロアをかき混ぜまくった「The straight edge dance party」と「Crazy Diamond」でボルテージもマックスへ持っていき、激しさと多幸感がミックスされた「ECHOES」でトドメをくらわす。鮮烈なインパクトを残すステージだった。

「最後まで休憩はありません!」とO-antが叫び、TOKYO BOOTLEGが間を繋いだ後に登場したのがLUNKHEADだ。おそらく、両日の出演バンドの中でもいちばん異色だったのではないだろうか。だが、その空気こそ、彼らの大好物か。「これまでになかったかも」とメンバー全員が同じ<MONSTER BOX>のイベントTシャツをまとい、やってやるという意気がビシビシと感じ取れてしまうほど。

山下(G)が高く右手を上げて始まったステージは、まさに彼らならでは。ロックバンドとしての佇まいが震えるほどカッコよく、1曲目の「閃光」から最高のスタートを決めた。山下と小高(Vo/G)のギターの絡みで一気に引きこまれ、骨太でドラマティックなリリックが心に響く「体温」へと続く。やはり、このバンドは強い。どっしりとした芯があり、普段とは違うであろう空気にも動じないのだ。小高が「オレらはオレらでみんなを楽しませて帰るんで、よろしくお願いします」とMCで言っていたが、その裏を返せば楽しませる自信があるということ。当然というべきか、その言葉にたがわず、LUNKHEADたるパフォーマンスを見せつけていく。

特に秀逸だったのが「夏の匂い」のクライマックスだ。音が止まり、小高がアカペラで歌い上げたシーンには、思わず息が止まりそうなほどハッとしてしまい、目頭が熱くなってしまった。そこから、彼ら流のお祭り騒ぎである「スターマイン」へ。祭り囃子的なギターが鳴り響いたかと思えば、小高が"祭"と大きく書かれた団扇を振り、オーディエンスも拍手喝采。身も心も踊るこのイベントにふさわしい曲だろう。もちろん、そういった楽しさだけではなく、タフな疾走感も持ち合わせた実に彼ららしいナンバーだった。

そのノリのまま、いきなりぶっ壊れたテンションで突っ込む「螺旋」もまた凄かった。合田(B)はサイドステップで暴れまくったかと思いきや、ステージを駆け巡り、他のメンバーも呼応するようにグイグイと迫りまくる。この心地よい重圧はいったい何だろうか。そんなことがずっと頭をよぎっていた。

「つまんないこと、悔しいことばっかりで、それをぶち壊したくて、何か伝わればいいと思ってやってきた。これからもずっと一緒に」。最後は小高の願いから、希望に満ちた「いきているから」へ。常に前を向いて歩みを止めない彼らだからこそ響く、どこまでも鮮烈で美しい景色が広がっていった。

DJ狂犬がメタルナンバーでさらに会場の空気を熱くさせていったところ、<MONSTER BOX Vol.00>に出演したROACHのtaamaがいきなり会場に乱入し、フロアへダイブ。こんな嬉しいアクシデントも、いろんな想いがクロスオーバーするこのイベントならではであろう。大盛況という言葉だけでは伝えきれないほどの熱気に満ち溢れ、何かに偏ることなく、多面的な世界観に酔いしれるフロアいっぱいにひしめき合ったオーディエンスの前にいよいよトリの登場だ。

初日に引き続いてラストを締め括るのは、主催のギルガメッシュ。メンバーがステージに現れる前からフロアの熱は相当に高まっているのだが、その沸点を軽々と超えさせるのが彼らの持つ力。心の準備は当然できているであろうと、「Break Down」、「Drain」、「gravitation」といきなり3タテで襲いかかってくる。ヘヴィなサウンド感はもとより、そのグルーヴが破壊力満点。会場は興奮のるつぼと化し、そこら中でモッシュが起こるわ、大声で叫ぶわ、手の付けられないグチャグチャな有り様だ。

それでもまだ飽きたらず、左迅が「もっとアゲていこうぜ!」と呼びかけ、「DIRTY STORY」をぶっ放していくのだから凄まじい。フロアからは力いっぱい握りしめられた拳が前へ前へと突き出され、耳をつんざくようなコールも巻き起こっていく。その強烈な盛り上がりに終盤かと思い違ってしまうほどだ。

当然、まだまだ彼らは走りだす。適度な重厚感とワクワクするニュアンスがたまらない「INCOMPLETE」、ライヴにおける代名詞ともいえる「Live is Life」を放って、より狂ったような激情を生み出し、軽快なメロディーで会場を包み込む「Never ending story」から「evolution」へ。もはやパニック状態といっても過言ではない状況を作り出し、「お前に捧げる醜い声」で最高潮のフィナーレへ。

最後に左迅がステージ中央に立ちはだかり、メロイックサインを突き出した後、中指を立てた。これは既存のシーンにとらわれることなく、いつだって見えない壁にあらがっているバンドの意志表示に違いない。音楽を愛すべき者すべてにとって、いつでも思い返すことができる名シーンで幕を閉じた。

ギルガメッシュは9月24日に『gravitation』をリリースし、同アルバムを引っ提げた全国ツアーも予定している。ツアーには<MONSTER BOX>を彷彿とさせる多彩なゲストバンドが顔を揃えることも発表されており、シーンにはびこる閉塞感を彼らがぶち壊していく。

取材・文◎ヤコウリュウジ

■<MONSTER BOX Vol.01>
9月6日(土) 渋谷WWW
OPEN/START:17:30/18:00
[ACT] ギルガメッシュ / NOCTURNAL BLOODLUST / BugLug
[DJ] DJ狂犬(LOUD ROOTS) / TOKYO BOOTLEG

■<MONSTER BOX Vol.02>
9月7日(日) 渋谷WWW
OPEN/START:17:30/18:00
[ACT] ギルガメッシュ / LUNKHEAD / 彼女in the display
[DJ] DJ狂犬(LOUD ROOTS) / TOKYO BOOTLEG

■<girugamesh 2014-2015 tour「gravitation」>
10月04日(土)渋谷clubasia w/ ALL OFF、JAWEYE
10月11日(土)大阪umeda AKASO w/ ALL OFF、ヒステリックパニック
10月13日(月・祝)福岡DRUM Be-1 w/ ALL OFF / SILHOUETTE FROM THE SKYLIT
10月18日(土)名古屋CLUB QUATTRO w/ Another Story、ARTEMA
10月22日(水)浦和NARCISS w/ JAWEYE、ROACH
10月23日(木)郡山CLUB #9 w/ JAWEYE、ROACH
10月25日(土)仙台darwin w/ JAWEYE、KNOCK OUT MONKEY
10月26日(日)酒田MUSIC FACTORY w/ HenLee、Survive Said The Prophet
10月28日(火)盛岡Club Change WAVE w/ ARTEMA、Survive Said The Prophet
10月31日(金)久慈UNITY w/ MAKE MY DAY、Survive Said The Prophet
11月01日(土)青森QUARTER w/ MAKE MY DAY
11月03日(月・祝)札幌cube garden w/ ヒステリックパニック、MAKE MY DAY
11月05日(水)新潟CLUB RIVERST w/ JAWEYE、MAKE MY DAY
11月06日(木)金沢vanvan V4 w/ JAWEYE、MAKE MY DAY
11月08日(土)広島NAMIKI JUNCTION w/ 彼女 in the display、ROACH
11月09日(日)徳島club GRINDHOUSE w/ 彼女 in the display、ROACH
11月11日(火)松山サロンキティ w/ 彼女 in the display、ROACH
11月13日(木)京都 磔磔 w/ ALL OFF、SWANKY DANK
11月14日(金)松阪M’AXA w/ ALL OFF、SWANKY DANK
11月16日(日)静岡UMBER w/ ALL OFF、Another Story
11月18日(火)松本ALECX w/ ANGRY FROG REBIRTH、ROACH
11月19日(水)HEAVEN'S ROCK宇都宮VJ-2 w/ ARTEMA、ROACH
11月22日(土)名古屋Live Hall M.I.D w/ キバオブアキバ、ヒステリックパニック
11月25日(火)高崎club FLEEZ w/ a crowd of rebellion、SWANKY DANK
11月26日(水)浜松MESCALIN DRIVE w/ a crowd of rebellion、SWANKY DANK
11月29日(土)HEAVEN'S ROCKさいたま新都心 VJ-3 w/ Another Story
11月30日(日)F.A.D YOKOHAMA w/ Another Story、HER NAME IN BLOOD
and more...
前売¥3,500 当日¥4,000(税込・全立見・ドリンク代別)
※未就学児入場不可

■<girugamesh 2014-2015 tour「gravitation」>FINAL ONEMAN
2015年3月14日(土)新木場STUDIO COAST
OPEN 17:00 / START 18:00
(問)DISK GARAGE 050-5533-0888
2014年12月6日(土)チケット発売
前売¥4,500 当日¥5,000(税込・全立見・ドリンク代別)
※未就学児入場不可

◆BARKS内<MONSTER BOX>特設ページ
◆MONSTER BOX オフィシャルサイト
◆ギルガメッシュ オフィシャルサイト

◆<MONSTER BOX Vol.01>レポートへ
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