【インタビュー】ボヤケルズ、東京2年生になった”お芋ロックバンド”の美味しさに迫った 後編

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9月10日に2ndミニアルバム『ビヨンド』をリリースした“お芋ロックバンド”ボヤケルズ。今回お届けする、わかまつごう(Vo/G)への独占インタビュー後編では、前編に引き続き東京でバンドとして明確な進化を遂げた彼らの美味しさに迫る。上京2年目に入り、様々な経験をした彼らが『ビヨンド』制作の中で見出した新たな楽しみとは。

◆ボヤケルズ 画像

■前作は天然でやって、ある意味“作れた”というアルバムだったのが、今回は“作り上げた”アルバムっていう気がしてます。

──前回のインタビューでもちょっと話が出ましたが、2ndミニアルバム『ビヨンド』でまず驚かされるのは、1曲目の「マーブル」ですよね。これは今までのボヤケルズのイメージを突き破るようなシリアスなロックチューンで。


わかまつごう:そうですね。曲自体は結構前からあったんですけど、この感じはボヤケルズっぽくないなと思って、それまで自分で勝手に遠ざけてたんです。でも今回、新しいアルバムの曲はどうしようか?って、みんなで会議をした時、一応デモがあったので出してみたら“これいいんじゃない?”みたいな話になって、じゃあちょっとやってみようかと。ただ、単純に速いじゃないですか、スピードが。で、ドラムの千穂里ちゃんはこういうリズムを叩くタイプのドラマーじゃないんですよ。だから、とりあえずってことで叩いてもらった時に、みんなから笑いが起きちゃう、みたいな。「すごい速いね! こんな速い千穂里ちゃん、初めて見た!」みたいな(笑)。

──でも、すぐ叩けたんですか?

わかまつごう:叩けてました。叩けてたんだけど、“すごい”というよりは“面白い”みたいな(笑)。ドラムに限らずギターもベースも、今までやったことがないような曲調だし、最初はなんだか馴染んでなかったんですね。で、曲自体は前に作ったものとはいえ、今のボヤケルズとしてちゃんと消化して出したかったので、そこからみんなで細かいとこまでこだわって詰めていったんです。途中千穂里ちゃんと「あ〜もう、そんな細かいことまで言われるんならやらない!」「まぁまぁ落ち着いて。僕もイジワルで言ってるんじゃないから」みたいな会話もありつつ(笑)。最終的には今までにないような曲調ではあるけれど歌が始まるとちゃんとボヤケルズだねっていう曲になったし、バンドの幅もこれでぐっと広がったので、満足のいく1曲になりました。

──他に今回、ボヤケルズとして新たなトライをした曲というと?

わかまつごう:今回はどの曲も細かい部分にまでこだわって作っていったんですよ。前はただ自分が気持ちいい音を鳴らしてたんですけど、ボヤケルズは歌を強く出していきたいバンドですし、だとしたら歌を引き立てるってことをもっと考えた音作りをしようと思って。

──制作する上で意識も変わったんですね。

わかまつごう:そうですね。だから前作は天然でやって、ある意味“作れた”というアルバムだったのが、今回は“作り上げた”アルバムっていう気がしてます。

──より意志的になった。

わかまつごう:はい。それはやっぱり、東京で過ごして、エンジニアの人とかプロフェッショナルの人達と話したことも大きいし、ライヴでお客さんと触れ合って、伝わることの楽しさに改めて気づいたってことも大きいと思うんです。前は“楽しいのがいいよね”と思ってやってたんですけど、伝わった方がより楽しいってことに気がついて。

──確かに、やってて楽しいっていうより、伝わって楽しいっていう方が、楽しさの度合いは大きいですよね。

わかまつごう:そうなんですよ。だからレコーディングでも伝えるための努力をして、メンバーそれぞれ頑張ったし。例えばベースの史郎くんだったら、いろんな音の入れ方を考えたりとか。あと、歌詞で言うなら、今回「run run run」という応援歌的な曲が入っているんですけど、これなんかも僕にしてみれば挑戦で……。僕は性格的に“人のことを勝手に応援してもなぁ……”っていう部分があったりするんですね。根っこのところがちょっとヒネくれてて(笑)。

──そうは見えないですけど。

わかまつごう:実はそうなんです(笑)。でも今回そういう曲も作ってみようか、という気持ちになりまして。ただ、最初は応援歌として漠然としてたというか……。僕は歌詞を書く時、柔らかい言葉で人の心を刺せたらいいなっていうのが自分のテーマとしてあるんですよ。誰もが知ってるような言葉で人の心に沁み込めばいいなって。例えば「線路はつづくよどこまでも」とか「ちいさい秋みつけた」とか、ああいう曲って使ってる言葉はシンプルだけどスッと心に入ってくるし、すごく沁みるじゃないですか。ああいう童謡みたいな簡単な言葉で伝えたいなっていう。

あと、「マーブル」じゃないですけど、赤だけじゃない何と言っていいかわからない感情を、季節とか景色を借りて伝えていきたいなっていうのもあって。でもそればっかりだと、僕の書く歌詞ってフワーッとなっちゃうんですよね。“夕焼けが綺麗だ云々”みたいな、気づけばそんなのばっかりになってて、事務所からも「夕焼けはもういいよ」みたいな(笑)。僕としては「もうちょっと夕焼けを掘り下げましょうよ」みたいなところもあるんですけど(笑)。まぁせっかくなら今まで自分が作ったことないような応援歌……人に何かを与えつつ自分も頑張ろうっていう気持になれる曲を作ろうと思いまして、「run run run」っていう曲を書いたんです。だから歌詞的には地味ですけど、自分的には今までやったことのない歌詞で、ここは僕の中で頑張った部分かなと。

──聴く人に手をさしのべてくれる「run run run」……あれもボヤケルズの新しい一面だったんですね。逆に、ボヤケルズ感満載の曲というと、前回のインタビューでも仰っていたように「ゆー」だったり……。

わかまつごう:「to the space」だったり。ライヴでワイワイ楽しめる感じの。

──「ゆー」はMVにもなってますけど、あのMVも楽しいですよね。メンバーが踊ってる姿を見るたび、自然と笑顔になっちゃいます。


わかまつごう:ダンスはね、最初、僕ら覚えようとしたんですよ。でも、見よう見まねでいいって監督さんに言われて。だから、赤い服のダンサーさん達はちゃんと踊ってるんですけど、僕らはヘタクソな感じで。

──でも、そのヘタクソな感じがいいなって。そこからボヤケルズのあったかさが伝わってきて……って、ホメてるんだかけなしてるんだか分かんない言い方ですけど(笑)。

わかまつごう:はははは! 今ハッキリ“ヘタクソ”って言いましたからね(笑)。

──失礼しました(笑)。

わかまつごう:いえいえ、大丈夫です(笑)。MVは「マーブル」って曲のミュージックビデオもありまして、そっちは真顔で演奏してるんですよ。だから「ゆー」と「マーブル」で、このアルバムの光と影じゃないですけど、ボヤケルズの明るい部分とシリアスな部分っていう二面性が出せたなと思ってます。

──うんうん。そしてアルバム後半に行くと、「砂時計」から「ときがたつってことは」の流れもいいし、全部を聴き終えた時、すごく余韻が残ります。

わかまつごう:最近“時が経つ”ってことをよく考えてまして、このアルバムは“時”がテーマになってる曲も多いんですよね。時が過ぎるのは当たり前のことで、でも何か淋しい部分もあるじゃないですか。それが儚く美しくも思えるし、もの悲しくもあるし……。でもせっかくなら昨日よりも前に進めたらいいなと思って、最後の「ときがたつってことは」は自分応援ソングにしたんですけど。

──「マーブル」から始まって、全体的にいろんな感情が表現されたアルバムになりましたね。

わかまつごう:そうですね。いい言い方をすればカラフルなんでしょうけど、まぁ、まだらというか、何色って言い切れないアルバムですよね。

──でも人間の感情ってそういうものだし、だからこそ、それが心にフィットするというか、沁みます。

わかまつごう:ありがとうございます! 人の心、人の生活に染みこむような音楽でありたいなと思っているので、そういう部分ではいろんな感情の曲を入れられたし、幅の広さも出せて、達成感はありますね、今。

──アルバムタイトルは、時を“越える”、何かを“超える”という意味の『ビヨンド』ですが。

わかまつごう:はい。タイトル通り、このアルバムで前作だったり前の自分達を超えたなっていう思いはすごくあります。あと、自分達がやりたいことを明確にできたなっていう思いもあって。前はあれよあれよという間にCDができて、地に足が着いてないお祭り感があったんですけど、今回は地に足を付けて、どういうことがしたいのかってこともすごく考えましたし、CDの中身とかも自分達のやりたいことを結構聞いてもらったりしたんですよ。歌詞カードは手書きにしたいとか、中にこういうことを入れたいですとか。だから進化もしたと思うんですけど、進化だけじゃなく、自分達が自分達らしくやりたいようにできて、今すごく楽しいです。よりボヤケルズになった……よりボヤケルズらしくなった、って自信を持って言えます。

──じゃあ、今作でバンドの土台が強固になって、東京での生活も地に足が着いてきて……これで千穂里ちゃんのホームシックも少しは治るかな?

わかまつごう:もう大丈夫だと思います。次にここに来る時は東京の女の顔になってます(笑)。

──そ、それはどうかな?(笑) ごうくんは?

わかまつごう:僕は都会のスーツが似合うような男になってるかもしれないですね。それか、アバンギャルドな格好をして現れるかもしれないです(笑)。

──そうなってない方がいいかも(笑)。

わかまつごう:はははは! なってないことを祈りましょう(笑)。

取材・文●赤木まみ

2nd ミニアルバム『ビヨンド』
2014年9月10日発売
¥1,620 (Tax in) / ARGT-0003
1.マーブル
2.to the space
3.ゆー
4.run run run
5.ゆっくりとさよならをとなえる
6.砂時計
7.ときがたつってことは

■2ndミニアルバム『ビヨンド』より収録曲よりiTunes限定で先行配信中&ミュージックビデオを公開中
★M-1「マーブル」
価格:¥200 ダウンロードURL http://itunes.apple.com/jp/album/id907001130

★M-3「ゆー」
価格:¥200 ダウンロードURL http://itunes.apple.com/jp/album/id906997268

<BSフジ ボヤケルズ特番>
「上京48日目」ツアーファイナル〜僕らの東京一年祭〜
放送日時:2014年9月13日(土)24:30〜25:25
ダイジェスト映像公開中

■1ndミニアルバム『上京48日目』収録曲ミュージックビデオ公開中
「うたはしなない」ミュージックビデオ
https://www.youtube.com/watch?v=8XIKSNFwbh8

<LIVE SCHEDULE>
9月
・17日(水)熊本TSUTAYA MUSIC CAFE MORRICONE ※わかまつごうソロ出演
・18日(木)福岡Music Bar SORA ※わかまつごうソロ出演
・19日(金)長崎Ohana Café ※わかまつごうソロ出演
・20日(土)鹿児島KTSテレビ主催「KTSの日」
・21日(日)鹿児島CAPARVO HALL  【2ndアルバム「ビヨンド」レコ発LIVE!!】
10月
・11日(土)大阪MINAMI WHEEL2014

◆ボヤケルズ オフィシャルサイト
◆ボヤケルズ Twitter
◆ボヤケルズ Facebook
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