【ライブレポート】ボストン、35年ぶりの来日公演スタート、色あせない名曲とワクワクする“スペース・サウンド”で武道館を歓喜の渦に

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1978年にデビューするや、立て続けに2枚のアルバムを世界的にヒットさせたボストンが、その勢いのまま初来日を果たしたのが1979年。それから実に35年の時を経て、2回目の来日公演がついに実現した。10月2日、初日の日本武道館では、今なお色あせることのない70年代の名曲を中心に、ワクワクするような“スペース・サウンド”を披露して満員の聴衆を歓喜の渦に包み込んだ。

◆ボストン@日本武道館~拡大画像~

日本武道館の客席は早くから満員のオーディエンスでぎっしりだったが、ライヴは開演時刻を20分ほど過ぎてもまだ始まらない。今でこそ開演時刻ぴったりに始まるのが当たり前だが、70年代の海外アーティストのライヴはこれが当たり前だった。開演を促すように客席から手拍子が起こっていたのも、70年代を思い起こさせる。もう待ちきれない、そんな雰囲気の中、いつものようにノースリーブのシャツを身につけ、ゴールドトップのレスポールを抱えたトム・ショルツが登場すると、大歓声が沸き起こる。そしてあの特徴的な分厚く歪んだギターサウンドに導かれて「Rock and Roll Band」、ノリのいいナンバーからライヴがスタートした。

やや重たいノリだがトム・ショルツのギターはもちろんレコードの通りのサウンドだし、ゲイリー・ピールとの艶のあるツインギターのハーモニーも期待通り、もちろんあの広がりのあるコーラスハーモニーもバッチリ決めてくれる。たたみかけるようにさらにノリのいい「Smokin'」に続くと、ここではトム・ショルツがオルガンで派手にソロを決める。続く「Feelin' Satisfied」ではレコードのハンドクラップの通りに、客席が一体となった手拍子が沸き起こる。

最初のMCではトム・ショルツが“ミナサン、ヨーコソ! モドッテコレテ、トテモウレシイデス”と日本語であいさつ。その後はほとんどノンストップで、70年代、80年代の名曲から昨年発表された最新作のナンバーまでを披露。メロディアスで明るく、スケールの大きい“スペース・サウンド”が次々に流れてきて、それがドラマチックに展開していくから、イントロが始まるたびにワクワクしてしまう。

なにせ35年ぶりのライヴ。多くのギタリストが憧れたであろうあのサウンドを生で聴ける、それだけでも感激なのだが、誰もが聴きたいと期待していた曲を、期待通りのサウンドでバッチリ決めてくれる。だから大いに盛り上がるのだ。もちろんレコード通りのアレンジを聴かせるだけではなく、ジャムセッションに展開するナンバーもあれば、イントロやエンディングではトム・ショルツはあの独特なギター・サウンドで縦横無尽にソロを弾きまくったりもする。オルガンがメインになるパートではトム・ショルツが恐ろしくテクニカルなフレーズを連発してキーボーディストとしての腕を見せつけるし、オルガンのつまみをいじっては音色を変化させ、メカオタクっぽいところも垣間見せるなど、見どころも満載だ。緻密に作り上げられたサウンドが売りのボストンだが、ライヴバンドとしても文句なく楽しいのだ。


来日公演はまだ続いているので、これ以上の詳細は伏せておくが、もちろんボストンの代表曲であるあの超名曲もプレイしたし、ドラマチックなあのインスト曲のハードなパフォーマンスも印象的だった。どの世代のBOSTONファンも納得できるセットリストだったと言える。35年ぶりに見ることができたライヴは、期待通りの素晴らしいものだった。

ボストンはこの後、10月4日に名古屋、10月6日に大阪、そして10月9日には再び東京で公演を行なう。

写真●Hiroyuki Yoshihama

■公演日程:
【東京】
10/9(木) 日本武道館 19:00開演
[問]ウドー音楽事務所 03-3402-5999 http://udo.jp/
【名古屋】
10/4(土) 愛知県体育館 17:00開演
[問]CBCテレビ事業部 052-241-8118
【大阪】
10/6(月) 大阪市中央体育館 19:00開演
[問]大阪ウドー音楽事務所 06-6341-4506

◆ウドー音楽事務所
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