<TETSUYA LIVE 2014“THANK YOU”>と銘打たれたTETSUYAのソロライヴが、10月3日に赤坂BLITZで行なわれた。当日はTETSUYAのバースデーであり、2年ぶりのソロライヴ。加えて2ステージ開催というプレミアムな公演だけに、多くのリスナーが“観たい”と思ったことは想像に難くない。その1stステージは平日17時開演という早い時間帯だったにもかかわらず、赤坂BLITZは2階席に大勢の立ち見客が出る超満員状態で、開演前から熱気が渦巻く中でのライヴとなった。

◆TETSUYA 拡大画像

場内が暗転して、ステージ後方のスクリーンに2014から1969までのカウントダウン映像が浮かび上がった。客席から拍手と歓声が起こる中、壮大なオープニングSEが流れ、1969年の様々な社会映像が映し出されていく。現実を離れてどこか違う世界に連れていかれるような感覚に襲われていると、場内にヘヴィなバンドサウンドが鳴り響き、続いてTETSUYAがステージに登場。熱い大歓声が湧き上がり、ライヴはアップテンポな「EDEN」からスタートした。

光沢のあるブルーとホワイトを活かしたロングコートにサングラスという姿でステージ中央に立って、力強さと甘さを併せ持った歌声を聴かせるTETSUYAの姿は、華やかさに満ちている。勢いと翳りをまとった曲調やバック陣が奏でるタイトなサウンドも実に魅力的で、ライヴが始まると同時にオーディエンスのボルテージは一気に高まった。

その後は、煌びやかかつメロディアスな「Can’t stop believing」や抒情的なサウンドとTETSUYAの訴えかけるようなヴォーカルにクローズアップした「Fantastic Wonders」などが演奏された。ゆったりとした足取りでステージ上を行き来して歌い、ギターソロパートではギタリストの中村佳嗣と2ショットを決めるTETSUYA。彼の一挙手一投足に歓声をあげるオーディエンスのリアクションからは、ライヴハウスという客席とステージの距離が近い場でTETSUYAに触れられる喜びに溢れていることが感じられた。

人生を描いた哲学的な映像を挟んで、ライヴ中盤ではTETSUYAの声域の広いヴォーカルとソリッドなグルーヴを活かした「蜃気楼」や、ラグジュアリーな味わいの「TIGHTROPE」、ロマンチックな世界観とTETSUYAのエモーショナルなヴォーカルのマッチングが光る「lonely girl」などをプレイ。1曲ごとに空気を変えながら散漫になることなく、逆に深みを増していく構成は実に見事で、惹き込まれずにいられない。楽曲の完成度が高くなければ成し得ないことだけに、TETSUYAの秀でた作曲力や世界観創りの巧みさを、改めて感じることができた。

深みのあるストリングスの音色に合わせて、過去から現在までの様々なTETSUYAの写真をコラージュした映像で繋いだ後、アッパーな「LOOKING FOR LIGHT」からライヴは後半へ。力強くたゆたう「REVERSE」や、ウォームな曲調とTETSUYAのリズミカルなヴォーカルの取り合わせが心地好い「wonderful world」、爽やかな味わいの「WHITE OUT」などが続けざまに演奏された。勢いに任せて突き進むライヴではなく、TETSUYAが客席に煽りを入れたりするわけでもないのに、オーディエンスの気持ちをどんどん引き上げていくのはさすがの一言。本編のラストを飾った「Are you ready to ride?」では、黒いスーツ姿のダンサー Bananaman Brothersの2人が登場して華を添える演出も決まって、場内は大合唱が湧きあがり、笑顔で溢れるというバースデーライヴにふさわしいパーティー感のある盛り上がりとなった。

熱烈な声に応えて再びステージに立ったTETSUYAは、躍動感に満ちた「Roulette」と「THANK YOU」を披露。ステージと客席の双方が一体となった雰囲気で盛り上がる中、「THANK YOU」のエンディングでバック陣が「ハッピーバースデー」のメロディーをプレイ。続けて、バースデーケーキがステージに運び込まれた。これはガチのサプライズだったらしく、TETSUYAは「騙された! 騙された!」と繰り返し叫んでいる。本編で見せていたクールかつ引き締まった表情とは異なる明るい笑顔からは、TETSUYAが本心から喜んでいることが伝わってきた。彼のナチュラルな笑顔は本当に魅力的で、TETSUYAの素顔に触れられたという意味でも、今回のライヴはオーディエンスにとって特別なものになったに違いない。

サプライズの後、この日初となるTETSUYAのMCが。「みんなおげ~んき? おげ~んき? 俺、ビョ~キ(笑)。こう見えて、病みあがりなんです(笑)」と穏やかに話すTETSUYA。彼は数日前に過労で倒れてしまい、ライヴに向けた全員でのリハーサルは一度しかできなかったらしい。そんな舞台裏を全く感じさせない良質なライヴを披露したTETSUYAと彼のバンドJuicy-Bananasの面々のスキルの高さにも驚かされた。

TETSUYAの和やかなMCで場内の一体感をさらに引き上げた後、「15 1/2 フィフティーンハーフ」を挟んで、ライヴの締め括りとしてスローチューンの「流れ星」をプレイ。“ありがとう”という言葉をテーマにしたナンバーを心を込めて歌うTETSUYAの姿からは、彼のファンに対する深い感謝の気持ちを強く感じることができた。

2年間というインターバルを感じさせない充実したライヴを見せてくれたTETSUYA。良質かつ多彩な楽曲や表現力に富んだヴォーカル、Juicy-Bananasのメンバー達が織りなすハイレベルなプレイなど観どころが多くて楽しめたことに加え、MCを一切挟まずに象徴的な映像でライヴを進めていく本編のアーティスティックな味わいも見事なものだった。独自の魅力を湛えた空間を生み出していただけに、今後もTETSUYAが継続してソロライヴを行なってくれることを期待したい。

取材 文◎村上孝之 撮影◎今元秀明

◆TETSUYA オフィシャルサイト