【ライブレポート】摩天楼オペラ、“癒しの場”日比谷野音に響いた劇的ロック

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摩天楼オペラが、2014年10月18日に日比谷野外音楽堂にて全国ツアー<AVALON TOUR>のファイナル公演を行った。オフィシャルからのライブレポートをお届けする。

◆摩天楼オペラ<AVALON TOUR>日比谷野外音楽堂 画像

朗々たる歌声が、壮麗なシンフォニックサウンドが、圧巻のメタルプレイが晴天の夜空へと吸い込まれてゆく――。9月3日にリリースされた3rdアルバム『AVALON』を引っ提げ、全国16箇所で1ヶ月にわたり行われてきた摩天楼オペラの全国ツアー<AVALON TOUR>。その最終日となった10月18日、日比谷野外音楽堂で繰り広げられた夢のような空間を目の当たりにして、それは夢ではなく我々が生きる現実に存在する“AVALON=癒しの場”なのだと、恐らく客席の誰もが喜びに胸を沸かせただろう。

ライブ終盤の「今回のツアーは来た人が“すげー楽しい!”“ずっとここにいたい!”と思うような、癒されるライブを目指してきました」という苑(Vo)の言葉を裏切らず、ファイナルのステージも幕開けから観る者の心をときめかせる仕掛けが満載だった。まずは舞台後方に作られた大階段に黒いローブを纏った30人のクワイア隊が上がり、楽器隊が加わって、厳かにしてドラマティックなインストゥルメンタル「journey to AVALON」からライブはスタート。退場するクワイア隊と入れ替わるように苑が入場して「天国の扉」が疾走すると、『AVALON』で摩天楼オペラが掲げた“劇的ロック”の扉が一気に開く。

以降、アルバムの流れに人気曲が挟み込まれる形でライブは進行。スピード感あふれる展開に野外ならではの開放感、そして夜空に映えるダイナミックな照明効果は客席をびっしり埋め尽くしたオーディエンスを熱狂させ、振り上がる拳に苑も「クソ最高じゃねぇか!」とMCの第一声から喜びを爆発させる。一転、呪詛のような歌声と地を這いずるような演奏が狂気に引きずり込む「3時間」や、優美に癒しの音色を奏でる彩雨のキーボードソロ、さらに彼の“Clap your hands!”という号令を挟んで海賊たちの航行を描くような勇壮インストゥルメンタル「Stained Glass」と、じっくり音に耽溺させる場面も。「Jolly Rogerに杯を」でもAnziがギターを一回転させて激烈なソロを放ったり、燿が前に迫り出して野太いベース音を放ったりと、演奏/パフォーマンス両面でのヤンチャっぷりが頼もしく、続く「クロスカウンターを狙え」での場内一体となった“乾杯!”の大合唱を引き起こす。

「ツアーが進むうちに、俺たちが幸せを与えるだけじゃなく、メンバー全員がすげー幸せな空間に包まれてきました。こういう温かい空間は人間同士だから作れるものだと思う」──苑(Vo)

ライブのクライマックス、“癒しの場”を作り上げることをテーマにしてきた本ツアーについてそう述べ、「俺の想いを乗せた歌を優しい曲に変えてくれてありがとう」と披露されたのは、亡き友へ向けて苑が書いたエモーショナルなロッカバラード「友に捧ぐ鎮魂歌」。真っ白な羽が舞い落ちる中に響きわたる歌声は哀しくも優しく、“どうして”のリフレインが“もう少し このまま見ていて”に変えられていたのにも涙を誘われた。一転、今度は生れ来る命への慈しみを歌った「Orb」を挟み、最後に贈られたのは「天国の在る場所」。壇上に上がった30人のクワイアを交えた荘厳に胸打つメロディからビートが疾走し、圧倒的バンドサウンドが畳み掛ける、それはロックとシンフォニックが為す究極の融合であった。そのまま再び「journey to AVALON」へとループし、見事なエンディングを迎える様は、壮大な生命の輪廻にも重なってゆく。これぞ摩天楼オペラが掲げる“劇的ロック”の金字塔なのだ。

アンコールではバンド史上初のアニメタイアップとなるTVアニメ「オレん家のフロ事情」のオープニングテーマ曲「致命傷」も演奏。これが初披露にもかかわらず、すかさず場内から拳があがった彼ららしいメタルチューンは、10月29日にワンコインシングルとして発売されることが決定している。さらに「喝采と激情のグロリア」では、ネオンライトが揺れる客席から沸き上がった大合唱に応えて、苑がマイクレスのアカペラで凄まじいビブラートを披露。大階段のど真ん中に立ったAnziのギターリフから始まったラストの「GLORIA」では、悠が残ったエネルギーの最後の一滴まで振り絞らんとする渾身のドラミングを聴かせて、オーディエンスの心を激しく震わせた。舞台を去り際、彼が放った「もう全部使い果たしたぞ!最高だったぞ!」という言葉は心からの真実であり、この日のライブを端的に象徴していただろう。全てを出し尽くした後に残るもの――それこそが究極の癒し=AVALONなのだ。

楽園は架空の“どこか”ではなく、今、我々が生きている“ここ”にある。それを教えてくれたツアー・ファイナルの模様は、来年2015年2月にライブDVDとしてリリースされることも、この日発表された。また、スクエア・エニックスのRPGゲーム「エンペラーズ・サガ」とのコラボレーションも決定。「サガ」シリーズのイラストを担当し、アルバム『AVALON』の初回盤ジャケットも手掛けた小林智美氏によるコラボレーション・キャラクターも登場するという。今も拡大を続ける宇宙空間のように、摩天楼オペラの世界はメディアの枠すらも超えて、今後さらなる広がりを見せてゆくに違いない。

文◎清水素子

セットリスト
1.journey to AVALON
2.天国の扉
3.隣に座る太陽
4.RUSH!
5.Psychic Paradise
6.輝きは閃光のように
7.3時間
8.Key SOLO
9.Stained Glass
10.Jolly Rogerに杯を
11.クロスカウンターを狙え
12.蜘蛛の糸
13.INDEPENDENT
14.ANOMIE
15.友に捧ぐ鎮魂歌
16.Orb
17.天国の在る場所
18.journey to AVALON
[アンコール]
1.致命傷
2.IMPERIAL RIOT
3.喝采と激情のグロリア
4.GLORIA

マキシシングル
「致命傷」
2014年10月29日発売
アニメ「オレん家のフロ事情」 オープニングテーマ曲
数量限定生産盤
KICM.91555 ¥463+税
[収録内容]<CD>
1. 致命傷
2. 致命傷(instrumental)
ジャケットはアニメ描き下ろしイラストを使用

「エンペラーズ サガ」×「摩天楼オペラ」コラボレーションキャンペーン
「エンペラーズ サガ」:スクウェア・エニックスがスマートフォン、フィーチャーフォン向けに配信中のRPG ゲーム
2014年9月3日に発売された摩天楼オペラの3rdアルバム「AVALON」に、スクウェア・エニックスの「サガ」シリーズにゆかりの深い作曲家・伊藤賢治氏とイラストレーター・小林智美氏が参加。これをきっかけにコラボレーションが実現。実施期間中に特定のシリアルコードをゲーム上で入力すると、小林智美氏のコラボ描き下ろしカード「SCR アヴァロン」を入手することが可能。
シリアルコードは摩天楼オペラのオフィシャルサイトにて(2014年12月31日まで実施予定)。

カウントダウンライブ
<MATENROU OPERA COUNTDOWN LIVE 2014~2015 第一夜>
2014/12/30(火) AiiA Theater Tokyo
OPEN 16:30 / START 17:00
<MATENROU OPERA COUNTDOWN LIVE 2014~2015 第二夜>
2014/12/31(水) AiiA Theater Tokyo
OPEN 22:00 / START 22:30
[問]DISK GARAGE 050-5533-0888
※本公演は深夜までにおよぶ公演の為、18歳未満の方は保護者の同伴もしくは保護者の同意書が必要です
【チケット料金】全席指定\4,500(税込・ドリンク代別) ※3歳以上チケット必要
【一般発売日】2014/11/22(土)

◆摩天楼オペラ オフィシャル・サイト
◆BARKS ヴィジュアル系 V-ROCK
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