【インタビュー】AKANE LIV、ナチュラルな魅力を最大限に感じさせるクラシックの名曲をモチーフにしたアルバム『LIV』

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ソロ活動を順調に軌道に乗せているLIV MOONのAKANE LIV。配信のみでリリースした2013年の「Close Your Eyes」、2014年8月のシングル「NIGHT PARADE」と順調にリリースし、10月22日にはいよいよフルアルバムが発売される。この『LIV』ではクラシックの名曲をモチーフに大胆にアレンジしたポップスの楽曲に乗り、AKANE LIVのヴォーカルが縦横無尽に駆け巡っている。LIV MOONでは見せないリアルな素顔を見せたというこのアルバムについて、AKANE LIVに訊いた。

◆AKANE LIV~拡大画像~

■今の年齢のAKANE LIVが感じていることを歌に乗せよう
■等身大のほうがいいということで歌詞を書きました


▲『LIV』初回限定盤
▲『LIV』通常盤

――いよいよ待ちに待ったアルバムの発売ですね。LIV MOON作品も曲調はバラエティに富んでましたが、これはまったく違った感じに仕上がってますね。

AKANE LIV:そうですね。例えば「Sunrise Over Sea」みたいな曲はLIV MOONにはないですね。マイナー調の曲はすごく好きなんですが、今回はバンドじゃないからこそ、前向きな曲をやりたいと思っていたんです。「Sunrise Over Sea」はまず歌詞に惚れたんですよ。初めて歌詞をもらったときに、“この作詞家さんに他の曲も書いてほしいです!”ってプロデューサーのJeff Miyaharaさんに言ったくらい。歌っていて自分がすごく前に前に、前向きになっていける歌詞なんです。

――前向きな姿勢というのも、ひとつのテーマになってるんですね。

AKANE LIV:そうです。もっと自分を、本当に今の年齢のAKANE LIVが感じていることを歌に乗せようってJeffさんにも言われました。私は物語性のある歌詞を書くのが好きなんですが、そうじゃなく、もっと等身大で書いたほうがいいって。「Summer Shadow」はそういう歌詞です。ただ「~月の歌う夜~」は「白鳥の湖」という誰もが知っている曲なので、そこに日本語の歌詞をそのまま乗せるのはちょっと違うと感じたし、神秘的なものにしたいなと思って、スウェーデン語にしました。そのほうが、英語で聴くよりイマジネーションが広がるかなと。

――スウェーデン語というのはユニークですね。

AKANE LIV:ほかにラップ語も使っているんです、ラップランドの。風に乗る感じが欲しくて、単語一つ一つの響きを面白いものにしたかったし、懐かしさが漂ったらいいなと思って。

――たとえばドイツ語は硬いイメージがあったりしますよね。そういう意味ではスウェーデン語ってどんなイメージなんですか?

AKANE LIV:スウェーデン語は、ウサギのダンスみたいな(笑)。ちょっと弾んでるんです、タタッタ、タタッタって。歌ってるとかわいい、ポップなイメージですね。

――でも全部それで行くんじゃなくて、日本語の歌詞も使ってるんですよね。

AKANE LIV:日本語もちょっとは入れないと、伝えたいことがわからないんじゃないかと(笑)。日本語で歌ってるものを、もう少しフワッとさせたのがスウェーデン語の歌詞なんです。“あなたの住む街に、月が出たらすぐに飛んで行こう”みたいなことをスウェーデン語で言ってるんですね。フワッと霧がかかった湖のようなイメージで。こういうのはLIV MOONだとなかなかできない曲ですね。

――「Summer Shadow」もご自身で歌詞を書かれた曲ですね。ここに出てくる“影ぼうし”という言葉がとても印象的でした。

AKANE LIV:この曲は切ないイメージがあったので、重なっていた影ぼうしが遠ざかっていって、今は自分の影しかないっていうような。恋愛でも一緒になるのかならないのかという微妙な感情を書きたくて。これは今までに書いたことのないタイプの歌詞ですね。

――歌詞の色彩がとても豊かなのも印象的でした。夕陽のオレンジ色、あなたの残したブルー、そして影ぼうしは青く見えたり赤かったり、色々なイメージがあります。歌詞で伝えたいことが、その色彩感にリンクしているのがいいですね。

AKANE LIV:そう伝わっているのならうれしいですね。最初にこの歌詞を書いたときには、「これ、みんなわかるのかな?」と不安だったんです。「なに?このブルーって」とか言われたらどうしようと思ってたんですけど(笑)。

――ささやきになっているところ、あれは何を言っているんですか?

AKANE LIV:あれは英語なんですけど、うん、これはあまり言わないほうがいいかな。感じてください(笑)。海辺の石とかガラスとか、どんどん削り取られて不思議な感じになっていきますよね。あんな感じで、ざらざらしたきれいすぎない感じで声が残ったらいいなと思って。あんまりはっきり喋ってわかっちゃうと現実的になりすぎるので。あそこはまあ、感じてください、ということで(笑)。

――「Sunrise Over Sea」はアコギも入っててすごくポップですよね。この曲が1曲目というのは驚きました。

AKANE LIV:みなさん違う意見だったんですけど、私の独断で1曲目に(笑)。ここまで前向きな歌詞でポップ、しかもアコギで、っていうのはやったことがない。でも、ソロなんだから、1曲目はみんなが“えっ?”って思うくらいがいいかなって。でもこれってやっぱり冒険だったかな(笑)。

――ホントに聴きやすくていい曲ですね。メロディが明瞭だし。

AKANE LIV:この曲を録っていたときって、すごくプラスのエネルギーがあって、「新しいものにチャレンジしていこう」と思っていたから、幕開けにぴったりだと思ったんです。素の部分の私を見てもらいたいという気持ちもありましたし。この曲や「Summer Shadow」の歌詞もそうだし、ジャケットをあまり作り込んでいないというのも、そういう気持ちからです。歌い方も、高音も出していないし、テクニック的なこともほとんどない。そぎ落とした表現をすべきときじゃないか、と思ったので、チャレンジさせてもらいました。

――すごくナチュラルな感じですけど、普通とは逆で、それがチャレンジっていうのが面白いですね。

AKANE LIV:そうなんですよ。いかにナチュラルに持って行くかがチャレンジ(笑)。キーをどうするかもけっこう悩みました。最初は、サビも「NIGHT PARADE」みたいに全部地声でやろうと思っていたんですが、この曲の持っているピュアで柔らかい感じを考えると、こういうキーになりました。でもホントにいい歌詞なんですよ。みんなを先導する強さ、みたいな曲はLIV MOONにもあるけど、これはそうじゃなくて、後ろからそっと優しく手を添える、色々な愛情表現で支える、そういう曲だと思います。

――ジャケットにも、素の部分を見せるという気持ちが表れているんですね。

AKANE LIV:そうですね。今までになかったことですけど、作り込み過ぎず自然なものを見せたいという。DVDのビデオも初めて外で撮ったんです。ホントに自然な表情を収めてもらいました。まあ少し離れてみると、作り込んだものの良さもまた感じますけど、今回はソロなのでよけい“個”になるわけで。だから、素の自分をもっと見せて、多くの人に知ってもらいたいと思いました。

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