【インタビュー】植田真梨恵、2ndシングル完成「ふたつでひとつになっている思想が好き」

ツイート

植田真梨恵が11月19日、2ndシングル「ザクロの実」をリリースする。ピアノの旋律と歌のメロディがシンクロしたイントロはあまりにも可憐で美しく、うなるベースと躍動するドラムが徐々に楽曲の持つ高揚感を煽る。TVイエローのレスポールスペシャルをかき鳴らすミュージックビデオが印象的な「彼に守ってほしい10のこと」で鮮烈デビューを果たした彼女だが、この楽曲にギターは一切入っていない。しかし、必ずしもギターが必要でなかったことがこのサウンドからも明かだ。

◆「ザクロの実」ミュージックビデオ

「全部をそぎ落としてもいいというのが今の私のキーワード」とは、前回のインタビューで語った本人の言葉だ。そしてリリースされた2ndシングル収録の3曲にはやはり、ムダを省く潔さと、装飾を必要としない生命力に溢れた歌がある。ただそれは、シンプルのみを意味するわけではない。ピアノと歌のみで聴かせるナンバーや、エレクトロ色の強いナンバーなど、今回も各曲アレンジの方向性は実に多彩で表現力が豊かだ。“恋愛観”や“切なさ”、そして“影”がひとつのテーマになった収録3曲について、じっくりと語ってもらったインタビューをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■……なんか、ちょっと恥ずかしいんですけど(笑)
■わかりやすく言うと、運命の赤い糸だったり、魂の双子とか

──前回のメジャーデビューシングル「彼に守ってほしい10のこと」インタビューでは、リリース直前ということでまだデビューの実感は沸いてなかったところもあったようですが、作品がリリースされて、デビュー後初のツアーを回ったりして、心境の変化などはありますか?

植田:今は、本当に日常が飛ぶように過ぎていっているので忙しいんですけど、とても楽しいですね。何かが上手くいってなくてモヤモヤして進めないという状況よりは、ここに行って、この人と会って、歌を歌って、作ってという感じなので、すごく楽しい。

──インディーズ時代からのファンはもちろんですが、メジャーデビューをして新しい人が聴いてくれているんだなって感じることはあります?

植田:ああ、そうですね。っていうのを思ったのは、“植田真梨恵”っていう言葉で検索をかけた時に──。

──検索かけるんだ(笑)。

植田:はい(笑)。Twitterでエゴサーチしたときに、たぶん初めて私の曲を聴いてくれた方だと思うんですけど、「植田真梨恵の「彼に守ってほしい10のこと」って曲、まじウザいわ」ってつぶやいているのを見て、ああ、届いてるんだなと(笑)。

──反応はいろいろですが、気になって聴いてくれてるんですもんね(笑)。

植田:そうです(笑)。「こんな願いきけるか!」って書いてあるのを見るとすごく、そやなぁって思います。でも、そういうのがもっともっと出てくるかなって思ってたんですけど、ちょろちょろと目にするくらいで(笑)。ちゃんといろんな人の元に届いているのでよかったかなと思ってます。

──9月のワンマンツアー<LIVE TOUR 2014 UTAUTAU Vol.1>も、とてもいいライブだったし盛り上がっていましたが、想像以上にファンの女の子率が高いですね。

植田:多くなりましたね。ここ2年くらいでライブをするごとに増えている感があります。

──女の子たちがグッとくる歌なんだろうなっていうのは、大きな歓声からもわかるし、MCでは「泣いてる女の子がいる」なんて言ってましたけど。

植田:結構、前列の女の子はガン泣きで(笑)。

──ライブではさらに、歌に引き込まれる、共振してしまうパワーを強く感じました。デビュー後の初ワンマンということでの緊張感も高かったんですか?

植田:それもありましたし、ある程度大事にしたいなと思ってました。なので、どっしりと構えて、向かい合って。あくまで、私がみなさんにパワーをあげるような立場でライブを進めたくて。みんなでワーイってなるよりは……それは、最後はそうなればいいから、ある程度そういうふうに気持ちを持っていこうと思っていましたね。

──結果的に満足度は高かった?

植田:ひたすら楽しかったですね。個人的にはもっと体を鍛えようって思いました(笑)。

──ははは。そうなんですか?

植田:心でまだまだいけるのに、体がついていかなかったりするのはイヤだなと思って。たしか21曲やったんですけど、うん、まだいきたいと思ったっていう感じですかね。

──そのステージでもいち早く披露したのが、今回の2ndシングル「ザクロの実」ですね。ライブでも強く印象に残った曲ですが、これはいつ頃作った曲なんですか。

植田:最初のデモができ上がったのが、2011年ですね。このデモができた時から、個人的にはいつかシングルで出したいなと思っていた1曲です。

──その最初のデモはギターの弾き語り?

植田:いえ、これは最初からピアノが映える曲を作りたかったんです。ちょうどピアノライブをはじめたくらいの時期だったので、ピアノと歌で出来上がっている1曲にしたくて。曲を作っている時にはアコギでコードを考えたり、ピアノで作ったりもしたのかな? ですけど、デモの段階で、ライブで弾いてもらう西村広文さんにこんな感じで弾いて下さいって、ピアノを弾いてもらっていたんです。その時にはもう、バンドアレンジするならサビは4つ打ちでっていうのも考えていましたね。

──Aメロ、Bメロの雰囲気からサビへの流れでがらりと曲が変化しますよね。

植田:そうですね。1セクション、1セクションでドラマティックに展開していくイメージだったので。こういう歌を歌いたいという内容が先行したというよりは、こういうサウンドの曲がやりたいなって作っていった曲ですね。

──なるほど。そこから“ザクロの実”というモチーフが出てきたのは?

植田:作りはじめてからでき上がるまで短時間でできて、メロディと一緒に歌詞も出てきたんですけど、わりと感覚的に書いていきましたね。ザクロの実っていうのも、フッと浮かんだもので。そのふわっと浮かんだ言葉に対して物語を書いていって。

──とてもセンチメンタルな物語になっていますが、ザクロという果実のフォルムのグロテスクさやある種のエロティックさみたいなものも思い浮かべながら、物語を膨らませていった感覚なんですか。

植田:そういうことはあまり意識してなかったです。ここで描きたかったのは、ザクロの実というひとつの完成した実というのが、大好きな人とふたりでひとつという恋愛観と合わさっていって。私はそもそも、そういう恋愛観っていうのがめっちゃ、好きなんですよ。……なんか、ちょっと恥ずかしいんですけど(笑)。すごく恥ずかしい言葉でもっとわかりやすく言うと、運命の赤い糸だったり、魂の双子とか。

──ソウルメイトっていうものですね。

植田:そうそうそう。そういう相手がいて、ふたつでひとつになっているというものや思想が好きなんです。その片方が、なくなってしまったらということを思って、書いた曲ですね。なので、内容としてはフィクションというか、物語を作る感覚で。

◆インタビュー(2)へ
この記事をツイート

この記事の関連情報