【インタビュー】KNOCK OUT MONKEY、シングル「How long?」に「今の自分が吠えるならば」

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KNOCK OUT MONKEYが11月19日、ニューシングル「How long?」をリリースする。1stアルバム『INPUT ∝ OUTPUT』を掲げたワンマンツアーで春から夏にかけて全国を駆け巡り、7月と8月には2ヵ月連続でシングルをリリースするなど、2014年の彼らは休む間もなく全身全霊の活動を続けている。

◆「How long?」ミュージックビデオ

そして発表される4thシングル「How long?」は、上昇気流を描くように成長を遂げたバンドのアレンジ力と演奏力の高さが印象的な仕上がりだ。タッピングやスラップを散りばめたベース、ジャズのアプローチを見事に昇華したドラム、あえてシンプルに徹することでバンドサウンドを躍動させたギターなど、メンバー個々のプレイは聴きどころに事欠かない。もともと演奏力の高さに定評のある4人だが、このシングルに収録されたアンサンブルの密度は実に濃く深いもの。BARKSはそのサウンド&プレイへ徹底的に迫ったロングインタビューをお届けする。そこに浮かび上がったのは溢れ出る個々のこだわりと、4人のサウンド的な結束の強さだった。

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■「Greed」「Wonderful Life」は、どちらかというと日本人っぽいアプローチ
■「How long?」に関しては、そういう匂いをさせたくなかった

▲w-shun(Vo&G)

──7月と8月の2ヶ月連続シングルに続いて、早くもニュー・シングル「How long?」が11月19日にリリースされます。

w-shun:「How long?」は、かなり早い時期にできあがっていたんです。夏のシングルの制作に本格的に取り掛かったのは今年の1月頃だったけど、去年の12月にリリースは抜きにして曲をいっぱい作ろうということで合宿に入っていたんです。そこで、「How long?」のアイデアも出てきて。このリフカッコ良いなとか、このメロディー良いなというものをいずれ形にしたいと思っていたんです。その後、夏にシングルを出すことになって、そのときの制作でもアイデアがポンポン出てきたから、夏のシングルはそれを形にすることにして、「How long?」はカップリングにしようという話になったんですね。

──そうだったんですね。

w-shun:でも、「How long?」が形になっていくにつれ、カップリングではもったいない気がして、夏以降のシングル曲として取っておくことにしてたんですよ。夏のシングルは完全に振り切ってハジけた方向に持っていったけど、同時に「How long?」みたいにシリアスな曲もやりたかった。夏のシングルの直後のタイミングはぴったりだと思う。

──バンドの制作意欲が高まっていることを感じます。「How long?」の原曲はどなたが?

w-shun:ギターリフを僕が持ち込んで、それを元にみんなでセッションしながら作っていきました。わりと縦ノリの曲になったので、ギターがワァーッと出るよりはグルーヴィな感じにしたいなという話になって。そこからベースのスラップから始まったら面白いんじゃないかというアイデアに発展したんです。それに、今まではアレンジで最初の印象をブチ壊していくことが多かったけど、この曲は9割くらいデモの状態が残っている。そういう意味では、KNOCK OUT MONKEYにしては珍しい曲と言えますね。

──素材の段階で説得力があったんですね。歌詞についても話していただけますか。

w-shun:自分がモヤモヤしているところにフォーカスをあてた内容になっています。こういう曲調なので、エモーショナルにオリャーッ!と叫ぶようなテーマにしたいと考えて。今の世の中は、ネットとかSNSもそうだけど、いろんな人が自分の思いを簡単に吐き出せる状態にあるじゃないですか。それは便利なことかもしれないけど、後先を考えずに勢い任せの言葉とかを発することで炎上が多発して、それで、自分の人生が狂わせてしまう人もいる。僕は、わりと生々しい歌詞も書いたりするけど、書いてから作品として仕上げるまでに時間があるんですね。

──自分が書いた歌詞を見つめ直すことができるという?

w-shun:そういうことを重ねているから、勢いに任せて言ったことが常に自分の本音とは限らないことを知っている。そういうところで、果たして便利であること=本当に良いことなのかと。便利に翻弄されて本来の自分を見失ってしまっていないか、不便なことはそんなに疎ましいことなのかと。今の自分が吠えるとするなら、そういうところが大きいなって。

▲dEnkA(G)

──やるせない現状を描くことで、“自分らしく人生を生きろ”というメッセージを感じさせているところが印象的です。この曲をレコーディングするにあたってこだわったことは?

dEnkA:すごくストレートな形に仕上がったので、ギターはあまりピロピロさせたくないなというのがまずあって。それに「Greed」や「Wonderful Life」のギターは、どちらかというと日本人っぽいアプローチだったけど、「How long?」に関しては、あまりそういう匂いをさせたくなかったんです。いやらしい感じになるからリードも弾かないほうが良いなとか、エモーショナルなギターを心がけました。サビはバッキング以外に2本くらいフレーズが鳴っていたりするけど、これは隠し味。最近は、“1本で分かるギター”という方向に気持ちが向いていることもあって、こういうさらっとしたアプローチになりました。

亜太:w-shunから出た「ベースをイントロにしよう」というアイディアは、元になったギターリフからの発想で。それを踏まえて、多少ベースにフォーカスを当てる意識で取り組みました。かといって超絶なベースソロを設けるような曲ではない。作っていくうちにドッシリしたロックになっていく中で、いろんなことに挑戦したいという気持ちが湧いてきたんですよ。だから、歌のバックでタッピングをしたり(笑)。

──すごいことしますねぇ(笑)。

亜太:ははは。タッピングに挑戦したいということを取っかかりにいろいろ考えましたよ。この曲は聴いた印象よりも実はBPMがすごく速くて、ドラムもバシバシ叩き込んでいる。そこに対してベースは穴を埋める役割を果たすべきだなと、1番のAメロやサビは指弾きでダァーッと弾くことにしたんです。そのうえで、イントロや2番のAメロではスラップをしています。結果的に、今の自分が持っている技をバランス良く活かした曲になりましたね。指弾きで速く弾けるようになりたい、難しくない程度のスラップを弾きたい、ベースでタッピングしたいという人には耳コピしてほしい。

ナオミチ:ドラムは最初、「Wonderful Life」のカップリングにするという前提でアレンジに取りかかったんですね。「Wonderful Life」はアガり感満載の夏曲だったから、それとは違う方向でカッコいいリズムやフレーズで染めていくことを意識してドラムパートを作っていきました。この曲のビートはずっとひとつで、鳴らすものを変えるだけなんですね。僕は細かく強弱を付けたり、パターンを変えたりするのが好きで、こういうアプローチは今までやったことがなくて。同じビートの中で、ハイハットを開けるのか閉じるのかとか、どういうフックを入れ込むのかといったことを熟考しました。1グルーブでも飽きがこないドラムにはできたかなと。

──スピーディなフィルも要チェックです。

ナオミチ:フィルは何も考えないというか。自分の得意分野だから、ここで盛り上げるには、これしかないでしょうというものを出していった感じですね。結果的に、作り込んだビートとライブ感のあるフィルを融合できたのも良かったんじゃないかな。

w-shun:僕は綺麗に歌うタイプではないし、特にこういう曲は声がガラガラになるくらいにしたいんですよ。いつも1曲の歌録りで2リットルの水が簡単になくなってしまうくらい“ガァーッ!”と歌って、汗をかいてという感じなんですけど、この曲は特にそれが強かった。フェイクを入れたりするよりも、感情が乗っているかどうかを一番意識しました。こういう曲はミックスの段階で声をちょっと汚したりするんですけど、今回はいい感じに喉で声を歪ませることができたのでそのまま活かしました。

──パワフルに歌っていますけど、がなっているわけではなくて。乾いた声質と相まって洋楽っぽい雰囲気が特徴的です。

w-shun:昔はもうちょっとウェットな感じがあったと思うけど、最近は喉の使い方が昔と違ってきてたんですよ。前は喉を潰してまで声をからそうとしていたけど、最近はそうじゃない。「How long?」は歌っているというよりも吐き出している感覚に近い方向で録れました。この曲の声の質感は自分でもすごく気に入っていて。元々自分が持っている声と、経験からできた声との中間という感じ。

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