【レポート】舞台『くるくると死と嫉妬』が初日。吉川友は「演じててスッキリ(笑)」

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12月3日から東池袋・あうるすぽっとにて上演される舞台、秦組 Vol.6『くるくると死と嫉妬』。初日公演前には劇場にて公開稽古が行なわれた。

◆『くるくると死と嫉妬』公開稽古 画像

ピアノと津軽三味線の生演奏の中、つかこうへいイズムの継承者のひとり秦建日子の演出によって生と死を描いた本作。稽古場解放(見学)という形で広く一般に稽古の様子を公開するなど、斬新な取り組みが行なわれた舞台が、いよいよ幕開けとなる。出演する新垣里沙、丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)、吉川友の3組が稽古前に報道陣の取材に応じた。

「(物語の)最初に余命を宣告されるんですけど、台本を読んだ時は、余命を宣告されてる女の子って、暗くて悲しくて、みたいな女の子なんだろうなと理解して稽古に臨んだんです。けど、秦さんは一味違う。演出がついた時に、あえて明るく元気に。「飛び抜けて、ちょっとすっ飛んでるくらいの明るさでいってほしい」ということだったので、みなさんが想像する以上に、明るく爆発的な女の子だと思います。」と、春香役の新垣里沙は、秦建日子の演出を語る。そして春香の恋人役の友哉と、吉川友演じる雨宮希歩の兄・雨宮友哉を演じるのが、丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)。丸尾は、自身の役について「秦さんは暗いところをストレートに暗くやってほしいという人ではなくて、そこを生き抜くような明るさを持ったような人間っていうのが、きっと秦さんの理想の人間なのかな。(春香の恋人・友哉の)明るく元気に生きるというところと、消防士のほうは、生きるということに対してどう思っているのか。「遠くの人にやさしい人ほど、やさしいんじゃないか」って台詞のままの人間で、見ず知らずの人のところに飛び込んでしまうという役なんですけど、もうひとりの友哉が、そっと心に闇を抱えているのを演じるのが難しかったです。」と話す。

そして吉川友。彼女は自分の役どころについて「兄のことを本当に好き……愛、ですよね、あれは。恋愛とは違うんですけど、兄をガチで好きっていう役をやらせていただいて。兄が火の中に飛び込んでしまって、病院に入るんですけど、同じその病院に勤めるんですよ。ほかにもいろんな就職先はあったんですけど、わざわざ兄がいる病院に勤めることになる。そんな役です。思ったことをズバッと言うタイプの娘で、すごくハッキリしているなーとは思ってます。役どころ……なんか、すごくハッキリしている役なので、演じててスッキリしてます(笑)。」と、スッキリしながらコメントした。

そして報道陣からは、「モーニング娘。OGが世間を賑わせていますが、自分もOGとして賑わすぞ、みたいな意気込みを。」と、若干無茶ぶりにも近い質問がなされる。これに新垣は、「あんまりよくわからないんですけど(笑)」と笑いながら、「私たちは今日からスタートなので、11日までより多くのみなさんにこの舞台を観ていただいて、少しでも何か持って帰ってもらえるような演技をして。私たちは私たちで、『くるくると死と嫉妬』という舞台を、いい意味で賑わしていきたいと思います。」と、一座で(今回、新垣里沙が座長を務めている)一丸となっていい作品を作っていくことを語る。なおも「いい意味でもそうなんですけど、賑わせるような“爆弾は”……?」と食い下がる報道陣には、「ないですね。がんばります、舞台を。はい。」と一言。その言葉からも、座長としてこの舞台にかける彼女の意気込みが伝わってくるというものである。

「今回の舞台、誰か観に来てくれるとか、メッセージくれたとかはありますか……?」と、今度は別角度から引き出そうとする報道陣。「毎回舞台をやるっていうと、みなさんからがんばってね、ってメールをもらったりとかするんですけど、予定が合えばみんな観に来たいって言ってくれているので、(新旧モーニング娘。の)メンバーが来てくれる日もあるんじゃないかな。」と、新垣。一方、「でもぜひ、この間、モーニング娘。を卒業した道重さんに来ていただきたいですね。」と、報道陣が求めているであろう名前を出していくきっか。そして、道重に連絡したかを振られた新垣は、11月26日に横浜アリーナで行なわれた卒業公演を観に行き、そしてメールしたことを明かしたのだった。

また、座長の新垣には「隣の人は台詞まったく覚えないと思うんですけど、大丈夫でしたか?」と、稽古中のきっかの様子についても質問がなされる。新垣は、「まぁ、この人はマイペースなので、それがまたいいところでもあるので、このマイペースさが爆発した時に、すごいモノが出ると思うので……頑張ってください!!」と、大声でプレッシャーをかけていくも、きっかは「今ので台詞、飛びました。本番中、飛びますね。」と、笑いへと変える。“仮に初日公演で台詞が飛んでも、それはこの出来事があったから……ということにしよう!”というきっかの心の声が今にも聞こえてきそうである。

そしてあらためて大丈夫か訊かれたきっかは、「舞台の台詞はがんばって入れているので。問題は歌の方にいった時に、歌詞がまったく入ってこないという事態に陥る……。」と、役者と歌手、両方をこなすことの大変さをアピールしていく。今度は、“ライブで歌詞が飛んだら、それは舞台のせいにしよう!”というワルきっかの囁きが聞こえてきそうだが、奴は舞台をやっていようがそうでなかろうが歌詞は入ってないのだから、体制に影響はないのである。

そして本舞台の稽古を通して、丸尾は、女優・新垣里沙と吉川友を以下のように語るのであった。

「新垣さんは段取りとかもさっと覚える。どっかダメなところを探そうとしても見つからない。きっかちゃんは、あの、すごいマイペースで気分屋で。気分屋っていうか、あの、今日はいいことあったのかな、今日はやなことあったのかな、ってチェックするのが楽しみです(笑)。今日は上機嫌そう。」── 丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)

この日、約2時間にわたって行なわれた公開稽古。「いろんな人の人生、いろんな人の葛藤があって、その中でも前向きに生きていく物語。」と新垣が語った、躍動感あふれる秦組 Vol.6『くるくると死と嫉妬』は、12月11日まで東池袋・あうるすぽっとにて上演される。

text and photo by ytsuji a.k.a. 編集部(つ)

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