カリスマ性溢れる女性シンガーのノーラ・ロウヒモを擁するメロディック・メタル・バンドのバトル・ビーストが、待望の3rdアルバム『アンホーリー・セイヴィアー』を発表した。2014年に行なわれた<LOUD PARK 14>のトップ・バッターで登場し、午前中にもかかわらず会場に詰めかけたメタル・ファンを熱狂させた彼女達は、今最も勢いのあるメタル・バンドのひとつだと言える。

◆バトル・ビースト画像

2008年にアントン・カバネン(G)が中心となってフィンランドで結成されたバトル・ビーストは、2012年にアルバム『スティール』でデビュー。ツアー終了後に初代の女性シンガーのニッテ・ヴァロが脱退したため、ノーラを迎えたバンドは2ndアルバム『バトル・ビースト』(2013年)をリリースするとこれが高く評価され、2013年11月には<LOUD & METAL MANIA>で初来日を実現させる。そして、今回、パワー・メタル系の楽曲からポップなナンバーまでバンドの成長を示すような楽曲を収録した新作『アンホーリー・セイヴィアー』を作りだした。

ニューアルバムについて、曲作りを担うギタリストのアントン・カバネンに話を訊いてみた。

──新作の『アンホーリー・セイヴィアー』を制作するにあたって、どういった作品にしたいと考えていましたか?

アントン・カバネン:音楽を通して色々な感情を捉えたものにしたいと思っていたよ。多様なアルバムにしたかったので、へヴィでアグレッシブなものも、スロウで感動的なバラードも入れようと思った。俺自身、バラードが大好きなんだ。だから、このアルバムはバラードが入るスペースを増やすタイミングだと思った。そうすることで、さらに様々な音楽をプレイできて、様々な感情を表現することができる。1枚目と2枚目は典型的なヘヴィ・メタルというか、ストレートなドラム・ビートがどの曲でも常に鳴っているようなアルバムだったけど、今回のアルバムには、すべての曲にそういうドラムスが入っているわけじゃないし、バンドの楽器が全部使われているわけではない曲もある。例えば「Angel Cry」は俺が一番気に入っている曲のひとつと言えると思う…。いや、今の時点では、一番好きな曲だな、多分。アコースティック・ギターとクリーンなギターと、オーケストレーションとキーボード、そしてボーカルだけの曲なんだよ。以前のアルバムと比較したら、かなり異質な曲だよ。

──前作リリース後に数多くライブをこなしたことで、ノーラのポテンシャルの高さをさらに感じたと思いますが、そういった経験は新作の制作に影響を与えましたか?

アントン・カバネン:ノーラの声に多面性があることも判ったので、ノーラの可能性を最高に活かすべきだと俺達は感じたんだ。曲を書いていた時、俺はノーラがあの声で何がやれるかを常に考えていたよ。そういう意味では、曲作りにも影響があったね。

──前作では日本のコミック『ベルセルク』の世界観を取り入れた曲が入っていましたが、今作は何かストーリーはあるのですか?

アントン・カバネン:今回も『ベルセルク』に関連しているけど、アルバム全体にではないんだ。他の話題が登場する自由も大事だと思ったからね。でも、「Touch In The Night」は、やはり『ベルセルク』についての曲で、「Unholy Savior」は、多面性を持った曲だけど、個人的にはやはり『ベルセルク』に関連している。「Madness」も、やはり幾つもの面を持った曲で、元々は俺自身のことについての曲だったんだけど、歌詞を書いているうちに、見方によっては『ベルセルク』と関連があると考えられるようになった。俺にはいつか、バトル・ビーストか、あるいはソロ・プロジェクトかはわからないけれど、『ベルセルク』のシリーズを第一巻から順番に、曲を書いてアルバムを作ってみたいという夢があるんだ。『ベルセルク』は今でもいつも読んでいるよ。今でも俺が身近に置いている本のひとつが『ベルセルク』で、毎晩読むようにしている。シリーズ全巻を読んだけど、また最初から読んでいるんだよ。読むたびに新しい発見があるし、そこからインスピレーションが湧いてくるんだよ。

──あなたは日本のアニメ、ゲームにも興味があるようですね。

アントン・カバネン:俺は任天堂のゲームが大好きなんだ(笑)。あと、他の日本の漫画もね。そんなにたくさん読んではいないけど、幾つか読んでいるし、また詳しく知りたいと思うような新しいシリーズを見つけたいと思っているよ。でも、問題は時間がないことなんだ。読みたいと思うものを全部読んでいる時間がない。他には1980年代のアニメも好きだよ。例えば、とても短いもので、3話しかなかったと思うけれど、確か『Cyber City Oedo 808(電脳都市OEDO808)』という名前だったと思う。あれも好きだ。

──前作にはプロモーション・ビデオも作られた「Black Ninja」という曲がありましたが、日本の文化はバトル・ビーストの音楽に影響を与えているのですか?

アントン・カバネン:ある程度はね。でも、あの曲の場合、元々のアイディアは…俺は兵役を終えているけど、フィンランドには、1週間から2週間ぐらい兵役で学んだことを忘れないために、再訓練に戻らなくてはいけない制度があるんだ。そこにいた友人が、忍者についての映画を観ていたんだよ。そして、彼が「Black Ninjas!」とか何とか大声で言ったんで、俺は「よし、『Black Ninja』という曲を作るぞ」と言ったんだ。それだけだ。あれは偶然だった。その映画も日本の映画ではなく、アメリカの映画だったと思う。良い映画でもなかったけど、あの曲は、その映画には無関係なんだ。まったく別のものだよ。丁度その頃、俺はファンタジー・ストーリーを書いていて、そのストーリーの主人公のひとりも忍者のようなキャラクターなんだけど、その話はまだ書き終えていないんだ。

──では、今後の予定を教えてください。

アントン・カバネン:2015年はたくさんのライブをやるつもりだよ。ツアーも単発のライブもね。もしかしたら、4枚目のアルバムの準備にも入るかもしれないけど、そうならないかもしれない。それは、まだ誰にもわからない。一番大事なのはツアーとギグをこなすことだから、それらをすべてやり終えた時に、俺達に別のことをやるエネルギーがどれくらい残っているかによるだろう。今のところは、ショウをたくさんやるのが目標だよ。

取材・文:Jun Kawai


バトル・ビースト『アンホーリー・セイヴィアー』

2015年1月7日発売
通販限定/直筆サイン入りブックレット+CD+Tシャツ 5,000円+税
通販限定/CD+Tシャツ 4,000円+税
通常盤CD 2,500円+税
1.ライオンハート
2.アンホーリー・セイヴィアー
3.アイ・ウォント・ザ・ワールド…アンド・エヴリシング・イン・イット
4.マッドネス
5.シー・オブ・ドリームス
6.スピード・アンド・デンジャー
7.タッチ・イン・ザ・ナイト
8.ザ・ブラック・ソーズマン
9.ヒーローズ・クエスト
10.ファー・ファー・アウェイ
11.エンジェル・クライ
12.ワイルド・チャイルド(日本盤限定ボーナストラック)

【メンバー】
ノーラ・ロウヒモ(ヴォーカル)
アントン・カバネン(ギター)
ユッソ・ソイニオ(リズム・ギター)
ヤンネ・ビョークロス(キーボード)
エーロ・シピラ(ベース)
プル・ヴィッキ(ドラムス)

◆バトル・ビースト『アンホーリー・セイヴィアー』オフィシャルサイト