ももクロ vs KISS、大型コラボの“キーマン”が明かす制作秘話を独占公開
洋楽邦楽を問わず、音楽ファンをいま一番賑わせているのが、ももいろクローバーZとKISSのコラボレーションだ。「夢の浮世に咲いてみな」をKISSが演奏しももクロが歌う。また「SAMURAI SON」としてそのKISSバージョンがKISS盤には収録されるなど、楽しみ満載のシングルリリースとなった。そのコラボの模様はテレビ番組やUstream、YouTubeなどで公開され、ファンはチェックしていると思うが、BARKSでは、なんとその仕掛け人である“キーマン”にアタック。ほかでは知ることのできない裏話の数々をキャッチした。コラボ企画が実現するまでどう進んでいったのか、楽曲の選定とその制作、そしてレコーディング秘話までを一挙に公開する。
◆ももクロ vs KISS~画像&映像~
■インタビュー
■プロデューサー:キングレコード イーブルラインレコード 宮本純乃介氏
──このコラボはKISS側からのオファーで始まったんですよね。
宮本:そうです。一番最初はKISS側からのコンタクトでした。なにかしらコラボレーションがしたいということで、最初はKISSの来日コンサートの前座として出てくれないかというレベルの話だったんです。でもそれだけではもったいない。どうせなら、制作も含めて一緒に作るところからコラボできないかということをこちらからオファーさせていただいて。
──その交渉はスムーズだったんですか?
宮本:そういうわけでもなかったです。マネージメントとKISS本人に何回か会いに行きました。ジーン・シモンズの家にも行って、こちらの考えを説明しましたね。それが2014年の2月だったかな。
──それで同じ曲をお互いのCDに入れることになったわけですね。ももクロ歌唱の「夢の浮世に咲いてみな」は双方に入って、「SAMURAI SON」はKISSのみのバージョンでKISS盤に入るという。この収録方法はどうやって進んでいったんですか?
▲「夢の浮世に咲いてみな」ももクロ盤 |
▲「夢の浮世に咲いてみな」KISS盤 |
──さすがポールは懐が広い。
宮本:そうなんです。とはいえ、ポールが一番最初に作ってくれていたものも、KISSが歌ったらハマるんだろうなと思って、それをKISSバージョンとして、KISSが歌ってももクロがコーラスで入るという逆の形にしたんです。だから表題曲を作る段階で、2つ作るということになりました。
──デモを最初に聴いたとき、サビのメロディラインの他に何か感じるものはありましたか?
宮本:いや、話合った通りに作ってくれていて驚きました。日本のマーケットのことなんかも考えていただいていて、なおかつももクロの過去曲なんかも聴いてくれていて、良い意味でこちらに寄せてくれているという感じはしました。
──それもスムーズに?
宮本:ツアーに入っていたので連絡が取れなくなっちゃって、じゃあロサンゼルスに行こうということになって、ポールとスタジオに入って、それぞれの楽曲の在り方なんかを相談させてもらいました。とにかくありがたいことにKISS側がももクロに対してとても理解があったので、概ねスムーズに進行しました。
──話が戻りますが、ももクロのメンバーはKISSとのコラボが実現できると聞いたときはどんな感じでしたか?
宮本:ええっ、あのKISSと~!?という感じで驚いていましたね。具体的にKISSの曲とかは知らなかったと思いますが、みんなKISSの存在は基本的に知っていました。メンバーの何人かはロゴの入ったTシャツとか持っていたみたいで、そういう面でも浸透してはいました。
──一番盛り上がっていたのは誰?
宮本:いやー誰だろう!? みんな盛り上がっていましたよ。高城れになんかは、昔にジーンのメイクをライブとかでしていたことがあったので。まさか本物と対面できて、こんなガッツリコラボができるとはっていう感じでした。曲ができてきたときは、みんな“カッコいい”って言っていました。
──一緒にレコーディングしたわけではないんですよね。
宮本:そうです。日本とアメリカでデータのやり取りですね。最初は一緒にレコーディングもしようと思っていたんですが、やっぱりスケジュールが合わなくて。だから一緒にやったのはCDジャケットとMVの撮影ですね。
──歌ってみた感想はどうでしたか?
宮本:歌詞が日本語なので、いつものレコーディングと同じ調子でしたね。逆に「Rock and Roll All Nite」は全編英語で歌ったので、ちょっと苦戦はしていました。どういうテンションで歌えばいいのか、最初は慎重に本人たちと話し合いました。ただこれはパーティソングなので、ノリでロックに歌い切ったほうがももクロらしく面白くなると思って。だからピッチとかもあまり気にせずにニュアンス重視でバシバシ録っていったかな。
──2曲目を「Rock and Roll All Nite」でいくというのも初期段階から決まっていたんですか?
宮本:そうですね、1曲はKISSのカバーにしようということは決めていました。ただそれを「ラヴィン・ユー・ベイビー(I Was Made For Lovin' You)」にするか「Rock and Roll All Nite」にするかは悩みました。KISSとも相談したんですが、「夢の浮世に咲いてみな」が割とマイナー調の格好いい曲に仕上がったので、それとのコントラストで「Rock and Roll All Nite」の方がいいかなぁと。KISSのライブといえば「Rock and Roll All Nite」なんじゃないかなと思って。
──とにかく一番盛り上がる曲ですものね。
宮本:「Rock and Roll All Nite」をレコーディングしたあとに、ラスベガスにMVとジャケットの撮影に行ったんです。そこでラスベガスでの公演に招待してもらって、ももクロたちは「Rock and Roll All Nite」をノリノリで歌っていました。最初はボックス席を用意してもらってそこで観ていたんですが、向こうのマネジメントが気を利かせてくれて、「一階のアリーナに降りてこい」と言ってくれたんです。それで客席のど真ん中にももクロを連れて行って、そこで日本の女の子が5人いるのが珍しくて、観客が椅子の上に立たせてくれたんです。そこでノリノリで観てましたよ。日本だったら考えられない(笑)。ももクロだけが椅子の上に立っているという、変な状況でした。
──MVでKISS本人たちと共演するわけですね。
宮本:そうです。プラン自体は日本で作り上げて。撮影は、KISS側がとてもフランクに迎え入れてくれて。ブルーバックで一人ずつ撮影していくので、けっこう待ちの時間があったりして、メンバーたちと交流していましたよ。向こうからも話しかけてくれたりしていたんですが、ももクロたちがガンガン突っ込ん行ってました。来日したら一緒に観光しようという約束を取り付けていましたよ(笑)。撮影自体は2日かけてやりましたが実にスムーズでした。役者が揃っちゃうと早いんです。それまでの組み立てが大変で。でもKISSはさすがプロ中のプロでした。
──そもそも、ジーンとポールは、ももクロのどんなところを気に入ったんでしょうか?
宮本:それぞれキャラクターがはっきり違うというところをすごく気に入ってくれていて。あと、毎回リリースごとにコンセプトを変えているので、楽曲や衣装の種類も豊富だしパフォーマンスも見てて楽しいと言ってくれていました。でもそれぞれ個別にキャラクターが確立しているというのが、KISSと共通しているというのが一番じゃないかな。
──日本のアイドルをそんなに良く知っているとは、彼らは広くアンテナを広げているんですね。
宮本:そうですね。日本はCDがまだ売れますよね。だから来日した時にタワーレコードなんかの大型CDショップに行って、CDが売れているという実情にとても驚いていて。そういう時にアイドルグループの棚なんかを見ていたらしく、どういうものが流行っているのかを知っていましたね。
──それでは最後に、今回の企画で一番印象に残っていることは?
宮本:相手はアメリカだしKISSだからということで時間はかかりましたね。何度も渡米して。それも苦労した事なんですが、なんといっても一番印象深いのは、ジーンの家に行ったこと。2回招待されたんですが、家がお城みたいにめちゃくちゃ広いんです。そこにこれまでのKISSのグッズがズラリと展示されている。そこで本人から解説してもらって、感激しました。あの数は凄かった。それが一番印象に残っているかな(笑)。
「夢の浮世に咲いてみな」は3連続シングルリリースの第一弾。この後、3月11日発売の「青春賦」、そしてアニメ『ドラゴンボール』の主題歌へと続いていく。その間には、3月3日のKISS武道館公演に特別参戦することも要チェックだ。
では、ファンはすでに聴いていると思うが、このシングル「夢の浮世に咲いてみな」の出来を徹底チェックするレビューを次ページに掲載するので、ぜひ読んでみてほしい。
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