【インタビュー】植田真梨恵、1stアルバムに「信じることからはじめてほしい」

■昔、“私の死ぬまでにしたい30の夢”を書き出したんですけど
■その１位がミシェル・ゴンドリーにアートワークをやってもらうこと

▲アルバム『はなしはそれからだ』初回盤

──そして、「さよならのかわりに記憶を消した」ですが、これはアルバムの最後の曲という感じで書いていたんですか。

植田：これも古くからあって、ライブでよくやっていた曲なんですけど。ずっと入れたかった1曲ですね。もしこのアルバムのなかで聴いてもらえるなら絶対に最後だろうと思って。波音の感じとか、ちょっと宇宙っぽい感じとか、広がっていくような雰囲気で、最後に入れられたらいいなと思ってアレンジを進めていきました。

──そういったアレンジの方向性は最初からですか。

植田：正直ここまでがっつりではなかったんです。グランドピアノ一本で録ってるものに対して、いろんな音が後から加わっている状態なので。アレンジは以前、「変革の気 蜂蜜の夕陽」のアレンジをしてもらった、友人のjoe daisqueにお願いしたのですが、冒頭の「Intro」と、この「さよならのかわりに記憶を消した」は、波の音でつながっていく、そういうものにしたくて、イメージを伝えながら作ってもらった感じです。

──「Intro」と「さよならのかわりに記憶を消した」でアルバムのブックエンドになってますね。そこはアルバムが見えてきた時にある程度構想としてあったんですか。

植田：アートワークも含めて見えてきた時にできた感じですね。せっかくだったら、“日常からもっと広いところに行けるようなっていうイメージ”ということで、アレンジャーの人の雰囲気も合うなっていうところでお願いしたんです。「さよならのかわりに記憶を消した」には、すごく素敵な偶然があって。そのアレンジャーの子が、波音を録りに行った時、たまたま海岸に座っていた外国人のカップルがいて。で、声をかけて、ふたりが出会った時のことを教えてくださいって英語で話しかけて話してもらったらしいんです。その後、すごいテンションで、「ヤバいの録れたよ！」と電話がかかってきて（笑）。ふたりが出会った時のことを話してるですけど、まさにこの曲のストーリーと、インスパイアされた映画の流れともばっちりで、ほんといい偶然だなって。

▲アルバム『はなしはそれからだ』初回盤

──そういういい偶然を、演奏もアレンジもそうですが、空気に閉じ込めた作品ですよね。アートワークについて先ほどミシェル・ゴンドリーを彷彿とさせる感じと言ったのですが、この手作りの感覚は、植田さん自身が作ったものだとか。

植田：はい、作りました。メジャーのタイミングから一緒に制作してくださっているデザイナーの方と段ボールを切って、布買ってきて貼りつけたり。すごく楽しかったですよ。マンションの部屋をたくさん作って、いろんな人が住んでいる雰囲気にしたかったので、壁紙を変えて何部屋か作ったんですよ。ジャケットは、そのなかのいちばん真っ白い部屋で。他の部屋はブックレットの中面で使ってます（笑）。

──まさにこのダンボールで作る感じがミシェル・ゴンドリーの世界観ですよね。

植田：大好きなんですよね。ほんとはミシェル・ゴンドリーがやってくれたらいいんですけどね（笑）。昔、“私の死ぬまでにしたい30の夢”を書き出したんですけど、その１位がミシェル・ゴンドリーにアートワークをやってもらうってことなんです。きっといろんなことを経ないとやってもらえないことだから、それがいちばんの夢なんですけど。だから、自分でこんな感じって作っていくと、ミシェル・ゴンドリー感が出ちゃいますね。好きなんですよね。

──アルバムタイトル『はなしはそれからだ』に込めた思いは？

植田：今、この一枚をまず聴いてくださいというアルバムにしたかったんです。手作りであるとか、想像してなにかをはじめることが、今、私が大事にしているところでもあったので。タイトルには、まず第一歩として、想像してみたり、信じようとしてみたりすることからはじめてほしいなという思いがこもってます。

取材・文◎吉羽さおり





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