1月28日にリリースされたダイアナ・クラールの新作『ウォールフラワー』は、同郷カナダ出身のプロデューサー、デイヴィッド・フォスターと初めて組んだ作品で、ジャズではなく、60年代、70年代のポップ、ロックの名曲を歌っている。しかも流行りのジャジーな歌唱とかではなく、子供の頃から聴いていたそれらの歌に対する、リスペクトの気持ちが伝わってくるようなナチュラルな歌唱が新鮮で、魅力再発見にもつながる。本来2014年10月に発売予定だったが、本人が重度の肺炎に罹り、ツアーの延期と共にリリースも見送られていたので、待ちに待った発売である。体調が復活し、元気になったダイアナに新作について話を聞いた。

◆ダイアナ・クラール~画像&映像~

――このポップ・アルバムの企画は、どのようにして生まれたアイディアなのでしょうか。

ダイアナ・クラール(以下、ダイアナ):デイヴィッド・フォスターとは付き合いが長いけれど、1年前かな、初めてのミーティングを持ったのは。その頃私は、ニール・ヤングとツアーをしていて、デヴィッド・クロスビーやグレアム・ナッシュとも初めて出会った。そんな時期に企画を練ったのよね。

――60年代、70年代も名曲宝庫の時代。その中からの選曲は、何か指針になるようなもの、曲はあったのでしょうか。

ダイアナ:いつも新作を制作する時、前作とのつながりを置きたいと思っているので、今回は、前作『グラッド・ラグ・ドール』のツアーの時からボブ・ディランの「ウォールフラワー」を歌っていたので、この曲は絶対に歌いたいと思ったし、アルバムのタイトルにもすべきじゃないかと考えたのよ。

――多くの曲のオリジナルは、男性アーティストですよね。歌詞を解釈するうえで、女性視点に置き換えて歌ったりするのでしょうか。

ダイアナ:「デスペラード」にしても「スーパースター」にしても、男性だけが歌っているわけではなくて、私の頭にあったイメージは、リンダ・ロンシュタッドだったり、シャーリー・バッシーだったから。それにカヴァーする際に男性、女性の境界線は、私のなかにはなくて、あるのはジョニ・ミッシェルだけ。いつも彼女のことを思って歌っているわ。

――プレスリリースによると、デイヴィッドに説得されて、「夢のカリフォルニア」や「ウォールフラワー」でピアノ・ソロを演奏したとあります。最初は、歌だけに集中するつもりだったのですか。

ダイアナ:そう計画したわけではないけれど、ピアノを弾かないことで、選曲の幅が広がったというか、ピアニストの自分としては曲選びに慎重になるので、ピアノがないぶん自由に曲を選ぶことが出来た。たとえば、「オペレーター」とかはとても難しい曲なので、そのプレッシャー抜きに歌だけに焦点を絞って選ぶことが出来た。その点はおもしろかったわ。

――あなたの代わりにデイヴィッド・フォスターがピアノを演奏したのですね。

ダイアナ:私は、ピアニストにはどうしても厳しくなってしまうの。キーはこれがいいとか、こういう演奏にして欲しいとか、つい注文が多くなってしまう。長い付き合いのなかで、今回デイヴィッドがいかに優れたピアニストであるかを知ったわ。とりわけ「デスペラード」のピアノなんてもう最高!! 彼のおかげで私は、シンガーになりきることができた。彼は、もともとジャズ・ピアニストだったから、私には弾けないような音を弾くし、今日も彼の曲がラジオから流れてきた時に、彼のピアノが素晴らしくて、思わず泣いてしまった。

――ゲストにマイケル・ブーブレ、ブライアン・アダムス、ジョージィ・フェイムスを迎えていますが、夫エルヴィス・コステロと共演するつもりはなかったのですか。

ダイアナ:彼の曲は、本当に難しいの。以前にやったけれど、すごく大変だった。それが今回選曲しなかった理由(笑)。でもね、彼と一緒に日本には行きたい。子供達が日本のポップカルチャーの大ファンなので、一緒に連れて行き、彼とコンサートで共演したいと思っているの。誰か呼んでくれないかしら(笑)。

――ぜひ夫婦共演のコンサートを日本で観たいです。実現する日を楽しみに待っています。

取材・文●服部のり子







『ウォールフラワー』

2015年1月28日発売
通常盤(SHM-CD):UCCV-1150
限定盤(SHM-CD+DVD):UCCV-9577
CD
1 夢のカリフォルニア / ママス&パパス (1965年)
2 デスペラード / イーグルス (1973年)
3 スーパースター / デラニー&ボニー (1969年)
4 アローン・アゲイン duet with マイケル・ブーブレ / ギルバート・オサリバン (1972年)
5 ウォールフラワー feat.ブレイク・ミルズ / ボブ・ディラン (1971年)
6 イフ・アイ・テイク・ユー・ホーム・トゥナイト / ポール・マッカートニー描き下ろしの新曲
7 言い出せなくて / イーグルス (1979年)
8 悲しみのバラード / エルトン・ジョン (1976年)
9 オペレーター / ジム・クロウチ (1972年)
10 アイム・ノット・イン・ラヴ / 10cc (1975年)
11 フィールズ・ライク・ホーム duet with ブライアン・アダムス / ランディ・ニューマン (1995年)
12 ドント・ドリーム・イッツ・オーヴァー / クラウデッド・ハウス (1986年)
13 イン・マイ・ライフ / ザ・ビートルズ (1965年)
14 イェー・イェー duet with ジョージィ・フェイム / ジョージィ・フェイム&ブルーフ
15 悲しみのバラード - ライヴ
16 ウォールフラワー - ライヴ

DVD ライブ映像
1 悲しみのバラード / ケース・オブ・ユー / ウォールフラワー