【インタビュー】どうしてコブクロのふたりは、タイアップ曲を次々と生み出すことができるのか?

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人気ドラマ『DOCTORS3 最強の名医』の主題歌として、すでに評判を呼んでいる「奇跡」。遂にそのリリースが迫ってきた。しかしこの歌、始まるやいなや、すぐ目の前に、確かな世界観が広がる。“奇跡は起こすもの”という、ポジティブなメッセージがコブクロらしいし、同じアップテンポでも、これまでとはちょっと違う疾走感が耳に心地よい。過去にもドラマや映画の主題歌を多く手がけてきた二人だが、今回は力の入れようも違っていたらしく、そのあたりもじっくり語ってもらった。なお、カップリングの「Twilight」と「信呼吸」も、彼らならではの歌心に溢れている。

◆コブクロ「奇跡」ミュージックビデオ映像

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■ドラマは一切観ないでレコ-ディングした。逆に小渕はすごい観てる
■コブクロとして一生歌っていく歌だから、ふたりの棲み分けをハッキリとする

──今回の「奇跡」は、ドラマ本編を実際にご覧になってから曲を作ったそうですね?

小渕健太郎:いつもは最初の1話分の台本くらいしか頂けてないところから書いたりもするんですが、今回は約16話を観てからなので、溢れんばかりにイメージがありましたね。でも、そのなかで一番強く感じたのは、“医者は何に立ち向かっているのか?”ということで、そこに向けて曲を作ろうとしてました。

──候補となるものが何曲もできたとか。

小渕:はい。実は今回、久しぶりに詞先でやってみたんです。でも書き出したところ、言葉がもの凄い量になってしまって。パソコンでスクロールしてもスクロールしてもまだ下に歌詞が続きます、みたいになって……。

黒田俊介:珍しいですよねぇ。「歌詞が止まらへん!」というのは。みんな、曲はできても歌詞がなかなか出てこないのに(笑)。

小渕:プリントアウトしたら紙に三枚くらいもあって、どこからメロディつけようかなって思ったんですけど、「立ち向かっていく人の強さだったり、時には葛藤だったりを表すにはこういうメロディかな」って考えて、歌い出しの部分からやり始めて、まずワンコーラスが完成したんです。結局、まずパターンAができて、さらにBがあり、迷いながらCを作り、そのあとできたDを黒田に送ったんです。でも……、ヌルい反応しか返ってこなかった。





▲2014.11.12.<KOBUKURO Acoustic Twilight Tour 2014>初日の模様@北海道ニトリ文化ホール

黒田:それがちょうど「アコースティック・ツアー」(<KOBUKURO Acoustic Twilight Tour 2014>)をやっていた最中で、実は小渕が楽屋でよく作りかけのを歌ってたんです。で、盗み聞きしてたわけじゃないんですけど、「これええぞ」ってのがあって。「あれが作品になったら…」って思いつつも、その時は直接は言わずにいたんですよ。そしてデモテープが届いて、でも送られてきたのは“これええぞ”とはぜ~んぜん違ってた。「お前、こないだ楽屋で歌ってた、あのメロは何処へいったんや!?」というくらい、違ってた。

──だから反応もヌルいものになったわけですね。

小渕:結局、黒田の反応からして四つ目に書いたDがダメで、こうなったらEを作るしかなくなったけど、もはやノーアイデアで……。「もう、ふたりでメロディつけるしかないな」って、黒田をスタジオ呼んだんですよ。そしたら黒田が、「とりあえず今までのやつをもう一回聴いてみよう」って言って──

黒田:「送ってくれたのどれ?」って訊いたらDだっていうから、「よしA聴こう!」って。そしたら「これ~っ!」って、すぐ決まった。そのこと自体がまさに“奇跡”みたいでした(笑)。

──上手いまとめ方、ありがとうございます(笑)。

小渕:やはり久しぶりの詞先だったというのが、こういう結果につながったんでしょうね。詞があるという時点ですでに曲に意味を込めてしまっているから、それをいくらでも、どんなものにも、曲に関しては色づけして変えられたんですよね。なので今回のBからDは、全部ストック箱に入れました。でも、いずれなにかに活きるかもしれないし。

──ボーカル録りの時に黒田さんが心掛けたことはなんだったんですか?

黒田:実は最近、「ああやって歌おう、こうやって歌おう」みたいなことは、どんどん薄れていってるんです。たとえ決めて掛かっても、スタジオの感じとかマイクの状態もその時により違うので。それで、パッとオケを聴いて歌ってみて、その場で小渕と「こうやろうと思うけど、どう思う?」「もうちょっとこうのほうがええんちゃう?」とか話し合うんです。でももし決めて掛かってたら、なにか言われても、「ちょっと待ってくれぇ。俺はこれでやるんだから!」ってなってた。

──すでにヴィジョンがあると、頑になる。

黒田:そう。でもそれでは化学反応も起こらないので。逆に、今回とかはヘンな策がないからこそ、その場面その場面の歌詞に特化して歌えるというか……。あと、実は僕、ドラマは一切観ないでレコ-ディングしてるんですね。マネ-ジャーからは「観てください」って言われても、断固として観ない。逆に小渕はすごい観てる。

──観ないのには、なにか理由が?

黒田:僕も観てしまうと、僕は僕でドラマに対してのイメージができるし、そうなると小渕の曲に対して、「ちょっと違うと思う……。医者のドラマならこういうほうが合うと思う」とかって、ややこしいことが起こってくるんですよ。なのでドラマに合うかどうかは小渕に任そうって思ってて。その代わり、コブクロに合うかどうかは「俺、判断するぜ」って。ドラマが終わっても、この歌はコブクロとして一生歌っていくので。そういうふたりの棲み分けは、ハッキリしてる。ただ、プロモーションでドラマに出演している役者さん達にお会いした時は、ぜんぜん観てないから気まずかったんですけど(笑)。

──その後も観てないんですか?

黒田:いや、始まってからは第1話から観て、「そういえば小渕が高嶋(政伸)さんパンチあるって言ってたけど、確かにパンチある!」とか楽しませてもらいました(笑)。それでエンディングで流れてるの実際に聴いても「確かにドラマにおおてるなぁ」って。

──この歌で伝えているメッセ-ジについては、“奇跡は起こすものなんだ”という、冒頭の歌詞が印象深いです。



小渕:僕自身が医療に携わることはできないけど、患者という立場とか、あと、肉親が手術するかどうかの瀬戸際で、といった経験はあって、そういう時、この歌のようなことを思うんですね。信じること、そのものが奇跡。というか、それ以外に何があるんだろうって。「起こればなぁ」では起きないんですね。実は、この“起こしていく感覚”って、コブクロのなかにもあるんです。「たまたま今日はよかったな」なんてライブは1個もなくて、それはひとつ前の公演の反省があって、次に歯車が合って相乗効果も生まれてこそのものなので。

──“奇跡”という言葉を遠くに置いて拝むというより、手元に引き寄せるための歌なんでしょうね。

小渕:そう聴いて頂けるのなら嬉しいですね。でも、歌詞にもありますが“何千億分の1”のレースを勝ち抜いたからこそ人間は生まれてきたし、奇跡が起こらなかったのなら、その人はこの世にいないわけですよね。なのでこの歌も、そこから始めようっていう想いはあったんですけどね。

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