シンガー・ソングライターの森広隆が不定期で開催しているライヴ・イベント<JAM ADDICT>。彼がリスペクトするアーティストをゲストに招き、ジャム・セッションを繰り広げようという趣向である。今回のゲストはスキマスイッチの大橋卓弥。森は以前から度々ラブコールをおくっていたとのこと。大橋も快諾したものの、なかなかスケジュールが折り合わず、この日、ようやく実現に至ったのだという。

◆森広隆~画像~


開演時間を少々過ぎると、森が1人でふらりとステージに登場。軽く一礼してステージ下手に座ると、会場内が暗転。彼はおもむろにギターのチューニングを始めたかと思うと、「Rainbow Seeker」のイントロを弾き始めた。会場もすぐさま手拍子でそれに応え、まずは森の弾き語りからライヴはスタートした。続いて「交差点」をしっとりと聴かせたところで、“ずっと一緒にやりたいと思っていました。今日、ようやく実現して嬉しいです!”と大橋を呼び込むと、大橋が笑顔で登場。大きな拍手が沸き起こる中、2人はハグをして共演できることの喜びを表現した。がしかし、“森君、今日衣裳忘れてきたでしょ? 今、楽屋に届いたよ”と大橋が声をかけると“あ、じゃあ、着替えてきます”と森が退席。今度は大橋が1人で弾き語りをすることに。大橋は何も決めていないと言いながら、歌詞やコードの書かれたファイルをめくり、歌う曲を吟味。“いきなりカバーもなんだから…”とまずは彼のソロ・ナンバー「塊」を披露した。歌い終えると“かっこいい~!”“今日はどうやって来たの?”など会場から次々に歓声や質問が飛んだ。大橋はそれに答え客席と会話をしながら、次の曲を選ぶ。愛に溢れた曲で大好きだという森山直太朗の「生きてることが辛いなら」、玉置浩二の「しあわせのランプ」の2曲をカバーした。


ここで着替えをすませた森が再びステージに登場。ついに2人がステージに揃った。いよいよ2人のセッション…とはならず、2人は楽しげに話し始める。初めて会ったときの話や、飲みに行ったときのことを喜々として語り合う。この日のライヴに向けて曲を決めるときにジョン・メイヤーの曲も候補に挙がったという話になると、森が即興で「Who Says」を弾き出し、すぐに大橋が合わせて即興のジャム・セッションとなり、突如2人のセッションがスタートした。まずは大橋が選んだという森の曲「白日」。この日は“2人だけでどこまでできるか”がテーマということで、バンドのサポートはなく、バックは2人のアコースティック・ギターだけ。2人はボーカル・パートを分け、サビでハモリながら歌いつづっていく。続いて、今度は森が選んだ大橋の曲「magic girl」へ。森がエレキ・ギターに持ち替えて、艶やかなサウンドで酔わせた。

“普段とは違うことをやりたい”という大橋の提案で、ビートルズの「Nowhere Man」はアカペラで披露。大橋が太ももを叩きながらリズムを出すと、繊細な森、力強さを感じさせる大橋、いずれも伸びやかながら対照的な2人の声があわさり見事なハーモニーを作り出した。アカペラで歌う経験がほとんどないからドキドキすると言っていた2人だが、しっかり聴かせるところはさすがである。歌い終えると2人はハイタッチ。無邪気な2人の笑顔が印象的だった。

中盤にはお互いの曲を1人でカバーするコーナーが設けられたが、曲順をジャンケンで決めることに。勝った大橋が先に歌うことになり、森の「ひとりじゃないさ」をカバー。一方の森はスキマスイッチの「アーセンの憂鬱」をカバー。ライヴ中にお互いが言っていたが、どちらの曲もまるでそれぞれのオリジナル曲のようで、改めて2人の表現力の豊かさと個性の強さを感じた。森が大橋と一緒にやれば、自分でも知らなかった自分の曲の良さを引き出してくれそうという趣旨の話をしていたが、まさにそれぞれの曲の新たな魅力を伝えてくれた場面だったと思う。

終盤に突入し、ライヴも佳境へ。森がエレキ、大橋がアコギをプレイした「ブルース」では、途中、ギター・ソロの応酬も。まずは森が流麗なソロを奏でると、即座に大橋がアコギからエレキに持ち替えて、情感的なソロを聴かせた。2人の大熱演に演奏が終わると大きな拍手が巻き起こった。最後は森の曲「愛のbeat」。2本のアコースティック・ギターが奏でる軽快なビートに合わせて会場からは手拍子が起こり、ミラーボールも回り出す。終盤にはフェイクのかけあいも飛び出し、大きな盛り上がりを見せてライヴは終演。2人は握手&ハグで健闘を讃え、笑顔でステージを降りていった。

アンコールでは2人のサポートを務めているドラマーの村石雅行が飛び入り参加。急遽、ドラム・セットが組まれ、3人でセッションをすることに。スキマスイッチの「君の話」では村石のドラム・ソロもフィーチャーして盛り上げた。最後は森の「funk redemption」。“一緒に歌ってほしい”と、まずはサビの“応答どうぞ”“こちらPlanet Earth”のコール&レスポンスをちょっと練習。これがばっちりの出来で“すごくいい感じ!”とそのまま曲に雪崩れ込んでいった。本番では森→大橋の順番でコール&レスポンスを繰り広げたが、2人とも即興でメロディを変えて歌っていく。観客も見事なもので、しっかりと彼らが歌うようにレスポンスを返すと、会場に大きな一体感が生まれてライヴは大団円となった。

ライヴ中、2人は“ヤバい!”“すごく楽しい”を連発し、終始笑顔で歌っていたのが印象的だった。歌うこと、音楽を奏でることの楽しさに溢れた2人の笑顔は、もちろん会場にもしっかりと伝わっており、2人が生み出すハーモニーに心地よく酔い、誰もが笑顔になってしまう、そんな素敵なライヴだった。

取材・文●竹内伸一
写真●タカハシアキラ[CRYSTAL-STYLE]



リリース情報

森広隆『LIVE ON PLANET EARTH』
¥4,000-(tax in)MORI-0002
レーベル:BRIDGE RECORDS & AGENCY
mellow tones label
・全曲コード譜セット
1.Fuzz Master
2.退屈病
3.エレンディラ
4.密室
5.黒い実
6.並立概念
7.雨は止まない
8.不思議な模様
9.Pebama
10.悪魔の提言
11.Trash
12.ただ時が経っただけで
13.ゼロ地点
14.CYCLONE
15.交差点(Studio Live)


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