結成23年目に突入したPENICILLINが3月18日、初のカバーアルバム『Memories ~Japanese Masterpiece~』をリリースする。これまでにシングルのカップリングという形で「シルエットロマンス」や「飾りじゃないのよ涙は」「夢の途中~セーラー服と機関銃~」など、女性シンガーによる昭和の大ヒット歌謡曲をカバーしてきた彼らだが、このアルバムのオープニングにはなんと、石川さゆりの「天城越え」を収録した。同曲ではPENICILLINならではのメタル要素を加えたダイナミックなアプローチに加え、歌い継がれてきた演歌の代表曲の魅力を損なうことなく、見事に自分たちのものにしてしまっている。

◆アルバム『Memories』SPOT映像

収録曲はこの他、イルカでおなじみのフォークの定番ソング「なごり雪」やエキゾティックな曲のムードがPENICILLINにドハマりの「異邦人」など、新たにレコーディングされたカバーも聴きどころ満載だ。さらに、アルバム初回盤のジャケットはPENICILLINというバンド名の由来になった漫画『TO-Y』の作者で知られる上條淳士氏がPENICILLINメンバーを描き下ろした夢のコラボレートが実現。バンド結成以前の少年時代の想いもたっぷり詰まったメモリアルなカバーアルバムについて不動の3人に話を聞いた。

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■ロックや洋楽に目覚める前に出会った曲が多いから
■自分たちも原点に帰れたり、新しい発見があったり

──PENICILLINは2013年から2014年にかけて発表したシングル「幻想カタルシス」「SOL」のカップリングで昭和歌謡の女性ボーカリストの大ヒット曲をカバーしてきましたが、『Memories ~Japanese Masterpieces~』は全曲カバーという初の試みになりましたね。どんな流れでアルバムとして、まとめようという話になったんですか?

HAKUEI:けっこう自然な流れでしたね。「幻想カタルシス」というシングルのカップリングで“女性ボーカリストのカバーをやってみませんか?”という提案がスタッフからあって“面白そうだね”って思ったのがキッカケだったんですけど、チャレンジしてみたら新鮮で、ライブの中にカバーを組み込んだら今までにない刺激があったんです。で、2枚のシングルで計6曲カバーをしたので、「もう少しレコーディングしたらアルバムにできるんじゃない?」っていう。

O-JIRO:2013年からの流れでいくとカバーは今回のアルバムで3回目のレコーディングになるから、自分たちも成長しているし、1枚を通して聴いたときにバラつきが出たらイヤだなと思っていたんです。でも、マスタリングしたアルバムを通して聴いたらそんなことはなく、カバーする姿勢がブレることなくできたのかなって。原曲の持っている雰囲気を壊さないでPENICILLINがカバーする。そのさじ加減が良かったんじゃないかと思いますね。

──そのバランスがいちばん難しいところですか?

O-JIRO:そうですね。でも、原曲を好きな方にも、是非聴いてほしいと思うぐらいのいいアレンジができたと思います。それはすごく嬉しかったですね。

──シングルのカップリングでは山口百恵さんや中森明菜さん、薬師丸ひろ子さん、大橋純子さんらのヒット曲をカバーしましたが、今回のアルバムでは、さらに幅が広がり、石川さゆりさんの「天城越え」やイルカさんバージョンが大ヒットした「なごり雪」もカバーしていますよね。PENICILLINが演歌もカバー?って驚く人もいるかも。

千聖:「天城越え」は今回は絶対カバーしてみたかったんですよね。もちろん、どんな曲もHAKUEIの声に合うかが大前提なんですが、歌ってもらったらやっぱり良かったから、あとは許諾が下りるかな?ってドキドキながらアレンジしていましたね(笑)。

──ギター弾きまくりですもんね(笑)。

千聖:申し訳ないんですがこの曲に限らず、他の曲と同様に好き放題弾かせてもらってますね。なのでギター録りだけピックアップしたらレコーディングはすごく楽しかった。歌に関してはオリジナルにある程度沿った歌い方をしたほうがいいのか、HAKUEIくんらしさを大事にしたほうがいいのか、せめぎ合いはありましたけど、選曲したのが自分たちが子どもの頃に聴いて育った曲ばかりなので、ある意味ルーツなんですよね。ロックや洋楽に目覚める前に出会った曲が多いから自分たちも原点に帰れたり、新しい発見があったりとか。

HAKUEI:当時はTVも歌番組が多かったし、ヒット曲がどこでも流れているような時代だったから、身体に染みついて思い出に残っている曲ばかりなんですよね。歌のテクニカルな部分は「この曲はここの部分のビブラートがいいのかな」とかできるだけ工夫しました。昔は一発録りが多かったから、リズムが半拍食ってるとか、その場の空気感も入っていると思うんですけど、「このヒューマンな感じがいいのかもしれない」って歌ってみたりとか。身体に入っている曲ばかりだったので、あとはいかに表現するかだけ。レコーディングは楽しかったです。

──あとで、新録の5曲についても語っていただきたいんですが、まず、昭和歌謡をカバーして、改めてPENICILLINというバンドについて思ったことはありますか?

千聖:やっぱり、どんな曲でも原曲のリスペクトはしつつ、自分たちの色に綺麗に染まっていくっていうことですかね。オリジナルと聴き比べてもらったら、PENICILLIN節が入っているのが如実にわかると思います。改めて原曲の凄さがわかったし、次に自分たちがオリジナルを作るときの参考にできるなって。

HAKUEI:カバーするときは、“もしPENICILLINにこういうメロディでこういう構成の曲があったら、こんなアレンジをするだろうな”って考える感覚もあったので、いつもと同じぐらい色濃く自分たちが出ていると思います。千聖くんやO―JIROくんの個性もわかりやすく出ているし、そのセンスがあるから一緒にやっていて面白いんだなって。最終的にPENICILLINになるんだなと思いましたね。

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