十数年にわたりB'zのサポートベーシストを務めるバリー・スパークスが、ライオット・オン・マーズという名の新たなるバンドを結成、デビュー・アルバムをリリースした。なんとボーカルはマイク・ヴェセーラである。

◆「Prologue」ミュージックビデオ

サウンドは紛うごとなき1970~1980年代を彷彿とさせるハードロックサウンドだ。心地よい様式のギタープレイ、メロディアスなフレーズはボーカルメロにもギターソロにも満載され、エッジの聞いたサウンドと甘くなめらかなスムーズトーンがサウンドにコントラストを与える。バリー・スパークスは往年のハードロックを2015年に伝承するエバンジェリストのようだ。

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■いつの時代からメロディがあるソロが
■カッコ良くなくなったんだい?

──いきなりのバンド結成、ビックリしました。

バリー・スパークス:B'zのスケジュールが空いている時にUFOでもツアーをしているんだけど、フィル・モグ(Vo/UFO)と一緒に曲を書いていたりしていてね。ある時、アイスランドの火山の爆発の影響で飛行機が飛ばなくなって、何十時間もバス移動になった時があったんだ。バスの中で曲作りを始めて4曲くらいできたかな…デモっぽいのも10曲ぐらいまとまって、「じゃあUFOの次のアルバムで使ったらいいじゃん。クールだね」って言っていたんだけど、結局そのまま1~2年は寝かせてた曲があってね。この曲、どうしょうかな…って思っていたんだけど、この前キラーンって閃いた。「マイク・ヴェセーラがいたじゃないか!」って。

──ほお。

バリー・スパークス:マイクとはイングヴェイ・マルムスティーンと演っていた時に一緒にツアーしていたからね。彼は今まで出会った中でワン・オブ・ザ・ベストのヴォーカリストだったので、この作品を聴かせてみたんだよ。そうしたらすごく気に入ってくれて、「俺も一緒に書くよ」って乗ってきてくれた。アルバム制作が始まったのはそんないきさつなんだよ。

──バリーのソロプロジェクトではなく、ライオット・オン・マーズというバンド名義になったのは?

バリー・スパークス:マイクとは20年来の友達で、どんな曲でも歌えるし1回だけのソロじゃなくて、何かに繋がる種みたいなものを生み出したかった。そこからまたビルドアップして発展させていきたいという思いもあったから。マイクが全部歌って、楽器のほとんどを自分が演奏しているけど、それは自分のヴィジョンを実現するにはそれが一番いいと思ったからなんだ。「全部俺がやりたい」という意味ではなくて、3~4曲作った時点でアルバムとしてのヴィジョンが見えてきたから、それをスムーズに進めるためだよね。いろんな人が入ってくると、台所の中にたくさんの料理長がいるみたいになっちゃって、考えがバラバラになるから。

──そこで見えたヴィジョンというのはどういうものですか?

バリー・スパークス:よく、「古き良きクラシックなロックアルバムを作ったぜ!」って聞くんだけど「そうかな…」って思うことがけっこう多くてね、だから自分はほんとにそういうものを作りたかった。レインボーの『ライジング』の隣に並んでいても遜色ないようなアルバムをね。メタルじゃなくて、クラシックハードロックのアルバムを作りたかったから、ギタートーンとかもリッチー・ブラックモアが演るような感じとか、ジミー・ペイジのようなクランチな音で、ベースの音もしっかり聴こえてほしかった。自分がすごく好きな、1976年から1978年のクラシックハードロックだね。

──1976年~1978年って、ずいぶんピンポイントですね。

バリー・スパークス:その時代の感じの音を今の自分がやったらどうだろうって思ってね。自分が好きだった音を作ってみたかったんだ。初期のラッシュとか、リッチー・ブラックモアズ・レインボー、ディープ・パープル…キングスXの『グレッチェン・ゴーズ・トゥ・ネブラスカ』にはすごい影響を受けたな。マイクもそういったハーモニーはすごく好きだから、「ハーモニーをクレイジーなぐらいにやってもいいよ」と言ってね。今の音楽シーンって、いいと言われるもののスパンがすごく早いでしょ? だからこそ、人からいいと思われるものを作るのではなく、自分たちがいいと思うものを作りたかったんだ。

──この作品ではベースはもちろん、ギターやマンドリンまで多くの弦楽器をプレイしていますね。

バリー・スパークス:最初に手にした楽器がギターだったからね。リッチー・ブラックモアのツアーでもギターを弾いたことあるし、マイケル・シェンカーのツアーでもギターを弾かされたことがあるし。

──B'zのステージでも弾いていましたよね。

バリー・スパークス:そうだね。「楽器は何?」と聞かれたらもちろんベースプレイヤーって答えるけど、素晴らしいギタリストと一緒に仕事をすることが多かったから、ギターは好きだよ。

──アルバムでは、マンドリンのサウンドもすごく効いていますよね。

バリー・スパークス:サンキュー! バラードだけじゃなくて、ハードな楽曲で使うのはレッド・ツェッペリンの影響かな。

──UFOもマンドリン使ってましたよね、あ、マイケル・シェンカー・グループか。

バリー・スパークス:マイケルは、アコースティックギターとマンドリンをダブルで録ることがあっても、単体では使ってないかな。マンドリンはミックスのバランス加減が難しい。ロックギターがいっぱい入っているから、目立ちすぎないように、でもちゃんと聴こえるように何度も何度もやり直したよ。

──レコーディングは順調でしたか?

バリー・スパークス:ホームスタジオでやったので、いつでもすぐできるし何でもトライできるからすごいいい環境だった。バンドだといろんな意見がでてくるからその調整に時間がかかるよね。

──自分で自由にできる反面、終われない深みにハマる難しさはありませんか?

バリー・スパークス:思いつくことはすべてやったから、どの曲もこれでハッピーっていうところには辿り着けたよ。途中からアルバムの全体像がイメージできて、だんだんエンジンがかかってやりやすくなった。ブズーキで作った曲もあるし、インストも入っているし。5曲目の「Prologue」は1分間のインストで、もともとはUFOで使おうと思って書いた曲なんだ。UFOの『オブセッション』というアルバムってマイケル・シェンカーにとっても絶頂期だったと思うんだけど、MSGの『神』も『オブセッション』にも短いインストが入っていて、ちょこちょこ顔を出すんだよね。このアルバムも「Prologue」みたいにインストが時おり顔を出すようなところがあるんだ。

──「Prologue」は僕も気になっていました。何故“プロローグ”なのに5曲目なんですか?

バリー・スパークス:それは説明させて(笑)。ほんとは「Prologue」が1曲目で、今13曲目に入っている「Alba Patera Suite」がエピローグ…すなわち最後の曲になるはずだった。でも、「Carry on」のイントロのインパクトがすごい良かったから「アルバムの1曲目はこれしかないだろう!」みたいになってしまってね、ものすごく悩んだんだ。何日も悩んだけれども、結局そのインパクトが忘れられずに「Carry on」を1曲目にもってきた。それで「Prologue」は5曲目に移動になったんだけど、もう既に「Prologue」という名前で呼んでいたから、違うタイトルも付けられなくて(笑)。

──確かに最初のインパクトは、「往年のハードロック出たーッ」て感じでした。

バリー・スパークス:実はね、一番最初は「Carry on」の出だしはマンドリンのフレーズだったんだ。でもアルバムの頭はやっぱりドカーンと行ったほうがいいからね。8曲目の「All to Light」のギターイントロも、本当はUFO用にと思って書いたイントロだったんだよ。

──ファットで滑らかなトーンですね。

バリー・スパークス:マイケル・シェンカーの影響かな。Tak(B'z 松本孝弘)もそういう感じのトーンだよね。ワウを通した音はすごく好きだな。

──実際ワウをつなげて半開きにしているんですか?

バリー・スパークス:うん。クライベイビーのペダルを調整しながらちょうどいいスウィートスポットを見つけて演った。ノイズが出たりするからものすごく難しかったけど、最終的にはいい音が録れたよ。

──13曲目の「Alba Patera Suite」にもウォームなトーンで出てきますよね。

バリー・スパークス:これはボストンっぽいかな。

──トム・シュルツのロックマンサウンドですね。

バリー・スパークス:今の若者たちはスリーコードで弾いていることが多いけど、いつの時代からメロディがあるソロがカッコ良くなくなったんだい? 俺たちは作るよ、メロディアスなソロが入ったアルバムをね。音楽に対してはオープンマインドでいろんなものを聴くけれど、若者たちが演っている音楽を聴くたびに、“でもこれ聴いてみてよ!”みたいな気持ちが出てくるよね。リッチー・ブラックモアだったりマイケル・シェンカーのサウンドには、ほんとにギターを弾いている!って感じがすごくするから、そういう作品を知って欲しいという思いがある。B'zが自分にとって魅力なのは、どんな曲であれTakの素晴らしいギターソロが入っているという点もある。それってすごいクールだと思う。

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