大村憲司、今は亡き稀代の名ギタリストのライブ盤に注目

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1998年に急逝した名ギタリスト大村憲司のプレイを堪能できるベスト・ライブを収録した作品が2週連続でリリースとなる。

◆大村憲司~画像~

▲『男が女を愛する時~ベスト・ライヴ・トラックスIII』

▲『大村憲司バンド(ポンタ・セッション・4デイズ!)~ベスト・ライヴ・トラックスIV』

スタジオミュージシャンとして数多くの作品に参加しながら、自身がリーダーとしての作品作りやライブ演奏など多彩な活躍をして名を残した大村憲司。1971年に赤い鳥の『スタジオ・ライブ』に参加したことからキャリアをスタート。1980年にはYMOのワールド・ツアーに参加し、そのプレイと名前を世界に轟かせた。ソロ・アルバムも4枚を発表。1980年代以降は大江千里、井上陽水、大貫妙子、EPO、柳ジョージなど多くのアーティストのプロデュースやアレンジで活躍した。

さて、その大村憲司が残した膨大な音源のなかから厳選されたものがリリースされる。4月22日には『男が女を愛する時~ベスト・ライヴ・トラックスIII』、そして4/29日に『大村憲司バンド(ポンタ・セッション・4デイズ!)~ベスト・ライヴ・トラックスIV』がリリースとなる。タイトルを見てわかるように、これはベスト・ライヴ・トラックスのシリーズとなっており、これまでに『レフト・ハンディッド・ウーマン~ベスト・ライヴ・トラックスI』と『リーヴィング・ホーム~ベスト・ライヴ・トラックスII』がリリースされている。

『男が女を愛する時』は歌モノをブルージーにインストでプレイする、大村憲司の真骨頂が録音された作品だ。参加メンバーは村上“PONTA”秀一(Ds)、高水健司(B)、青木智仁(B)、続木徹(Key)、重実徹(Key)、小林信吾(Key)、吉弘千鶴子(Key)、佐藤博(Key)、斉藤ノヴ(Per)、続木力(Harp)、渡辺香津美(G)など、多彩かつ豪華。アルバムタイトルともなった「男が女を愛する時」は、大村憲司にとって初のリーダー名義レコーディング(’77年 Guitar Workshop/FLYING DOGレーベル/Victor)。前2作同様、この「男が女を愛する時」のテイク違い(89年と97年)をオープニングとエンディングトラックとし、ロックバラード、ジャズスタンダード、J-POPの名曲まで、饒舌に艶やかに歌うギターを詰め込んだアルバムとなっている。

『大村憲司バンド(ポンタ・セッション・4デイズ!)』は、1989年12月27~30日の4日間、神戸チキンジョージで開催された『ポンタ・セッション・4デイズ!』というライヴ・イベントのもの。村上“PONTA”秀一がホストとなったスーパーセッション。29日、30日の2日間が大村憲司バンドのパフォーマンス。メンバーは、大村憲司(G)、村上“PONTA"秀一(Ds)、高水健司(B)、続木徹(Key)、重実徹(Key)という最強のクインテット。ベスト・ライヴ・トラックスIに収録された「レフト・ハンディッド・ウーマン」「バンブー・ボング」「リズム・ロード」はこの日のライヴから選曲。他のトラックはすべて未発表の音源となる。

1998年の逝去から17年。いまでも輝きを失わない名プレイをぜひ楽しんでほしい。

このリリースにあたって、アーティストからのコメントが届いている。それを紹介しておこう。

「大村憲司という人は、兄弟分であると同時にある種、人生の師匠だった。言葉にするのがおこがましいくらい、オレを育ててくれた人だと思う。憲司とはいつも闘ってきたけど、あいつを尊敬してたし、憲司と一緒にやっているという誇りもあった。海外のどんな名前のあるギタリストとやっても、ナメんなよ、大村憲司聴かんかいって言ってたからね。
亡くなって、“惜しい人を亡くした”とか言われるけど、そんな軽い言葉で済ますなよというのが本音。オレは今でも、レコーディングの時なんかに“ギターは誰にしますか?”って聞かれたら、“大村憲司”って本気で言うもん。ギターっていうと、音色にしろ、フレーズにしろ、憲司しか思い浮かばない。だって憲司は今でもオレの横にいるからね」(村上“PONTA”秀一)

「この類い稀な音源を聞くと、穏やかな憲司さんの笑顔と話し声、黒のストラトと2台のtwin reverb(アンプ)とSDE-2000(デジタルディレイ)、震災前のチキンの風景などが浮かんできて、目の奥が熱くなります。
個人的なことでは、Oberheim(シンセ)だのProphet(シンセ)だのライブでは超不便な楽器を、死ぬほど頑張って使ってたのを思い出して、便利な機材で楽してる現在への反省になりました。(ガムテープまで動員して弾いてるRhythm roadのイントロ、本当のアナログじゃないとこんなサウンド無理.......)」(重実徹)

リリース情報

『男が女を愛する時~ベスト・ライヴ・トラックスIII』
STPR001/¥2,400プラス税
4月22日発売
M1:男が女を愛する時_When a Man Loves a Woman(1989.12.29/チキンジョージ)
M2:Summertime(1997.4.12/チキンジョージ)
M3:I Can’t Tell You Why(1991.12.14/六本木ピットイン)
M4:春がいっぱい_Spring Is Nearly Here(1989.5.20/神戸メリケンパーク特設ステージ)
M5:Georgia On My Mind(1998.3.2/六本木ピットイン)
M6:突然の贈りもの(1989.5.20/神戸メリケンパーク特設ステージ)
M7:My One And Only Love(1997.4.12/チキンジョージ)
M8:Left- Handed Woman(1989.5.20/神戸メリケンパーク特設ステージ)
M9:男が女を愛する時_When a Man Loves a Woman (1997.4.11/チキンジョージ)

『大村憲司バンド(ポンタ・セッション・4デイズ!)~ベスト・ライヴ・トラックスIV』
STPR002/¥4,300プラス税(2枚組)
4月29日発売
(DISC1)
M1:Mercy Mercy Mercy
M2:Knock On Wood
M3:Benjamin
M4:Charlotte
M5:Left-Handed Woman(ベスト・ライヴ・トラックスIに既収録)
M6:男が女を愛する時
M7:Leaving Home
M8:春がいっぱい
(DISC2)
M9:Better Make It Through Today (Vo:大村憲司)
M10:Bamboo Bong(ベスト・ライヴ・トラックスIに既収録)
M11:Rhythm Road(ベスト・ライヴ・トラックスIに既収録)
M12:I Can’t Tell You Why
M13:突然の贈りもの
M14:Everyday I Have the Blues(Vo:大村憲司)
M15:Ramblin’On My Mind(Vo:大村憲司)

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