【インタビュー】SCREW、ミニアルバム『昏睡』で描く“完全に立ち止まってた”バンドの心情――そして覚醒へ

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ふたたび4人編成となったSCREW。その新局面突入を象徴する第一弾作品には『昏睡』という意味深長なタイトルが掲げられている。実はこれと対を成す『覚醒』という作品のリリースもこの夏に予定されているのだが、果たしてこのふたつのミニアルバムが示唆するものとは何なのか?鋲(Vo)、和己(G)、マナブ(G)、そしてジン(Dr)。4人の口から発せられる言葉からは、過去の闇をまっすぐに認めながら明日に向かおうとする決意が感じられた。

◆ネガティヴな時期は通り過ぎました
今はもう、この形が自然に思えますね

――新体制での第一弾作品となる『昏睡』がいよいよ登場。現在のSCREWはベーシストを欠いた状態にはあるわけですけど、こうして4人で並んでいる図と向き合っていても、違和感はまるでなくて。

鋲(Vo):顔ぶれは違いますけど元々4人編成だったこともあって、なんか元に戻った感もあるし、バンドを始めて1年目みたいな新鮮な気持ちもありますね。初心に戻るというか。

和己(G):同時になんか、新しいバンドを始めたような感覚になれてますね。9年目にしてこの気分が味わえるって、なかなかないことだと思うし。だからもう、ネガティヴな時期は通り過ぎました。12月28日にルイ(B/2014年末に脱退)の最後のライヴが終わった時点で、吹っ切れたところがあって。今はもう、この形が自然に思えますね。

マナブ(G):僕は逆にこれまで5人体制しか経験してこなかったんで、やっぱり不安とかもあったんです。でもこの4人で最初のライヴをやった時点で、全然パワーダウンしてないことを実感できたんで。当初は、欠けた部分をどうにかしなきゃいけないのかなと思ってたんですけど、今はむしろ変化を楽しめているというか、1人ひとりとの関係性を大事にしていきたいなって、改めて思えるようになっていて。

ジン(Dr):ポジティヴな意味で、まとまりやすくなったとは思いますね。枝分かれしにくくなったというか。もちろんベース不在という部分での負担は大きいんですけど、また新しいスタイルでやれることが気持ち的にも新鮮だし、自分たちでも納得のいく状態かな、と思います。

鋲:だから実際、新しいベーシストを補充するという考えもなくて。もう9年になるというのもあるし、このままやるしかないという気持ちなんです。メンバーが1人減ったことで何かが欠けたようには見えるかもしれないけど、そういう印象はどうあれ、ナカミが充実してるからそれでいいかなって。

◆普通の精神状態じゃいられない感じで
完全に心は立ち止まってた

――そんないい状態にあるのに『昏睡』だなんて、縁起でもないタイトルですが(笑)。とはいえこの夏には同様にミニアルバムという形態で『覚醒』という作品をリリースすることがあらかじめ決まっているそうですけど、こうしたコンセプトは前々から用意されていたものだったんですか?


▲Mini Album『昏睡』 初回限定盤A

鋲:“昏睡”とか“覚醒”っていう具体的なワードはなかったんですけど、そういう意味合いのものにしようっていうのは結構前からありましたね。バンドが通って来た道を辿るというか、ベース脱退の話が出たあたりからの心情というか、そういったものを詰め込もうじゃないか、と。要するに、“5人でのSCREWは死んだんだ”という解釈なんです。結局そういうことじゃないですか。そこから“死”というワードを僕は意識するようになって……。ある意味、バンド自体が眠ってる状態だったと思うんですよね、去年の春ぐらいから。活動は当然してたし、解散とか活休とかは考えもしなかったけど、同時に、何のためにやってるのかわかんないっていう気持ちもあったし。誰かが抜けるのが決まってるのに活動してるっていう状態そのものが普通じゃないというか、普通の精神状態じゃいられない感じで。そこでもう、完全に心は立ち止まってた。で、そういう心情を作品として形にしちゃってもいいんじゃないかなって。しかもまた4人で新たにやるってことは、その状態から生き返らなきゃいけないってことじゃないですか。それがつまり“覚醒”に繋がるわけで。そういったバンドのストーリーを、2枚のミニアルバムに詰め込んでいきたいな、と考えたんです。

――つまり今現在はもう“覚醒”した状態にあるわけですよね?

鋲:そういうことになりますね。

ジン:そういうストーリー性というのが鋲らしいというか、SCREWらしいなと思えたし、敢えてここで『昏睡』みたいなネガティヴな響きを伴うものを出すことについても反論はなかったですね。この流れを経て、新体制で覚醒しようっていう前提での『昏睡』の提示ってことになるわけで。だから僕は、むしろ『覚醒』だけを打ち出すよりもいいと思いました。

――つまり『覚醒』が先に控えているからこそ、ポジティヴな気持ちで『昏睡』を形にすることができたし、リリースすることができる。

ジン:そういう部分はありますね。『昏睡』だけだったら、またちょっと話が違ってたかもしれない。『覚醒』ありきの『昏睡』というのがいいな、と思って。

マナブ:そうですね。最初にコンセプトが出てきた時点ですでにこの2つの言葉があって、それが意味するのは“死”と“再生”だ、みたいなことを鋲くんからも聞いてたんで。なんか、これが2015年のSCREWのテーマみたいなものになるのかな、と。だからこの2枚に則った流れでこの1年を過ごしていきたいなと思えましたね。

◆インタビュー(2)へ
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