【インタビュー】SCREW、ミニアルバム『昏睡』で描く“完全に立ち止まってた”バンドの心情――そして覚醒へ

ポスト

◆ふふっ。得意……ですね。
得意か不得意かと言われたら、得意です


――では、1曲1曲について簡単に。まず1曲目に収録されているのマナブさんの作曲による「弔いの鐘」。

マナブ:あんまり自分では1曲目っていうイメージを持ってなかったんですけど、なんかみんな、「これは1曲目だね」って。そう言われて曲を並べてみて、ああ良かったなとは思ったんですけど(笑)。わりと定番のリフで作ったところもあるんですけど、とにかくあくまでギターとかドラムで引っ張っていく感じにしたくて。ギターのカッコいい曲、というのを意識しましたね。結果、思惑通りの仕上がりにはなったと思います。

――歌詞はポジティヴですよね。“さあ行こう、大地を蹴り”なんてフレーズも出てきますし、むしろ決意の歌というか。

鋲:そうですね。でもそれは、死に向けての“さあ行こう”だったりもするんですよ。でも結果、できあがったものを見ると、“死の先にあるものは何なんだろう?”っていうところに行ってるんで、4人の始まりの曲には相応しいというか、冒険の始まりの歌になったなと思いますね。制作中はもう、“死”しか頭になかったんですけど(笑)、結果、その先まで見えるようなところが出てきて。

――頭に“死”しかない状態にある鋲さんというのは、やっぱり暗~い感じになっていたんですか?

鋲:いや、むしろめっちゃ明るかったですね(笑)。

和己:というか、その時期あんまり会わなかったですけどね(笑)。

ジン:鋲くんが歌詞を書いてる頃というのは、僕らもアレンジに追われてたりするんで。

鋲:しかも歌詞ってやっぱ、夜中に出てきちゃうことが多いんで。なんか……寂しいですよね。

――なんですか、その心情吐露は!(笑)

鋲:寂しいんです。特に生活サイクルがメンバーと逆転した状態になったりすると、すごく孤独を感じます(笑)。

――しかしそれは耐えるしかなさそうですね(笑)。で、次が「ANITYA」。このタイトルはサンスクリット語で“無常”を意味するそうですが……鋲さんはサンスクリット語ができるんですか?

鋲:ふふっ。得意……ですね。得意か不得意かと言われたら、得意です(笑)。

――僕も実はけっこう得意でね。

鋲:(ちょっと慌てながら)あっ、そ、そうなんですか!

――嘘に決まってるじゃないですか(全員笑)。

鋲:この曲の歌詞は、もうモロに“昏睡”ってテーマを意識してて。さっきも話しましたけど、去年、未来が見えなくなったときの不安だとか、現実って残酷だなっていう気持ちとか……。心が立ち止まったからこそ見えた深みというのをこの曲では書いたんですけど、まあそれが僕のなかで言えば“無常”の一言になるのかなって。そこでやっぱタイトルとかにも新しい風を吹かせたかったし、あんまり耳に馴染みのある言葉よりかは、ちょっと頭に“?”が浮かぶような言葉にしたくて。まあ僕自身も最初は“?”だったんですけど(笑)。でも、そういうものが欲しかったわけなんです。

◆いい意味で、今までのSCREWのテイストを
前面に出した感じですね


――そして、この曲の作曲はジンさんですね。

ジン:これは、岡野さんが携わってくださることが決まった後から作り始めたんですけど、岡野さんからも「これくらいのテンポの曲が1曲欲しいね」というような発案があったんで、そこから自分で広げていって……。SCREWが得意とするせつない感じと、ロックな面との融合というか、そういう感じを意識して作りました。岡野さん的にはおそらく、僕らの硬派な部分というか、チャラチャラしてない面というのを引き出そうという狙いがあったんじゃないかと思うんです。

和己:これは是非、映像も見てもらいたいなと思いますね。映像を撮ってから曲自体の印象が変わってきてる部分もあったりするんで。SCREWらしくもあり、新しくもありますね。特に岡野さんのシンセの入れ方とか。

マナブ:この作品のなかでは、いちばん艶のある感じに聴こえるというか。この並びのなかにあって、いい意味で若干浮いてると思うんですね。音の質感もこの曲だけちょっと違うし。岡野さんとやった意味があるなって思える仕上がりですね。


▲Mini Album『昏睡』 通常盤

――続く「NAMU AMIDA BUDDHA.」と「ARE YOU READY?」(通常盤のみに収録)、「MAD MAX」の3曲については、共通するひとつのモードで作られているようなところがありますよね。すべて作曲はジンさんですが。

ジン:そうですね。やっぱり3曲ともライヴのことを意識しながら、それを最優先して作ったもので。「NAMU AMIDA BUDDHA.」については、「ANITYA」ができる前の段階では「これをリード曲にしたらどう?」みたいな話をしてたんです。実際、僕的にもそういう意図で作ってはいたんですけど。ま、いい意味で、今までのSCREWのテイストを前面に出した感じですね。

マナブ:うん。ど定番な感じというか。

和己:嵌まりやすい曲ですよね。結果、リード曲じゃなくなったところで、敢えてストリングスを多めにしてみたりとか。それこそこういうタイトルになったのも、リード曲じゃないからこその結果なのかなと思うし。

鋲:振り切ってますよね。曲調が定番だから、逆に歌詞やタイトルは振り切っちゃってもいいかなって。

◆インタビュー(4)へ
この記事をポスト

この記事の関連情報