【インタビュー】愛を伝える ななみ、1stアルバムリリース「みなさんの薬箱になったらいいなと思ってるんです」

ツイート

「愛が叫んでる」で鮮烈なデビューを飾ったななみが、待望の1stフルアルバム『ななみ』をリリースした。“愛”をテーマにした色とりどりの楽曲は、彼女の実体験に基づいたものばかり。

◆ななみ ミュージックビデオ

傷つき、もがいたからこそ、彼女が発するメッセージはリアルでさまざまなことを考えさせてくれる。21才にして「恋愛は愛に移行する練習期間だと思う」と語るななみが、10代から今に至るまでにつかみとり、想いを詰めこんだ全13曲。それぞれの曲にまつわるエピソードや、愛を伝えるために音楽シーンの中で戦っていく覚悟について話を聞いた。

◆人間らしいアルバムにしたかった

――1stフルアルバム『ななみ』はポップな曲からロックテイストの曲までアプローチ豊かなアルバムになりましたね。それでいて「愛」という大きなテーマに挑戦している。

ななみ:最初から変化に富んだ個性のある曲たちを入れたいと思っていたんです。人はひとつの面だけじゃ語れないと思うから、バラバラで「定まってないんじゃないの?」って思うぐらいに人間らしいアルバムにしたかったんですね。ジャケットはまずはゼロの状態からという意味でモノクロームがいいかなって。左端の縦のラインは曲たちの色をイメージしたんですが、シンプルにしたいという気持ちがありました。

――デビューシングル「愛が叫んでる」は最後に収録されていますが、アルバムを制作する前から“愛”をモチーフにしたいと決めていたんですか?

ななみ:そこは無意識でしたね。恋愛の曲を書いても行き着くところは“愛”でしかなかったから自然とそうなったんです。タイトルを『ななみ』にした理由は、愛について語りかけるようなアルバムなので、意見を出しあって考えた結果、自分自身そのものである作品に特定のタイトルを付けたくないなって。“愛=ななみ”になったらいいなという想いを込めてつけました。1stアルバムで名刺がわりの1枚でもあるので。

――リード曲「悲しみにありがとう」は傷ついたり、心を閉ざしていた時期を超えていこうとするバラードですが、いつ頃からこういうふうに思えるようになったんですか?

ななみ:私はいじめられた時期や恋愛しても裏切られたことがあって、ずっと人を信じられないと思ってきたんですね。2年ぐらい前から、ようやく“悲しみにありがとう”って思えるようになったんですけど、まだ自分の過去に心の底から感謝することはできなかった。デビューして自分の歌や経験したことにいろいろな人が共感してくれて、自信が持てるようになったので、今の私だから歌える曲でもあります。

◆簡単には切れない絆を感じている

――2ndシングル「I’ll wake up」も闇から抜け出そうとする意志を歌った曲だったけれど、それだけ、ななみさんにとってデビューは大きかったんですか?

ななみ:そうですね。14才の頃から、ずっとデビューしたいと思って音楽をやってきて、ずっと愛が欲しくて叫んでいたので、自分の歌に共鳴してくれる人が増えたことによって、今度は自分が誰かを助けたいと思うようになったんです。生きる上で大きな力になったし、そういう意味で予想以上の出来事でしたね。デビューしていきなり有名になったというわけではないけれど、気付いたら自分がすごく成長していたんです。


▲1stアルバム『ななみ』

――ファンの存在がななみさんを変えた部分があるのかもしれないですね。

ななみ:そうですね。大事ですね。今はTwitterとかで、つねに繋がっていられる感覚があるし、一緒に戦っているような気もしてますね。私が頑張って、みなさんがついてきてくれるという関係ではなく、みなさんが支えてくれるから私も立っていられるという部分もあります。“愛”という難しいテーマを歌っているからなのか、同じような経験をしている人が多いので、簡単には切れない絆を感じているし、これからも大切にしていきたいと思っています。

――“愛”というテーマを真っ正面から歌った美しく切ないナンバー「愛してる」には、ななみさんの恋愛観、恋と愛の違いについての考え方が出ているのかなと思いました。

ななみ:私が恋愛について思うことは……例えば別れるときって泣きながら「幸せになってね」みたいなことを言うじゃないですか。でも、ホントはすぐには相手の幸せなんか願えなくて、未練があるから、しばらくはFacebook見たり、新しい彼氏、彼女の影がないか探しちゃったりする(笑)。そういうふうに思っている間は愛じゃないと思うんですね。月日がたって「新しい恋人がいてもいいや」って思えたときに男女の恋愛から人間愛になるんじゃないかと。

――なるほど。“しがみついてた想いを手放す”と歌っていますが、執着や嫉妬の感情がある内は愛の手前というか?

ななみ:はい。この曲には“愛してる”というフレーズが何度か出てくるんですが、前半はちょっと女々しくて悲しい“愛してる”だけど、後半は想いを解き放つように歌ってます。当時の自分の気持ちを呼び覚ますように歌っていました。

――この曲は実体験なんですね。

ななみ:この曲に限らず、全部、実体験です。「愛してる」のような別れを経験したばかりの人は、すぐに相手の幸せを思えないだろうし、辛いと思うんですけど、この曲を聴いていっきに救われてほしいなって。同時に男性目線の歌詞なので、男性がこれぐらい女性のことを思ってくれたらいいなと思いますね。

◆こういうサイテー男がいたんです(笑)

――まだ21才なのに、悟りにも近いような考え方をしていることにもビックリします。

ななみ:(笑)そうでうね。別れに免疫ができてしまったのか、だんだん、サヨナラするときに「わかりました。アーメン」みたいな気持ちになったりとか(笑)。そういうときに書いた歌詞ですね。

――このアルバムっていろいろなシチュエーションの恋愛の曲が収録されていますよね。実体験をベースにストーリーを考えて書いたのかなって。例えばスパニッシュテイストの曲「許されざる愛」は三角関係や不倫の関係を想像させますが。

ななみ:「許されざる愛」は振り向いてくれない男性に女性が狂わせていく内容なんです。こういう曲を暗く歌うんじゃなくて、恋をして女性にどんどんキレイになってほしいなって気持ちを込めて歌っています。自分自身、恋愛に対しては別れた相手を「見返してやる」っていう感情が強いので、前に進むっていう意志も入っていると思います。「Dahlia」という曲もそういうところがありますね。

――「Dahlia」はアルバムの中でいちばん攻撃的でロックなナンバーに仕上がっていますね。

ななみ:これも実体験です。こういうサイテー(自分勝手な)男がいたんです(笑)。最初、この曲を作ったときは最後まで恨みをはらすって歌う曲にしようと思ってたんですよ。

――“絶対はらすわ この恨み”っていう箇所が迫力満点。

ななみ:そのフレーズで完結させるつもりだったんですけど、1ヶ月ぐらいかけて歌詞を書いていたので、書き上げる頃には“もう、いいや”ってふっきれてたんです(笑)。パッと切り替えられるのが女性のいいところなのかなと思うのでクヨクヨしている人がいたら、この曲を聴いていっきに5分ぐらいでふっきってほしいなと。やられたことをやり返すのではなく、幸せになってやるっていうリヴェンジですね。

――聴いていてもスカッとします。ななみさん的に新境地だったり挑戦した曲は?

ななみ:明るいタイプの曲はチャレンジです。そういう曲も作ってはいたんですが、音源にするのは初めてでレコーディングでも気分をアゲるためにミニスカートはいてみたりとか。

――ミニスカートで歌ったのは、どの曲ですか?

ななみ:「出逢えたのはあの店で」という曲です。ずーっと、一目惚れしている女のコの曲で。

――お店で偶然、見かけた人を好きになっちゃうっていう。

ななみ:これも実体験なんですよ。大分から上京したばかりの頃は東京の人がみんなカッコよく見えて、ライブハウスの店員さんに一目惚れしたことがあったんです。1週間ぐらい、その人に会えないかなと思って探したんですけど、結局、何の進展もないままで……。そのときに四六時中、考えてしまうぐらいひたすら一目惚れについて歌っている曲を書きたいなって。同じような経験をしている女のコたちが共感して飛び跳ねられるような曲を作りたいなと思ったんですよね。

――ポップで軽快な曲ですもんね。「ポケットの恋花火」もキュートな歌い方をしていますね。

ななみ:自分の中では「出逢えたのはあの店で」と同じ系統ですね。“放課後”とか“グラウンド”という言葉が出てくる曲でこれも過去の自分を呼び覚ましながら歌いました。好きな人に対して胸が高鳴る気持ちを花火に例えられないかなって中学のときから考えていたので、やっと形にできた曲ですね。

――これからの季節にピッタリの曲。

ななみ:そうですね。何才になっても恋をしたら、こういう気持ちになると思うんです。聴いた女のコたちがソワソワしてくれたらいいなって。

◆インタビュー(2)へ
この記事をツイート

この記事の関連情報