ヤマハが空気感豊かなアコギサウンドを追求したサイレントギターやLine 6×ヤマハの初コラボとなる「Variax Standard」を発表

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ヤマハがサイレントギターの新モデル「SLG200S」「SLG200N」、Line 6のマルチ・エフェクター「Firehawk FX」、エレキギター「Variax Standard」、ギター・ワイヤレス・システム「Relay G70」「Relay G75」を発表した。

■自然で空気感豊かなアコースティックギターサウンドを追求したサイレントギター新モデル


▲左の3モデルがSLG200S、右の3モデルがSLG200N。カラーはいずれも左からナチュラル(NT)とタバコブラウンサンバースト(TBS)、トランスルーセントブラック(TBL)。

5年ぶりのフルモデルチェンジサイレントギターは、スチール弦の「SLG200S」とナイロン弦の「SLG200N」の2モデル。カラーはそれぞれ、ナチュラル(NT)とタバコブラウンサンバースト(TBS)、トランスルーセントブラック(TBL)の3色をラインナップ。ナチュラルが8月より、他2色は10月からの発売となる。価格はいずれも75,000円(税別)。

最新モデルは高い静粛性とアコースティックギターの演奏性はそのままに、「SRTパワード」ピックアップシステム(後述)を搭載したことで、アコースティックギターのボディの響きや空気感までも表現する、自然なアコースティックギターサウンドを追求。デザインはより木のぬくもりを感じられる高級感あふれるものに一新。ボディとフレームにマホガニーとローズウッドの木材を新たに採用している。


▲全モデルとも美しい木製フレームを採用。ボディ中央のカラーがモデルごとに異なる。エフェクトは3種を1つのツマミで調整。ピックアップ/マイクのブレンド、ボリュームのほか、TREBLE、BASS、AUXの小さなツマミで手元でコントロール可能。チューナーも内蔵。

「SRT」(Studio Response Technology)は、ヤマハのエレアコ「Aシリーズ」「APX/CPXシリーズ」の一部モデルに搭載され好評の技術で、スタジオでレコーディングしたサウンドを再現するシステム。上質なアコースティック・ギターを、高性能マイクで経験豊富なサウンド・エンジニアが収録したかのような空気感豊かなサウンドが得られる。この「SRT」を応用したのが、「SLG200S」「SLG200N」に搭載された「SRTパワード」ピックアップシステム。共鳴胴がない独自のデザインながら、アコースティックギターのボディや演奏している空間そのものの響きまでも表現可能だ。「SRTパワード」ピックアップシステムによるサウンドにピエゾピックアップのサウンドを好みの割合でブレンドできるのにも注目だ。

エフェクトはリバーブ2種類とコーラスの計3種を搭載。新たに好みのかかり具合に調整することも可能となった。さらにチューナーも内蔵。ヘッドホンをつなぐだけで手軽に演奏できるのはもちろん、音楽プレーヤーなどを接続して、お気に入りの音楽をバックに演奏することも可能だ。また、LINE OUT端子を備え、ステージのPAシステムへの接続にも対応する。

共鳴胴を持たない独自のデザインにより、一般的なスチール弦のアコースティックギターとくらべて約18%、ナイロン弦のギターと比べて約10%の高い静粛性を実現。左フレームは取り外しが可能で、付属の専用ケースにコンパクトに収納できるのもポイントだ。デゲンは単3乾電池×2本またはACアダプター(別売り)が使用できる。


▲デモ演奏は、新モデルの開発から携わっているというギタリストの西山隆行さん(左)。新たにスチール弦モデルもフレームが木目になったことで「高級感のあるカラーリングになったことが好み」、SRTパワードピックアップ採用で「よりリアルなアコースティックギターのサウンドが得られるようになった」とコメント。また、SRTのブレンドでさまざまな用途や環境に対応可能でき、アルペジオならマイクの音を100%、ソロならブースター代わりにピックアップのピエゾを多くするとヌケがよくなる、と利用方法も紹介。ピエゾ単体の音にもこだわったので、ピエゾのみでもナチュラルな音が感じられるはず、と自信を見せた。フレームは取り外し可能で専用ケースにコンパクトに収納可能。

■200種以上のアンプやエフェクト搭載、ステージ&録音に適したマルチ・エフェクター「Firehawk FX」


▲色分けすることで視認性を高めるカラーLEDリング付きスイッチを搭載。リアパネルには1/4インチギター入力、VDI入力、1/4インチおよびXLRメイン出力、ヘッドホン出力、エクスプレッション・ペダル入力などを搭載。USBレコーディングも可能。

ヤマハの100%子会社であるLine 6, Inc.の製品はヤマハミュージックジャパンより発売。1つめはマルチ・エフェクターの「Firehawk FX」。フレッグシップモデルが備える50種の高品位HDモデルを含む200種以上のアンプとエフェクトを搭載し、ウォームなビンテージトーンからハイゲインのパワフルなサウンドまで、さまざまな音色で演奏やレコーディングが可能。iOSとAndroiに対応したアプリ「Firehawk Remote」により、カンタンに思い通りのサウンドメイクが楽しめる。また、ユーザーによるオンライン・コミュニティにより、クラウド上の膨大なトーン・ライブラリーにから音色セッティングを引き出せるのもポイント。

発表会では、従来のハイエンド・マルチ・エフェクターの問題点として、「ヘビー・ユーザーがターゲットであり、多機能化により操作も複雑化」「小さな画面上で文字ベースのエディット」となることを挙げ、「機材やパラメーターの知識はあまりない」一方で「音質的な妥協はしたくない」とギタリストの実際のニーズを紹介。「求めるトーンが簡単かつスピーディに得られる」「サウンドや入出力はプロクオリティを装備」「Line 6歴代の機器からベストな機能を盛り込んだソリューション」と、「Firehawk FX」のコンセプトが語られた。また、ギターモデル、チューニング、エフェクト/アンプモデルの設定を保存/リコール可能なVariax統合機能、アサインするエフェクトの種類に応じて色分けできるLEDカラーコード対応フットスイッチなど利便性の高さもアピール。

本機の登場で、Line 6のフロアタイプ・マルチエフェクトのラインナップは「APLIFi FX100」、「POD HD500X」を合わせて3モデルが揃ったことになる。これらの位置づけとしては、「APLIFi FX100」が直感的な音作りを優先する感覚志向ギタリスト向け、「POD HD500X」が音作りに妥協を許さないこだわり志向ギタリスト向けと紹介。そして、中間に位置する今回の「Firehawk FX」は直感的音作り+妥協のないサウンドクオリティ&入出力を求めるユーザー向けとした。発売は6月予定で価格はオープン、市場想定価格は52,000円前後。


▲「Firehawk FX」は、すでに発売されている「APLIFi FX100」、「POD HD500X」の中間となるモデルと位置づけ。

■ヤマハとLine 6初の共同開発によるエレキギター「Variax Standard」


▲カラーはタバコサンバースト、ブラック、ホワイトの3色。Firehawk FX + Variax Standardのデモンストレーションはギタリストの阿部学さん(右)。両モデルはVDIケーブル1本で接続することで、一括コントロールが可能。1曲の中でエレキギターからシタール、アコースティック、フルアコまでサウンドを切り替えながら演奏、そのバリエーションの広さと操作の簡単さをアピールした。

独自のモデリング技術により、1本のギターでたくさんのギターのサウンドを使い分けられる「Variax」シリーズの新モデル「Variax Standard」は、ストラト、レスポールをはじめドブロ・ギターやバンジョー、シタールを含む24種類のギターモデルを搭載。チューニングはダイヤルを回すだけで瞬時に変更可能、オープンG、DADGAD、ドロップDなど11種類を用意する。また、専用ソフトウェア「Workbench HD」により、ボディやピックアップ、ボリューム/トーン・ノブの設定を自由に変更可能、自分だけのオリジナルのギターサウンドが得られる。


▲24種類のギターモデル、11種類のチューニングオプションを用意。多彩なギターサウンドが1本のギターで得られる。

発表会ではVariaxシリーズの系譜についても紹介。2002年に24種類のギター・サウンドを1本で再現する初代Variaxが登場、2011にはJames Tylerとのコラボにより「James Tyler Variax」がHDモデリング・テクノロジー搭載でさらに完成度を高めて登場したが、国内価格25万円前後という価格は多くの人に手の届くものではなかったとコメント。今回登場の「Variax Standard」では、ヤマハとのコラボレーションによりヤマハクオリティのギターにLine 6のテクノロジーが載ったことで、「これまで以上にリーズナブルな価格で提供でき、より多くのギタリストに楽しんでもらえる」と続けた。

活用シーンとしては、ステージ上であれば曲の1部分だけアコースティックギターを入れる、セットリストそのものをバリエーション豊かにしたいといった用途に、スタジオであればマイクを立てずにアコースティックギターの音を収録したり、曲づくりにおいてもいろんなサウンドが楽しめるので、よりクリエイティブな使い方ができるとした。発売は夏を予定。価格はオープン、市場想定価格は99,000円前後。カラーはタバコサンバースト、ブラック、ホワイトをラインナップする。

■ギター持ち替えもスムーズに、操作性を追求したギター・ワイヤレス・システム「Realy G70」「Relay G75」


▲左から両モデル共通のトランスミッター、「Realy G70」のレシーバー、「Relay G75」のレシーバー。

同じくLine 6のギター・ワイヤレス・システムの新モデル「Realy G70」と「Relay G75」は、高品質な音色と操作性の良さを追求、ユーザーからのフィードバックを取り入れ、デジタル・ギター・ワイヤレスを再定義するという意欲作だ。発売は夏予定で価格はオープン、市場想定価格はいずれも62,000円前後。いずれもギターと接続するトランスミッターと、レシーバーがセットとなっており、レシーバーの形状のみが異なる。G70レシーバーはストンプボックスタイプ。G75レシーバーはアンプの上に載せて使うボックスタイプで、フットスイッチは外付けとなる。

24ビット非圧縮デジタル伝送による業界最高水準の音質、チャンネルを合わせるだけで使用できる簡単操作、2.4GHz帯使用で免許不要で世界中どこでも使用可能という、同社デジタル・ワイヤレス製品の優位性はそのままに、「複数のギターを素早く持ち替えたい」「どんなアクティブなライブ環境にも耐える仕様/構造」「レシーバーを効率的に配置したい」「不慮のアクシデントを心配せずに全然に使用したい」というニーズに応える。「ケーブルをなくしただけにとどまらない新しい発想のワイヤレス」となっている。

レシーバーはアウトプットが1/4インチのフォーンジャックを2系統(OUT A/B)、グラウンドリフトスイッチ付きXLR(OUT C)を1系統搭載。120dB以上のダイナミックレンジを誇り、高品位なDIとしても機能する。また、チューナー内蔵だが、外付けチューナーを接続するためのチューナーアウトも搭載。トランスミッターを忘れた、電池が切れたという場合でも、ケーブルをつなげば同じセッティングができるAUX Inがあるのも心強い。複数のギターの設定をプリセットとしてメモリーでき、レシーバー側のフットスイッチでカンタンに設定の切り替えが可能。フットスイッチにはプリセットが一目でわかるカラーリングLEDを用意。プリセットには入力ソース、出力のルーティング(A、B、C、A+B、A+Cなど)に加え、ケーブルによる音色変化をシミュレートする「Cable Tone」のセッティングもメモリー可能だ。

トランスミッターはメタル製で堅牢性の高いボディを採用。ギターインプットはロック機構付きで、通常のギターシールドを使ってもロックできるのがポイント。端子周りにはレシーバーのプリセットを識別するためのカラーリングが配置される。電池ボックスはライブ中に蓋が開いたり電池が飛び出したりといったことがない2段階スライド式。非動作時のオートスリープ機能も搭載、加速度センサー搭載でギターを持ち上げたり、信号が入力されることで自動で気に復帰。電源のON/OFFをせずともバッテリーを無駄に消費することがないのもうれしいところだ。

接続例として、ギターを変えると同時に異なる出力にルーティング、別のアンプにつないだり、直接PAに送るといった使用法を紹介。デモンストレーションでは、レシーバーを「POD HD500X」に接続、同機のルーパー機能を使い、アコースティック、エレキベース、エレキギターを次々に持ち替え録音していくという離れ業を実演。スムーズかつスピーディに楽器の持ち替えができることが証明された。


▲セッティングをメモリーできることを利用して、複数の接続先(アンプ、PA)、複数のギターの切り替えを容易に行える。


▲1組のRealy G70に、持ち替えたアコギ、ベース、エレキを次々に接続するデモンストレーションも披露。


▲発表会では新製品に加え、Line 6のラインナップを多数展示。左はFirehawk FXとiPadで動作している専用アプリ、右はワイヤレス関連製品。奥にあるのが、Realy G70/75のトランスミッターとレシーバー。手前はG30。


▲Line 6からはAMPLIFiやJames Tyler Variaxなど既存モデルがずらり(左)。ヤマハからはMusikmesseで発表された電子ドラムのキックパッドの新モデル「KP100」が展示(右)。より良い打感と安定性を追求、発売は夏頃予定。


▲ヤマハミュージックジャパン取り扱いの海外ブランドも多数展示。写真はFISHMANのアウトボード・プリアンプ「Platinum」シリーズ、EDENのバッテリー駆動ミニアンプ「MicroTour」、ZildjanのKファミリー&エフェクトシンバル新商品、ProtectionRacketのコンパクトハードウェアケース2。


▲来年で50周年を迎えるヤマハのギター。発表会では同社のアコースティックギターが世界で累計1000万本の出荷実績を持つことを紹介。全国で行われている電子ドラムの試打会とあわせて、サイレントギターのタッチ&トライも実施。春から新たにスタートした「ギター女子、はじめました」キャンペーンや、9月20日、21日にはヤマハ アコースティック・ギターの祭典「Yamaha Acoustic Mind」の開催も紹介された。

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