【インタビュー】GRANRODEO、TVアニメ『黒子のバスケ』最後の主題歌「メモリーズ」はかつてないほど難産だった

ツイート

GRANRODEOのニューシングル「メモリーズ」が6月3日にリリースされる。人気TVアニメ『黒子のバスケ』のOP主題歌を手がけるのはこれで6曲目だが、シリーズがいよいよ完結ということもあり、GRANRODEO×『黒バス』のタッグはこれで最後ということになる。かつてないほど難産だったとe-ZUKAは語るが、そんなことは微塵も感じさせない熱量を放つ「メモリーズ」は、10周年を迎えてなお勢いが衰えないGRANRODEOのポテンシャルの高さを物語る楽曲に仕上がった。攻めの1枚となった今回のシングルについて、そしてOLDCODEXやFLOW、MUCC、BREAKERZ、宮野真守らと共演するアニヴァーサリーフェス、幕張メッセでのワンマンについてKISHOW、e-ZUKAにじっくり話を聞いた。

◆GRANRODEO~画像・映像~

■「メモリーズ」は歌うのもすごく難しかったんですけど
■これまでにないテイストにだんだんハマっていく曲かもしれない


▲「メモリーズ」初回限定盤

▲「メモリーズ」通常盤

▲「メモリーズ」アニメ盤

──TVアニメ『黒子のバスケ』第3弾第2クール 誠凛VS洛山編のOP主題歌「メモリーズ」は衝動的な熱さがあって、聴いているとザワザワしてくるようなナンバーですね。どんなふうにできた曲なんですか?

e-ZUKA:今回はプロデューサーから“速いテンポでマイナーキーで、なおかつ、今までのGRANRODEOがやっていなかった曲にしてほしい”っていうリクエストがあって、曲作りにとりかかったんです。「一皮むけたね」と思うような曲を待っていたみたいで、最初に作った曲は「すごくいい曲でe-ZUKAくんらしいんだけど、今までっぽいね」って言われて、2回目に持っていった曲も「もうちょっと待ってます」みたいな(笑)。そういうやりとりが締め切り過ぎて1ヶ月ぐらい続いたんです。で、自分の中から出てくるものだけで作るよりも、いろいろな新しい音楽の要素をインプットした上で自分のフィルターを通して作ってみようって。自分のカラーはどうしても出てしまうので、結果的にこうなった感じなんですよね。

──じゃあ、今までより苦戦した曲なんですね。

e-ZUKA:苦戦していない曲のほうが少ないんですけど(笑)、中でも特に難航したかもしれないですね。

──リズムと歌の兼ね合いがカッコいい曲ですけどね。

e-ZUKA:やー、たまたまなんですよね(笑)。

KISHOW:初めて聴いたときは、e-ZUKAさん、苦戦したんだろうなと思いました。ひと筆書きでは作っていない曲だなって。3rdアルバム『BRUSH the SCAR LEMON』というアルバムを作っているときに、リード曲の「カナリヤ」という曲がなかなか出来てこなかったことを思い出しました。「カナリヤ」を聴いたときは「おっ! すげえカッコいい曲!」と思ったんですけど、「メモリーズ」は「あれ? なんか今までと違う」って。歌うのもすごく難しかったんですけど、これまでのGRANRODEOにない感じのテイストにだんだんハマっていく曲かもしれないなって。全然シンプルな曲じゃないんだけど、ひっかかりがあって、「何度も聴いている内に好きになっていくぞ」って感じる人が多いんじゃないかと思いましたね。

──ということは、今までGRANRODEOを聴いてきた人は驚いている曲なんですか?

KISHOW:うん。でも、人によっては「こういう曲を待ってたんだよ。これぞGRANRODEO!」って言う人もいるみたいですね。俺の中では毛色の違う曲で『黒子のバスケ』のテーマ曲もこれで6曲目だけど、最初で最後のマイナー調の曲。これまでは明るめでキラキラした感じで歌詞も“青春”だったり“がんばれ!”みたいなメッセージが多かったので、黒バス最後のテーマ曲が「メモリーズ」っていうのはアリかもって思っていますけどね。

──確かにシンプルではなくて構築されているんだけど、曲のエネルギーや熱さがいちばんに伝わってくるんですよね。

e-ZUKA:そういうことは求められていましたね。悩んでいたときに「どうしたらいいんですか?」って聞いたら「とにかくエネルギーとか熱なんだよね」って言われて「全然、具体案出してくれない」みたいな(笑)。だったら、言葉を詰め込むような感じでとにかくアグレッシブに行こうって。

──なるほど。歌詞はサビの“僕の愛をくらえ!”という言葉がパンチがありますね。あと、“感性の成熟なんてしたくはないんだ”というフレーズはキーになるのかなと。

KISHOW:僕が特に歌いづらいと感じたのはサビなんです。だけど、そこがいちばん引っかかるわけだから、印象的で強い言葉を持ってこようと。そしたら“僕の愛をくらえ!”というフレーズが出てきたんです。タイトルを「メモリーズ」にしたのは“黒バス”が最後だというのもあるし、奇しくもGRANRODEOが結成10周年イヤーだとうのもありました。“あの頃は良かった”って懐古趣味に走るのもいいけど、いちばんいいのはこれからなんだよって言っておきたかったんです。

──その想いが“消えた目の前の景色は褪せた色より濃い”という表現になっているんですよね。色褪せた記憶よりも今なんだっていう。

KISHOW:そうですね。そういうテーマが“黒バス”にもGRANRODEOの10周年にもかかってたんでしょうね。

──GRANRODEOとして積み重ねてきた日々はあるけれど、それよりも未来でしょ? って。

KISHOW:そこまで汲んでいただければ(笑)。

──「メモリーズ」のMVについてリクエストしたことは?

e-ZUKA:全くないですね。

KISHOW:MVはいつもGRANRODEOと曲を丸投げして自由に料理してもらっているんです。今回の監督さんはGRANRODEOのMVをいちばん多く撮ってきた人なんですよ。とは言え、組むのは3年ぶりなんですけど。

──初期の映像から手がけてきた監督さんなんですね。

KISHOW:そうですね。「Go For It!」、「Infinite Love」、「慟哭ノ雨」もそうだし。半分ぐらいの曲を一緒にやっているんじゃないかな。すごくコンセプチュアルなヴィジュアルを撮る人で、今回もそういう映像になりました。

──2人がセンターで演奏しているまわりを世代も職業も違う男女がぐるりと囲んで絵を描いていて、だんだん熱がこもって後半はものすごい形相で絵筆を走らせているっていう。

KISHOW:「メモリーズ」なので、8人が囲んで描いている絵の完成形が、かつてのGRANRODEOの楽曲のヴィジュアルイメージらしいんです。そういう裏テーマがあるって聞いたときは「おおっ!」と思いました。


◆インタビュー(2)へ
この記事をツイート

この記事の関連情報