【インタビュー】藍井エイル、3rdアルバムに「自分との新たな出会いがいっぱい」

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■誰かが本気で喜んでくれることを想像するだけで
■すごくやる気に満ち溢れるんです

──3曲目の「ラピスラズリ」はMBS/TBS系TVアニメ 『アルスラーン戦記』EDテーマ。この曲もライブで盛り上がるナンバーですが、ステージではガットギターがフィーチャーされてエキゾチックな味わいがあります。

藍井:新しいジャンルに挑戦した楽曲です。80年代後半から90年代前半のメロディラインという感じがしました。でも、初めてデモを聴いたときから忘れられなくなった曲で。父と母の影響でその当時の歌謡曲はいろいろ聴いていたので、小さい頃に歌っていた歌謡曲を思い浮かべたんです。

──そうですよね。こういう懐メロ歌謡っぽいメロディは歌ってなかったですもんね。

藍井:ええ。あと、シングルリリースしたときには「歌い方が変わった」といわれたんです。でも、私自身それは意識してなかったので、きっとこの曲のメロディラインが引っぱり出してくれた歌い方なんだと思います。アルバムエンディング曲の「青の世界」も「ラピスラズリ」があってこその新しい歌い方だと思います。

──4曲目の「ゆらり」はポップなサマーチューン。

藍井:でもこれ、ものすごく歌詞が切ないんですよね。切ない気持ち全開で歌っちゃうと情緒的になりすぎて、せっかくのバンドサウンド曲に違うベクトルのエネルギーが加わっちゃうと思ったので、客観的な視点から歌うことに挑戦しました。主人公の感情よりも楽曲に寄り添った歌い方を意識した曲ですね。

──5曲目の「シンシアの光」は〜PlayStationR3 & PlayStationRVita 『ソードアート・オンライン-ロスト・ソング-』 OPテーマで、サウンドもハードでカッコいい上、世界観も強い楽曲です。

藍井:この曲は現在ツアー中の藍井エイルバンドのギタリスト新井弘毅さんに書いてもらいました。“シンシア”は月の神様のこと。そのシンシアが出す光を信じて、前に向かって行こうというふうに私はこの曲を解釈しているんですね。そこは、私自身の大きなテーマでもある、“どんな暗闇のなかでも、光に向かって進んで行こう”というものとダイレクトにつながってます。楽曲はマイナー調だからノリにくいのかなと思うかもしれませんが、サビで思いきり騒ぎたくなるという。

──サビは“キターッ!”っていうゲット感がありますから。

藍井:だから歌ってても楽しいし、ライブでもすごい盛り上がりです(笑)。Dメロでいきなりロマンチックな美しい世界が広がるところは、新井さん節が出てるなと思います。

──6曲目の「Quit」はデジタル色の強いナンバーですが、誰のアイデアだったんですか?

藍井:私がデジタルにガッツリよった楽曲を書いてほしいと篤志さんにお願いして書いてもらった曲です。ここまで曲がイキ切っているので、歌詞はどんなものがいいのかすっごい考えたんですよ。そこで、自分が昔からやってみたかったことのひとつに“浮遊感のある歌詞”というものがあって、今回挑戦しました。

──サウンドも歌詞も、振り切りましたね。

藍井:ちょっと怖い雰囲気かもしれないですけど、私はこれがクセになっているので、今後も新しい藍井エイルにみなさんもきっと着いてきてくれる……と信じてます(笑)。

──7曲目の「Bright Future」はエイルバンドのベーシスト黒須克彦が作曲を手がけています。これも新しい挑戦として、“みんなでシンガロング”を試みた楽曲ですが、すでにライブのアンセムソングになっていますよね。レコーディングにはバンドメンバーがコーラス参加していますし。

藍井:“次はこういうふうに歌ってみて”とか偉そうにメンバーにディレクションしたり(笑)、本当に楽しくレコーディングできました。サウンドはかなりバンド感に溢れているので、歌詞も私の中にあるメッセージをストレートに人間味溢れるよう描きました。

──歌詞のなかに“照らされなくたって 照らし続けていたい”という一節がありましたが?

藍井:綺麗事をいってるように聞こえるかもしれないですけど……私は自分のために頑張ろうと思ったらサボりがちになるんですが、誰かが本気で喜んでくれることを想像するだけで、すごくやる気に満ち溢れるんです。待っててくれる人がいて、笑ってくれる人がいて、音を聴いてくれる人がいて、と想像するだけで頑張れる。今まで私はすごく身体が弱くて毎年すぐダウンしちゃってたんです。でも、デビューしてからものすごく強くなった。それは、気持ちの部分だと思っていて、誰かが待っててくれるんだと想像するだけで元気でいられるのかなと。人のパワーってすごいですよね。

──8曲目の「JUMP!!!」は開放感溢れる爽快なアッパーチューン。

藍井:かなりノリのいい楽曲だと思ったので、マイナス要素となるワードを一切入れないで歌詞を書くということに初挑戦してみました。これまでの藍井エイルのなかには、“キラリ”というようなワードはなかったんですけど、縛りを設けて書いてみたら、こういう新しいワードも出てきたので面白かったです(笑)。

──なるほど。

藍井:タイトルの“JUMP”の後に“!”が3つ付いてるのは、サビの“1,2,3”に合わせて。サビは、キャッチーな楽曲をさらに生かすキャッチーなフレーズというのを考えたときに、リフレインはマストだろうと思って。それで“1,2,3”は繰り返しにしたんですけど、この部分も自分のなかにこんなフレーズあったんだ!と驚きましたね(笑)。歌詞に関しては、もうちょっとダークな要素を入れた方が私っぽいんじゃないかとか、それまで謎のこだわりが自分のなかにあったんです。だけど、今回のアルバムは振り切ってみたからこそ新しい自分や新しいワードに出会うことができたと思っています。

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