【インタビュー】SUGIZO × J、<LUNATIC FEST.>を語る_第四夜「みんなの狂気が必要」

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■あの時代はかぶるのが絶対イヤな人たちばかりだった
■それは今の時代との絶対的な違いだと思う── J

──さて、次は6月28日に出演するminus(-)。元SOFT BALLETの藤井さんと森岡さんによって結成されたユニットで、“SOFT BALLET”がやっぱりキーワードになってくるのかなと思うんですが、このバンドとの関係性はいかがでしょうか。

SUGIZO:SOFT BALLETは1990年代初期から、同じシーンを構築して引っ張ってきた大先輩で、僕はすごく影響を受けました。サポートでギター弾いてた藤田タカシさんはJと、ね。

J:そう。DOOMの藤田さんはソロで一緒にやってますからね。彼はTHE MAD CAPSULE MARKETSでも弾いてましたから。

SUGIZO:近いよね、関係。

J:でもSOFT BALLETも、それ以前にあんなバンドはいなかったからね。

SUGIZO:いわゆるコンピュータベースであり、テクノとロックとディスコのシーンを融合してトップに出た最初のバンドなので、ある意味、本当にパイオニアですよね。

──なんであの時代にそれまでのシーンになかったバンドがうわって出てきたんですか。1980年代の商業ロック/産業ロックに対する反動がアメリカのオルタナティブみたいなことだったと思うんですけど、日本もそういう意識は相当強かったんですかね。

J:それ逆だと思うんですよ。それぐらい個性がないと出てこられない時代だったんです。みんなが凌ぎを削ってたというか、あの時代はかぶるのが絶対イヤな人たちばっかりだったんですよ。それは絶対的な違いだと思う。今のバンドは商業的な部分も考えるだろうし、それは全然否定はしない。でも、当たったものや売れたものに対して、近いものを求めたり目指したりすることが簡単な答えとして存在してしまうじゃないですか。俺たちの時代はそうじゃなかったんですよね。そこからいかに離れるか。それはやっぱり今の時代と昔と違うところだと思いますね。

──そこから離れることは簡単ですけど、それでも人に認めてもらわなきゃいけないわけで。

SUGIZO:重要なのは、当時って自分たちの個性を余すことなく表現して、それがちゃんとビジネスとして受け入れられるキャパシティがあったと思うんですね。だから、すごく特異性の強いものだったり、変態音楽集団でもいい。さっきのBUCK-TICKの話もそうですけど、どんなにいびつな人たちでも、それが成立してしまって、ビジネスとして成功してしまうっていう。ある意味ロックや表現、芸術に関してすごくいい時代だった気がする。自分たちの表現に怖がる必要がないんです。とことんまで追求していいっていう。

──今ほどインターネットでのコミュニケーションがあったわけじゃないでしょうから、そこには人と人とのぶつかり合いもあったわけですよね。

SUGIZO:来てくれるお客さんたちもね。今の子たちが悪いわけじゃないですけど、当時のほうが念が強かったと思う。少ない情報を自分で本当に必死になって集めて、やっとその場に来れるという。ひとつひとつがやっぱり念が強かったね。いい意味でも悪い意味でも。

──ちなみに森岡さんはKA.F.KAでもご出演なさいますけど、個人的なエピソードはあったりします?

J:あるイベントで森岡さんと一緒になって、「SOFT BALLET、いつの日かやったりしないんですか?」みたいな話をしたことがあったんですよ。「観たいっていう人、いっぱいいますよ」って。「そうなんだよね」なんて話をしてたんですよね。

SUGIZO:僕は森岡さんとはちょくちょく会うんですけど、最近藤井さんに会ってないな。会いたいな。実はあの人の別のプロジェクトでギターを弾いたりもしたし、おこがましいですけど音楽的にはすごく近いというか、共通性が多い。森岡さんは僕、去年のKA.F.KAのライヴに飛び入りしたりしてるんですよ。ドラマーが元克くんでしょ。森岡さんに「SOFT BALLET再結成したら、ドラムが元克くんでギターはSUGIZOでやるから、早くやってよ!」ってケツ叩いてるんですけどね。

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