【スペシャル対談】GACKT×DJ KOO「その裏に何があるのか、かっこいいのはなぜなのか」

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──4つ打ちとなるとKOOさんのフィールド。普段DJでかけている曲がフィードバックしました?

DJ KOO:それはいつの時代もそうだと思うけど、ただ既存曲をそのままリミックスすると安易になっちゃうので、オリジナルを活かすところは活かして。何より最初、オリジナルの125っていうテンポとキーの設定が気になったんですよ。他でもできるはずなのに、なぜこのテンポとキーで作っているんだろうって。だから、まずはそれを徹底的に研究して。

GACKT:そこは、かなりマニアックな部分ですね…。

DJ KOO:なぜかと言えば、リミキサーは普段ボーカル曲をいただいて、それを軸に作っていくんだけど、僕も本人を目の前にしてなんだけど…この曲は最近もらったトラックの中でも、とにかくものすごいクオリティで。

──その魅力を自分で探ってみたくなったんですね。

DJ KOO:そうだね。その魅力も具体的に言うとキリがないんだけど…。

GACKT:嬉しいですね…そう言ってもらえることも、それだけ聴いていただいたことも。

DJ KOO:最近では、普通のDJはリミックスをパソコン上でコピー&ペーストで作っていくんだけど、この曲はそれだとハマらない。それは、通常ではない発声だったり、アタックの位置をちょっと遅らせていたり、そういった妙がスゴいんですよ。波形を見ているとそれが計算されているんだっていうのがわかって。後はサビに入る前の絶妙な入り方とか、コード感とか、いろいろと理由があるんだと思って、そういったことを後輩のDJとかを集めて話し合ったりしていって…。

──スゴい世界ですね…。

GACKT:ここまで掘り下げてくれることって、基本的にはなかなかないですよね。なぜなら、こういう話は一般の方にはわかってもらえないことだし、曲を作るにあたっては、偶然生まれるものもあれば、計算して狙っていくこともたくさんあって、ボクの場合、特にボーカリゼーション、表現というものに対してはすごくこだわりをもってやっていて。1音1音、細かいニュアンスで抑揚を付けていくんだけど、たとえばボクはビブラート1つとっても7~10種類をちょっとずつ波形をずらして使ったりしている。いわば、自分の声をシンセ的に考えてアプローチすることが多くて、ディストーションのように歪ませてみたり、エンジェルボイス的なアプローチをしてみたり、いろいろと試した後に、それが自分で常に歌えないと本番では歌えないから、最終的には1曲通してレコーディングしている。だから、タイミングやリズムも考えて、ときには自分の歌にあわせて若干変化させていたり、とにかく聴いていて気持ちよくなるようにいろいろ狙ったり。ボクは、以前からそういう感覚に気付いて聴いてくれている人が何人いるんだろうって思っていて。でも、今回こうしてKOOさんと話していると、作っている側としては嬉しいし、作り甲斐があるというか。ミュージシャン同士でも、なかなかそこまで気付いてもらえることもないから、ありがたい話です。

DJ KOO:GACKTは、そういったことが当たり前のように身体に入ってて、1つの音として出せている。その裏には常人じゃないものがあって、歌の部分に関してもワードの間でもアタックをキープしていたり、強くならざるを得ないところでも滑らかに流していたり。だから今回は、リズムがハマればすごく気持ちよくなるなって思って、シンセもあまりリバーヴを使わずディレイを主にして、そのフィードバックをボーカルにあわせて。もちろん、これだけのボーカルトラックだから、オートチューンとかで加工するのもなしにして、その威力をダンスミュージックとあわせている。最終的には、EDMというよりはサイバートランス系というか、トラックものというよりアーティストものって感じになったね。

──つまり、今回はGACKTさんの歌を活かしたと。
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