【ライブレポート】梶浦由記が総勢20名の歌姫&プレイヤーらと共演。「変わらないことを守りぬく」

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梶浦由記のライブツアー<Yuki Kajiura LIVE Vol.#12>の追加公演である<オーチャードSpecial>の初日が7月18日、渋谷Bunkamura オーチャードホールにて開催された。

◆梶浦由記、WAKANA、YURIKO KAIDA、KEIKO、KAORI 画像

このライブツアーは6月10日東京国際フォーラムを皮切りに、9日間11公演という日程で、それぞれの公演が「日本語オンリー」、「日本語封印」、「サウンドトラック」と分類されていたのが特徴。それはもっと曲を聴きたいというファンの要望に応え、ジャンルごとに深化させていったことによる。総楽曲数は3公演で80曲以上というボリューム感たっぷりなもの。日程によっては昼夜別公演も行なわれ、限界に挑戦するかのような大プロジェクトを見事走り抜き、追加公演へ辿り着いた。今回はそれぞれのスタイルを1日分に集約したバラエティ豊かなプログラム。それぞれの公演で活躍したミュージシャンも一堂に会したほか、ストリングスも追加され、総勢20名という大所帯を率いての情熱溢れるライブを行なった。


照明が落ち、ステンドグラス調のライトが照らす中、アコーディオンが鳴り響く。つづいてパーカッションが加わり、ラテン調の音楽を力強く奏でてこの日のオープニングを飾った。そして荘厳なSEとともにメンバーが登場するとオーディエンスは大きな拍手で応える。つづいてイーリアン・パイプス(バグパイプの一種)のケルティックな音が会場を包み、『花子とアン』のサウンドトラックより「My Story」のメロディを響かせ、さらに今野均ストリングスによるカルテットと、パーカッション、ギター、フルートが加わり広大なイメージを展開する。そしてここでWAKANA、YURIKO KAIDA(以下、YURIKO)、KEIKO、KAORIらYuki Kajiura LIVE、レギュラーボーカリストの4人の歌姫が洋建築をイメージしたセットの上に登場し「歴史秘話ヒストリア」のテーマをオリジナルの造語バージョンで高らかに歌い上げた。

最初のMCで梶浦は「曲数を減らしても減らしきれない。かなりの曲数をやります」とプログラムを説明すると会場からは拍手喝采。そして「余計なMCはカットしますので、歌とか演奏でその人の人間性を推し測ってください(笑)」と話す。さらにゲストボーカルとして戸丸華江を紹介。戸丸はYURIKOとともに「世界里山紀行」のメインテーマで見事なボーカルワークをこなし、さらにフルートとストリングスが優雅なメロディを響かせ、ドラムとエレキギターは大地の力強さを表現する。

ステージのライトは森林をイメージした緑から紫へと変わり、「lotus」のエスニックなパーカッションにつづいてボーカル隊はゆっくりとハーモニーを響かせ、そこに弦が加わって華やかに彩ったかと思うと静かに楽曲を締めくくる緩急ぶりだ。明るいドラミングに印象的な弦のリフレインで始まるのは「Fate/ZERO」の「let the stars fall down」。YURIKOと戸丸のハーモニーも美しい。

再び梶浦はMCで「疲れ果ててスタジオに行ってもプレイヤーさんたちの素晴らしい演奏が喜びを与えてくれる」と語り、フロントメンバーとの結びつきを紹介する。つづいては『魔法少女まどか☆マギカ』より「Decretum」を物悲しく、「Symposium magarum」では不穏さを迫力たっぷりにバンドサウンドで表現。つづいては梶浦のユニットSee-Sawからのセルフカバー曲「黄昏の海」をKEIKOを中心にカバー。和風のメロディと無国籍なサウンドの融合は現在からするとやや珍しい部類の楽曲だ。

「花守の丘」では静謐なピアノから入り、ワルツのサウンドにKAORIを中心としたコーラスワークが響き渡る。「水の証」ではピアノとカルテットの伴奏にWAKANAがイノセントな声を聴かせ、「光の行方」は荘厳で美しいコーラスからアップテンポに転調し激しいドラミングが引っ張るという梶浦サウンドの真骨頂を披露。そこからYURIKOとKAORIの穏やかなボーカルで締めくくる姿は前半のクライマックスでとりわけ大きな拍手が湧いた。
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