【インタビュー】Brown Rice Family、ブルックリンから世界に向け発信するオーガニックで力強くハッピーなサウンド

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国内外のアーティストから広く厚い支持を受けている、ニューヨーク・ブルックリンを中心に活躍するバンド“Brown Rice Family (ブラウンライスファミリー)”。NY王者に輝いた日本人が率いる多国籍レゲエスカバンドだ。彼らの2度目の来日公演が決定。東京・大阪、そして仙台でライブを行う。さらにこの夏リリースされる2ndアルバム『Havana to Kingston』は、彼らの地元ブルックリンのヒップホップの要素を巧みに取り入れ、60~80年代のカリビアン音楽と、現代音楽の橋渡しとなる世代を超えたアルバムに仕上がり、ブルックリンから世界に向け発信される。来日を目前に控えたBrown Rice Familyに、バンド、音楽、そして来日公演について聞いた。なお、この来日公演のうち、東京と大阪の公演に招待するプレゼントも実施中。詳細は、プレゼントページ(https://www.barks.jp/present/)にて。

◆Brown Rice Family~画像&映像~

■ここまでいろんな国出身の音楽の好みもキャラも
■バラバラなメンバーが揃ってるバンドは少ないと思います


──2ndアルバム『Habana to Kingston』完成おめでとうございます。みなさんはさまざまな国の出身者で構成されたバンドですが、そもそもどんなきっかけで集まったメンバーなのでしょうか?

Yuichi:学生時代、NYのCity Collegeでクラスメイトだったのが、一緒にBrown Rice Familyを始めたジョーっていうハワイ育ちの韓国人の初期のボーカル。大学で出会う前にも、何回か僕の別のバンドやパーカッショングループのライブを見に来てくれていて顔は知っていた。ジョーもギターを弾いて歌うっていうから、じゃあなんか一緒にやろうか、みたいな感じで。始めは家のリビングや学校のスタジオでレコーディングしてたんだけど、やってるうちにどんどん仲間が増えていった。メンバーの半分は同じ大学の仲間、半分は外であった友達。ジョーは6年前くらいに訳あってバンドをやめたんですが、バンドはずっと続いています。

Kaz:僕がNYに移った2003年に知り合いを通じてYuichiに出会ったんですが、始めの数年は何もなく、久々に道端でYuichiに遭遇した時に今度ジャムしようということになったんです。当時僕はスパニッシュハーレムに住んでいて、近くにあったバーでオープンマイクがありまして、そこにYuichiが連れてきたのがジョーだったんです。彼らはすでにBRFとして活動は軽くしてたと思うんですが。

Tama:Yuichi君とはいろいろ通じて面識があって、当時僕はハーレムにあるSHRINEというライブハウスでマネージャーをしている時にまたバッタリ。当時その店は昼間閉まっていて、僕が鍵を持っていたのでそこでジャムるようになったんです。

──Brown Rice Familyというバンド名にした理由は?

Yuichi,Kaz, Tama:僕はBRFを始める前、別のジャマイカのラスタマンがリーダーの太鼓のグループ”I&I Drum Link”に入っていて、そこで結構ラスタのカルチャーの影響を受けました。ラスタのライフスタイルの一つにItal Food(アイタルフード)を食べるっていうのがあって、要はVital、生きている食べ物、ケミカルとかを使ってない自然の力が宿ってる物を食べるっていうのがあるんです。その頃から日本人のアイタルとは何だろうって探っていて、日本の鎌倉時代からの伝統食とかマクロバイオティック・フードとかを研究していました。それで、結局玄米って最強じゃん!ってことになったんですよ。まいたら芽が出るし、生きているし、栄養が高くて食べると癖になる。で、ジョーにもそんな話しをしながら、有機玄米食ったほうが良いよ、とか言ってて。その時会社を一緒にやろうって話しもしてたんですが、Brown Rice Familyはどう?ってジョーが言って、じゃあそれにしよう!っていう流れです。


──ニューヨークの人気ラジオ局WNYC主催のバンドコンテスト「The Battle of the Boroughs」でブルックリン代表として見事にニューヨークのトップバンドになったことで知られていますが、NYでは多国籍なメンバーでこうしたレゲエやラテン音楽をやっているグループは珍しいのではないですか?

Yuichi ,Kaz, Tama:NYっていろいろな人種が混ざって生活している街なんですが、ここまでいろんな国出身の音楽の好みもキャラもバラバラなメンバーが揃ってるバンドは少ないと思います。

──日本人のメンバー(Yuichiさん、Kazさん、Tamaさん)のみなさんは、それぞれどういう経緯で海外で活動するようになったのですか?

Yuichi:日本ではヒップホップとハウスのダンスをやっていて、ヒップホップのプロデューサーにもなりたいと思ってたので、どうせならNYでやりたいなと思って19歳の時に来ました。

kaz:幼少の頃にアメリカには5年ぐらい住んでいたんですが、13歳でギターを始めて、高校の頃には卒業したらお金を貯めてアメリカに行こうと思っていました。好きだった音楽が父の影響も少しあって、ブルースやジャズ、ロック、ソウルとかだったので、まぁ例えば外国人が歌舞伎好きになっちゃったら、本場の日本に行ってみたいと思うんじゃないですか? 僕はたまたま日本人で惹かれたのが一部のアメリカの音楽だったっていうことですね。日本にいたときから漠然とですが、いつか人種やジャンルがごちゃ混ぜのバンドをできたらいいなと思っていたんです。渡米して何年か経ってそんなことも忘れていたんですが、BRFに加入してしばらくして気がつきましたね、あぁ、あんなこと考えてたなぁって。想像してたものとの違いは多少あるけど、やりたかったことのひとつはできているのかなと。

Tama:80年代、バブルの真っ只中で、僕は高校に行きながらホコ天などでpunkバンドなどしていたのですが、当時やたら入ってくるアメリカの音楽や映画に影響を受け、とにかくその環境にドップリと浸かってみたかったんです。うちは裕福では無かったのですが、当時僕が行きたくなかった大学のためにコツコツ貯めておいてくれた親のお金を留学に使わせてもらいました。こっちに着いてからまたいろいろあるのですが、とりあえずそれがきっかけです。

──みなさんの音楽からはルーツ・ミュージックへの敬意を感じますが、メンバー全員共通のアイドルであるミュージシャンはいますか?

Yuichi:全員共通は難しいですねー。普段聴いている音楽も全然違うので。僕は太鼓が好きなので、コートジボワール出身のDr.Djobiっていう昔一緒にやってたジェンベのマスタードラマーがいるんですが、一番のアイドルです。あとは、I&I Drum LinkのジャマイカのマスタードラマーのJeremiah。

kaz:全員共通のアイドルは思いつかないですね。僕は特に自分の世代の音楽をあんまり聴いてなかったので、80、90、2000年代の音楽には疎いけど他の連中は詳しいですし。僕みたいに13歳でブルースを聴いてたってやつもメンバーにはいなそうかなと。もちろん時代に関係なく良いものは良いと思うし、年代で区切るのもおかしいですが、自分が生まれる以前の音楽にいつも惹かれてましたね。

Tama:共通と言えば Bob Marleyくらいかな~。みんなbackgroundがバラバラなもんで。

──『Habana to Kingston』は、タイトルが示す通りキューバとジャマイカの音楽が結びついた夏らしい、青空のように抜けの良いサウンドになっている印象です。今回のアルバムのテーマを教えてください。

Yuichi, Tama: キューバ音楽もジャマイカのレゲエやスカ、ラスタマンのチャンティングのナイアビンギ、どれも好きなので、混ぜたらもっと好きな感じになるかなーと思って試してたらできたのが今回のアルバムです。1stアルバムと違って、今回のは結構レゲエ色も強いですね。

kaz:“レゲェ、スカバンド”って言われることが多いんですが、たぶん自分たちでそう呼んだことは無いと思うんですよね。今回のアルバムはたまたまこうなったけど、次回はまたどうなるかわからないですし。

──「Say What You Wanna Say」(お前の言いたいように言え)と歌っていますが、こうしたポジティヴな気持ちを常にあなたたちが持てるのはどうしてですか?

Yuichi,kaz, Tama:玄米を食べてポジティブな気持ちでいるからですかね。この曲は、2014年のアメリカの警察のやりたい放題に見てられなくて、いろんなところでみんなが立ち上がってデモとかしたじゃないですか。BRFのメンバーも何人か参加しましたけど。あと、フランスのテロの後デモがあったり、日本でも憲法改正案や秘密保護法の件でデモをしたり、いろんな地域でいろんな人が立ち上がって自分の意見を主張した年だったと思います。民主主義はテレビの前で見ているスポーツじゃないぞ、って誰かが言っていましたね。変えたかったら行動しないと変わらないぞ、っていうメッセージの曲です。

──「Repatriation (Mama Africa)」「Zimbabwe (Illegal Economic Sanctions)」といった問題提起的な曲も太陽のように明るいサウンドに乗せて情熱的に歌われています。こうした表現手法は意識的に?

Yuichi, Tama:基本的にBrown Rice Familyで言っていることは、もっと良いライフを送るために何が必要かってことが多いんですけど、それを楽しくやっていこう!っていうスタイルですね。

kaz:人々にメッセージを送るには音楽以外の方法もあるんですが、たまたま僕らは音楽をやってるのでそれを通じて人々と共有したいですよね。もともとメッセージを伝えるために結成したという訳ではないと思いますが、世界状況を見ていると、あまりにも色んなことが起きているし、“音楽やって気楽に行こうぜ”ってだけじゃすまない世の中っていうか。

──アルバム・タイトルの“Habana to Kingston”が歌詞に出てくる「She's Gone」をはじめ、アルバムは後半になるに従って陽気さが影を潜めてシリアスになって行く印象です。アルバム全体のストーリーを教えてもらえますか?

Yuichi,kaz, Tama:確かに後半に行くに連れてマイナーキーな曲が集まっていますね。アップテンポで明るい曲をはじめに聴いて欲しかったので、前に持っていっただけです。歌詞の内容を読むと、結構はじめの明るい曲もシリアスなことを言っているんですけどね。

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