【FUJI ROCK'15 ロングレポート】邦楽の増加&オレンジ・コートの廃止にも揺るがなかった夏フェス王者の風格

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星野源のあの太い声をGREENの大自然の中で聴くというのは、なんだか雄大な体験だったなぁ。また観たい……。実はその直前、ゲスの極み乙女。を観にRED MARQUEEへ行った。だけど、開演時間に行ったんじゃ観られなかった。人で溢れかえるRED MARQUEEからは、超フィジカルなバンドアンサンブルと熱狂が右肩上がりで高まってくる模様がひたすら漏れてくるのであった……今のゲスの姿を象徴しているのだからと、それはそれで貴重なライブだったと思うことにした。

この日、星野源の次にGREENで行われたアクトはdeadmau5だった。いつものネズミの被り物を終始つけ、洗練のダンスミュージックとビビッドな光が苗場の夜空に放たれていた。強引だったり過剰な盛り上げ方をしないクールなセンスに感動。それにしても、夕暮れ時の星野源と暗闇の中のdeadmau5。その差は凄い。フジロックと言えば、やっぱりこの多種で雑多な感じ、音楽のるつぼ感が最大の魅力だと思う。それは、3日目にFIELD OF HEAVENのトリを務めたウィルコ・ジョンソンのステージ中にも感じたことだ。




病気から奇跡のカムバックを果たしたギターヒーロー。登場するやいなやフルスロットルだったが、そう言えば、前の日のおやつの時間の頃にこの場所ではハンバートハンバートの2人が会場中を歩きながら「アルプス一万尺」を愉快に歌っていたなぁということを思い出した。そして、シーナなきシーナ&ロケッツが、これからも歩み続けることを誰もが感じ取った力強いステージを行ったのもHEAVENだった。

あと、自分の行動の流れにおどろいたことがある。3日目、大トリのノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズがGEREENの締めとして「Don't Look Back in Anger」をやった頃のことだ。それまでMCでノエルは毒づいていただけに、アンセムが始まったら苗場の全員が問答無用に盛り上がった。だが、GREENに響き渡った大合唱の余韻の中で、RED MARQUEEはまったくの別次元にあった。



電撃ネットワークが、さそり達と妥協なきパフォーマンスを開始していたのだ。ノエル帰りの客で現場はいっぱいで、「オー! トーキョー ショック ボーイズ!」と高笑いする外国人の姿も。危険過ぎて、会場は本気で心配しているのに成功するまで絶対にやり続けるから、ショックと緊張で観てるコチラは疲れ切ってしまった。言わずもがな、あの突き抜けたプロ根性は敬意を払うべき凄みがあるのだが……。彼らと「So Sally can wait~」とのギャップは、フジロックならではだろう。
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