【ライヴレポート】J、「R&Rな人生を一緒に歩んでいきましょう！」

Jの誕生日である8月12日に赤坂BLITZで開催された＜FC Pyro.会員限定バースデイライヴ＞は、例年以上にスペシャルな一夜となった。先ごろ公開した速報レポートに続いて、新たな写真を加えた詳細レポートをお届けしたい。

◆Ｊ画像


ライヴ開演1時間前の18時から、9月2日にリリースされる通算10枚目のオリジナルフルアルバム『eternal flames』の新曲たちが会場に大音量で流されたのだ。この“特別先行試聴会”はアルバム発売に先がけて、まずはファンに聴いてほしいというJからの逆バースディプレゼント。アルバムのジャケットはJが愛用しているオリジナルベースに実際に火を放ち、炎に包まれる瞬間を撮影したものだが、“不滅の炎”というタイトルにふさわしい圧倒的なパワーを放つ曲たちが流れると、場内の空気は熱を帯び、曲が終わるたびに拍手と声援が沸き起こった。

試聴会が終わるとほどなく、ライヴに突入。特別なのは完成したばかりのアルバムの曲たちを聴けたことだけではない。たった今、体感したばかりの新曲が生で目の前で披露されたのが、この日のライヴだったからだ。オープニングはフロアをいっきに興奮のるつぼに叩きこむ「Die for you」。



「会いたかったぜ！　3ヶ月ぶりのライヴになります！　今日はあいにく誰かさんの誕生日で（笑）、俺へのプレゼントだと思ってしっちゃかめっちゃか騒いでくれ！」──J


すべてのメーターが振り切れるようなこの季節にふさわしい「PYROMANIA」が投下され、生誕の日を祝福するかのように赤坂BLITZのフロアには数えきれない炎が揺れる。スコット・ギャレットのタイトでヘヴィなドラム、masasucksと溝口和紀のパンクでオルタナティヴなギターがJサウンドをドライヴさせ、加速させていく。エッジーな音、胸を焦がすヴォーカルはある意味原点であると同時にまぎれもない最新型のJだ。

「アルバムを大音量で流したんだけど、どう？　こんな環境で聴くことってなかなかないから最高でしょ？　俺もそっち側に行きたかったんだけどね（笑）。また自分の次のレベル、次のステージで自分のロックを鳴らせたと思ってます」──J


その問いかけに大歓声で応えるオーディエンスに、ライヴ中盤ではたて続けにアルバムからの新曲が披露された。2015年の春のツアーで一足早くプレイされていた「Rollin’」はJの荒々しいベースが唸りをあげる痛快なロックナンバーで、バンドアンサンブルも最高にスリリング。さらにアクセルを踏んでいくような高揚感に満ちた「Believer」はR&Rをベースに、はじけ飛ぶようなパンクスピリッツを叩きこんだまばゆい光を放つ曲だ。強力なビートと“燃え尽きるまで 始めよう”と歌うJのブレることのない熱いメッセージに場内も大興奮。徹底的に削ぎ落とされたサウンドと強く切ないメロディが、今のJを物語るミドルチューン「I know」も鮮烈な印象を残した。


最高の新曲たちを全身に浴びた後は「Resist bullet」でダイブ＆サークルモッシュで盛り上がり、スコットの強力ドラムソロをはさんでライヴは後半戦へ。Jのソロ活動開始時の起爆剤のひとつとなったナンバー「BUT YOU SAID I’M USELESS」ではmasasucksと溝口の冴えたギターカッティングが交互にフィーチャーされ、灼熱の時はまたたく間に過ぎていく。本編ラストナンバーは胸を撃ち抜かれるメッセージに覚醒させられるキラーチューン「Feel Your Blaze」。いらない荷物を捨てて走り出し、突き抜けるための手がかりがいつだってJの曲には散りばめられている。


フロアから響くバースデイソングを歌う声がどんどん大きくなりアンコールで再び登場したＪは、炎が揺れる場内をうれしそうに見渡したあと、みんなに拍手を送り、感謝の言葉を述べた。

「どうもありがとう！　45歳。笑うなよ（笑）。始めた頃はこの年までバンドをやるというイメージはまったくもって抱いていませんでした。そのとき、そのときをがむしゃらに挑んできた時間の積み重ねが、今、俺をこの場所に立たせてくれてると思ってます。いろいろな人たちとの出会いが俺を強くしてくれた。こうなったらアルバム40枚ぐらい出そうかな（笑）」──J

そんなジョークも飛ばしつつ、長い制作期間を経て完成したアルバムのレコーディングが、自分の内なる声が見えてくるような今まで味わったことがない不思議な体験だったこと。揺れ動かないJサウンドがぎゅうぎゅうに詰まっていることについて触れ、「これからも貪欲に、そして強欲に行こうと思ってます。R&Rな人生を一緒に歩んでいきましょう！」と宣言した。


メンバー紹介ではスコット・ギャレット、溝口和紀が順番に呼び込まれ、最後にmasasucksが呼び込まれると、巨大なバースデーケーキを持って登場。ストロベリー、ラズベリー、クランベリーと好物のベリーづくしのケーキにテンションがアガるJ。「アルバムのジャケットが中央にプリントされてるんだよ。見える？　写真撮っていいよ」と、しばし撮影大会が繰り広げられた。

しかし、Jのバースデイライヴがこんなにピースフルに終わるわけはなく、ロウソクの炎を吹き消したらこれがなくちゃ始まらない恒例のケーキぶちまけタイム。断片をなんとかキャッチしようと袋持参のオーディエンスもいる中、派手にケーキが手づかみでぶちまかれ、前列の人たちはクリーム＆ベリーまみれになっていたのだった。


荒手のパーティタイムも終わり、ニューアルバムからもう1曲、新しい炎を放つようなアッパーチューン「Verity」が鳴らされた。最後は「全部、燃やし尽くしてください！」と「BURN OUT」で締めくくり、灼熱のステージを後にした。

客電がついてもいっこうに鳴り止まないJコール。その熱に応えて上半身、裸で再び登場したJは、最後に「・・・・・」を投下して去っていった。9月5日からスタートする約2年振りとなる全国ツアー。そしてツアーファイナルは10月10日の同会場、赤坂BLITZ。こんな45歳、反則である。もちろん、最高の褒め言葉という意味で。

取材・文◎山本弘子

■＜F.C.Pyro. presents－J Birthday SPECIAL LIVE－＞
2015.8.12　赤坂BLITZセットリスト
1. Die for you
2. Go Chrage
3. PYROMANIA
4. SUPER HIGH
5. Alone
6. Rollin’ (新曲)
7. Believer (新曲)
8. I know (新曲)
9. Resist bullet
～Dr SOLO～
10. BUT YOU SAID I’M USELESS
11. break
12. NOWHERE
13. Feel Your Blaze
Encore
1. Verity (新曲)
2. BURN OUT
W.Encore
3. ・・・・・





◆J オフィシャルサイト