ブルース・スプリングスティーン「『明日なき暴走』よ、誕生日おめでとう」

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ブルース・スプリングスティーン不朽の名作『明日なき暴走』が1975年8月25日USリリースから40周年を迎え、ブルース本人からファンの皆さんへのメッセージがオフィシャル・サイトで公開された。

◆ブルース・スプリングスティーン画像

「40年前、俺はEストリート・バンドと『明日なき暴走』ツアーの初日が行われるロードアイランド州プロヴィデンスへと急いでいた。その日の朝俺たちはニューヨークで最後のミックスを完了させたばかりだった。疲れ切ってはいたけれど、スタジオから出られることに感謝しながら北へと向かった。この音楽が自分たちに何をもたらしてくれるとしても準備はできている…と思っていた。そして俺たちにもたらされたのは、皆さんと、今日まで続いている皆さんとの会話。この音楽を自分のものにしてくれて、この特別な日を俺たちとともに祝福してくれるファンの皆さんに感謝!ああ、それから…『明日なき暴走』よ、誕生日おめでとう!」――ブルース


『明日なき暴走』はブルース・スプリングスティーンのサード・アルバムにして大出世作だ。「私はロックン・ロールの未来を見た。その名はブルース・スプリングスティーン」というジョン・ランダゥ(現マネージャー)によるロック史に残る一節とともに、発表と同時に一大センセーションを巻き起こしたアメリカン・ロック史上に永久に名を残す傑作である。アメリカの夢に裏切られ続けながらも、アメリカの夢への信仰を捨てられずにいる若者たちが「約束の地」への脱出を試みる「10代の若者が持つ、愛や自由の定義から前に進もうとした作品」であり、ブルースにとってそれまでの作品と新たな問いかけを始めたそれ以降の作品との「境界線」となった作品で、希望と挫折、前進と逃避、アメリカン・ドリームをあまりにもドラマティックで躍動感あふれるサウンドとともに歌いあげるタイトル曲は、ブルースの代名詞としていまも多くのファンに愛されている。



発売後一週間で全米TOP10入りを果たし、発売直後にゴールド・ディスク、すぐにプラチナを獲得した。1975年10月にTIME誌とNEWSWEEK誌の両誌の表紙を同時に飾り、『明日なき暴走』のヒットは単に音楽業界だけにとどまらず、社会現象にまでなったのだ。ブルース自身このアルバムについて「ボブ・ディランのような詩をフィル・スペクターのようなサウンドとデュアン・エディのようなギターでロイ・オービソンのように歌う」ことを目指したと語っている。

『明日なき暴走』は2015年7月23日に最新リマスター盤が低価格で再発売されている。リマスタリングは名匠ボブ・ラドウィックと、長年に渡りブルースのサウンド面を支えてきたエンジニアのトビー・スコットが共に手がけ、オリジナルのアナログ・マスターからプランジェント・プロセス社のプレイバック・システムを用いてリマスターが施されたものだ。『明日なき暴走』は以前に30周年記念ボックス発売の際一度リマスターされたが、2014年に再び新たにリマスターされている。

ブルースと長年にわたって活動を共にしているボス・サウンドの要トビー・スコットはこう語る。

「新しいリマスターで違いが分かるのは、初期の録音が本当に輝いている箇所だね。アレンジが希薄になっているから、それぞれの楽器がきちんと聞こえて、今までには聞こえなかったものが聞こえるようになった」──トビー・スコット

生粋のボス・ファンであり、全作品のリマスタリングを手掛けた巨匠ボブ・ラドウィックはこう語っている。

「「涙のサンダー・ロード」の冒頭、ピアノとハーモニカが奏でる4つの音をよく聴いてもらえると分かる。私にはその部分が「不安定」に思えていたんだ。プランジェント・プロセスが奇跡のようにその問題を解決してくれて、実際にプレイしたときのような音になったよ。違って聞こえるかって?勿論だよ!自分でも新しいヴァージョンを買いに行きたいくらいだよ。これはマーケティングの人間としてじゃなく、いちファンとしての意見なんだ!」──ボブ・ラドウィック

『明日なき暴走/Born To Run』(REMASTER)

1975年作品 SICP-4513 ¥1800+税
1. 涙のサンダー・ロード
2. 凍てついた十番街
3. 夜に叫ぶ
4. 裏通り
5. 明日なき暴走
6. 彼女でなけりゃ
7. ミーティング・アクロス・ザ・リバー
8. ジャングルランド
オリジナルのアナログ・マスターから2014最新リマスタリング(ボブ・ラドウィック&トビー・スコット)
歌詞・対訳(三浦久)付
解説:五十嵐正、三浦久(アメリカの夢を追い求める『明日なき暴走』)
http://www.sonymusic.co.jp/artist/BruceSpringsteen/discography/SICP-4513

◆ブルース・スプリングスティーン・オフィシャルサイト
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