現在、『TOUR15 NEVER FREE FROM THE AWAKENING』と銘打たれた全国ツアーを行い、来月には北米ツアーや台湾フェスへの出演も決定しているDIR EN GREYの薫(G)が、2012年から連載してきた『薫の読弦』(雑誌『音楽と人』内掲載)を一冊にまとめた初書籍を刊行することが発表され、TOWER RECORDS予約ランキングでも上位10位以内に食い込むほど期待も高まっている。

◆DIR EN GREY 薫vs金子ノブアキ~画像~

その薫がDIR EN GREYのステージ衣裳などで着用してきたブランド「MOSES」とのコラボレーションも引き続き注目を集めているが、この度、薫と最新コレクションにてモデルとして抜擢された金子ノブアキとの対談記事の前編を独占入手した。2人の関係性、“服”に対する個々の想い、撮影秘話からプライベートな話題まで、お互い心を知れた仲にある独特の空気感も存分に味わえる長編対談をお楽しみいただきたい。

――まずは薫さん、今回の金子さんとのコラボレーションが実現することになった経緯を教えてください。 薫:そもそもはMOSESというブランドのほうから、服のプロデュースをしてもらえないかという打診があって。自分がそのデザインをするという感じで、それを受けたんです。そこから話が広がって、誰かにその服を着てもらおうという話になった時に瞬間的に頭に浮かんだのが、あっくん(=金子の愛称)で。すぐさま電話をしてみたら、もうその直後には……

金子:オッケーしていたという(笑)。

薫:もう話が早くて(笑)。

金子:考えるまでもなかったですね。

薫:自分の衣装とかについてはこれまでにもデザインというか、自分でアイデアを出したりしてきたんですね。そういうことはあれこれとやってきていたんで、まずはあんまり難しく考え込まずに飛び込んでみるか、と。

――基本的にはステージ衣装と同様に、自分が着たいものを作るという感覚だったんでしょうか?

薫:結局はそういうことになりますよね。ただ、考え始めると結構なんか、「時代はどうなのか?」とか、いろいろ出てくるわけなんですけど。それで結果的にできあがったのが、今回こうして二人で着ている服なんです。


――すぐさま金子さんの存在が頭に浮かんだことについては、何か理由は思い当たります?

薫:たとえばまず服があって、こういう人に合うんじゃないか、というのが浮かぶこともあるんでしょうけど、まったく知らない誰かに着てもらうという発想はなかったんですね。むしろ自分と繋がってる誰か、という考えしかなかった。知らない人に着てもらうよりも、まわりにいる仲間の誰かに着てもらったほうが、やっぱり説得力があるというか。しかも、それがいちばん流れとして自然だと思えたし。

金子:俺もこうしてたまにモデルみたいなことをすることがあるんですけど、自分が普段着てる服って、仲のいい人間が作ってるものが多いんですよ。アパレルというのも、実はミュージシャンとかとすごく似ているところがあって。作品を作ってるという意味で言えば、思想だったり、哲学的な部分だったり、生き方とか、作り手自身のそういったものが反映されることになるわけで、こっちはそれを着ることになるわけじゃないですか。俺は結構、普段からそういうのが好きで。それが自分にとってはある種、いちばん高級な服ということになる。知ってる誰かが作っているものを着るのはやっぱり気持ちがいいし、それでライヴをやったり、外に出ていったり……そういうのがすごく好きなんです。だから声をかけてもらった時も、それはすごく感覚的に理解できましたね。

――お二人が並んでいると、なんだか写真自体も、そこはかとなく音楽の匂いのするものになりますよね。

金子:そんなふうに見てもらえると嬉しいですね。結局、そういうことなのかなと思うんです。着る意味がそこにある、というか。俺が着る意味っていうことで言うと、きっとそうやって普段からのお互いの繋がり……リレーションとか、リスペクトを持ってるってことが、たたずまいになってくれたら、というのがあって。写真としてもそうだし、衣服そのものが語る部分というのも出てきてくれるのかなと思っていて。説明し過ぎずに、パッと着ただけで何かそういうものを感じてもらえたならば、もちろん洋服が好きな人にも、薫くんのファンにも喜んでもらえるんじゃないかと思うし。自然なんだけど、そういう強い何かがある、というところがね。

――少し大袈裟に言えば、写真1枚からドラマが感じられることがあるわけですよ。想像できるというか、妄想を膨らませたくなるというか。

薫:うん。それが理想でもあると思う。

金子:何か文字が描いてあるわけじゃないんだけど、なんとなくメッセージが浮かんでくるような感じというか。そういうところってあるんですよね、洋服にもやっぱり。

――今回のウール・ガウンは、当然のように真っ黒。薫さんが服を作るとなると、やっぱり黒が基調になりますよね。

薫:そうですね。自分で着たいものということになると、やっぱり黒になりがちというか。無難といえば無難なんですけど(笑)。ただ、そのほうが、自分と関連付けやすいようなところがあるはずで。イメージしやすいというかね。たとえば赤い服を作りましょうとなった場合、どうやったら赤をカッコ良く見せられるのかという発想は、自分にはないわけですよ。それだったらなんか、イメージの湧きやすい黒のほうが。これが自分の作った服ですと言った時に、「これが?」という感じになってしまうよりはね。

金子:ブレブレの人みたいになっちゃうよね(笑)。

薫:うん(笑)。作ってる段階でもいろんな話をしながら進めてきたんです。たとえば当然ですけど、機能性とかについての問題も出てくるわけですよ。普通はそうしないとか、そういう部分も出てくる。そういったところを全部抜きにして、とにかく自分の思い描いてるものをそのまま形にしていこうとすると、すごくドレープを多用した感じの服でもあるんで、必然的に生地の量が多くなってくるんですね。すると当然、重くもなるし、値段も高くなってしまう(笑)。だから極力、軽い生地を使うようにして。これまではそういうことまで考えることはなかったですからね。でも、かなり自分の思い描いてた通りのものにはなりました。ただ、完成したものをまず着てみるじゃないですか。やっぱり自分で着るとね、「こんなんやったかな?」という感じがしてしまうんですよ(笑)。でも、あっくんが着てるのを見ると「ああ、なるほど」みたいな(笑)。やっぱりもう、その姿というのが頭にあったんで。

金子:なるほど(笑)。今回の撮影もすごく巻いて(=進行予定よりも早めに)終わったじゃないですか。決着が早い。パッと着て、パッと撮って。いい感じの撮影の時って、もうあっという間なんですよね。ナニゲに俺、音楽の時もそうなんです。やっぱりレコーディングの時でも、ずるずるといつまでもやってると鮮度が落ちてきて、切れ味みたいなものがすごく失われてしまうことが多い。やっぱりファースト・テイクがいちばん良かった、みたいなところに立ち返ったりすることも多いんで。同様に、写真の場合でもなかなかそういった良さを取り戻すのが大変だったりすることがあるんだけど、今回はホントに超早期決着で。「あれ、もう終わっちゃうの?」みたいな(笑)。最初はちょっとプレッシャーも感じてたけど、それがすぐに取り払われて、あとはもう楽しいばかりで。

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