PENICILLINの2015年第1弾シングル「Stranger」が10月14日にリリースされる。2014年は昭和のヒット歌謡曲のカバーにチャレンジした彼らだが、今作は全曲オリジナルの最新型PENICILLINをパッケージ。2015年、日本でもロングランヒットを記録したアクション映画『マッドマックス』の荒廃した未来の荒野の世界観をモチーフに新たなヴィジュアル、ハードかつメロディックで斬新な楽曲を生み出した。

◆PENICILLIN 画像

最近ではバラエティ番組『有吉反省会』で意外な素顔を見せ視聴者を驚かせている彼らだが、収録された3曲も実に変化に富んだもの。表題曲「Stranger」はヘヴィなギターリフをグルーヴの核に哀愁を帯びた旋律がその中央を貫き、「繚乱戦記」はロカビリービートを思わせるリズムがPENICILLINの新境地を感じさせる。そして8分の6拍子で綴られる「蕾」は言葉に寄り添うメロディがあまりにも美しい。結成23年目にしてこの好奇心、チャレンジ精神は、活動スタンス的にも音楽的にも尽きることがない。HAKUEI、千聖、O-JIROの今に迫ったロングインタビューをお届けしたい。

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■ヴィジュアル、映像、楽曲のすべてがリンクした作品
■同じテーマで歌詞を3曲書いたのも初です──HAKUEI

──PENICILLINのここ最近は、バラエティ番組『有吉反省会』出演も話題になっていますね。

千聖:(笑)。

──千聖さんが実は飛行機が怖いとか、O-JIROさんがお化けが怖いとか、HAKUEIさんが静電気や突然の音に弱いとか、実は臆病なことを反省していましたが、“イメージと違う”というリアクションも多いのでは?

O-JIRO:あるでしょうね。逆に、一緒に出演したアーティストの反省を聞いていると、“そうなの? もっとガッツリ男らしい人かと思ってた”って感じるくらいだから、僕らもそう思われてるっていうことなのかなって。PENICILLINをよく知っている人たちには、そんなに意外なエピソードではないと思うんですが、知らない人は“えーっ?”って思うんでしょうね。

千聖:ふだんは僕が飛行機嫌いなことも、ギャグをよく言うことも、ファンのみんなが知ってる前提で話してるんですよ、ライヴとかトークイベントとかではね。それがテレビ番組っていう不特定多数の人が観るようなものになると、世の中のイメージとは違うんだなということを実感しますし、知られていない前提で話しを構築しなければいけないんだなと思いましたね。

──で、禊(富士急ハイランドの絶叫アトラクション全制覇)は、もう収録したんですか?

O-JIRO:やりました。ライヴより汗かきましたね。冷や汗をふくめて(笑)。

千聖:ありとあらゆる角度の恐怖を味わった(笑)。

HAKUEI:“俺、なんでこんなことしてるんだろう”って(笑)。楽しめるようになれればいいんだろうけど、ただただ怖かっただけなので。

O-JIRO:どんな顔で映ってるんだろうね。

千聖:番組スタッフの人たちが、“愛のある編集”をしてくれるから大丈夫だよ、きっと。

HAKUEI:そう。司会の方も制作の方もまわりの方々が素晴らしいんですよ。僕らはミュージシャンとして呼ばれてふわっと現場に行くんですけど。

O-JIRO:収録中も楽屋の延長線上みたいな感じでね。

HAKUEI:そうそう。メイクしたトークイベントみたいな空気で。でも、あの番組に出てから、よけいにいろんなものが苦手になりました。ドアノブとかボタンを触るのにも、静電気に対して敏感になっちゃって(笑)。

O-JIRO:より意識するようになっちゃった?

HAKUEI:そう。自己暗示にかかっちゃって、俺、こんなにビビるんだって(笑)。“ビリビリペン”とかもう2度と触りたくないですもん(笑)。

──ははは。そんな一面もあるPENICILLINですが、ニューシングル「Stranger」はシリアスで憂いがあって、ロックのクールなカッコよさと情感が同居していると思いました。コンセプトを立てた上で制作したんですか?

HAKUEI:ヴィジュアル、映像、楽曲のすべてがリンクした作品にしたいという話はしましたね。

──収録曲に共通するテーマやワードなどは?

HAKUEI:曲はメンバーそれぞれが今、こういうことをやったらカッコいいというものを基準に作っていったんですが、ヴィジュアルイメージに関しては映画『マッドマックス』とか、マンガ『北斗の拳』のような終末感のある世界を取り入れていますね。歌詞を書く前にシリーズの最新作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を見に行ったんですが、そういう殺伐とした世界の中に活路を見出すようなものを書きたいなって。

──『マッドマックス』から派生した世界観なんですね。そういうふうに具体的なコンセプトを持ってシングルやミュージックビデオを制作するのは初めてですか?

HAKUEI:コンセプトを立てることはありますが、世界観を最初に提示したことはないかもしれないですね。

千聖:そうだね。作っている過程でアイデアが出てくることはあるけれど、こういうコンセプトでこういうヴィジョンでってあらかじめ決めた上で作ったことは、このバンドではあまりないかな。

HAKUEI:特にシングルではないですね。同じテーマで歌詞を3曲書いたのも初です。

──そもそも、なぜ今回そういう作り方をしようと思ったんですか?

HAKUEI:なんでだろうね。最初に『マッドマックス』の話になったんだよね。

千聖:みんな好きな映画だからね。ストーリー性がなくて徹頭徹尾、あの雰囲気だけで持っていこうとする感じが最高なんですよ(笑)。スピードとバイオレンスと破壊みたいな。その中に哀しみはあるんだけど、主演のメル・ギブソンだけじゃなく他の出演者のセリフもほとんどないし。

HAKUEI:確かにそうだよね。シャーリーズ・セロンもほとんどしゃべってない。

千聖:セリフがないから、シャーリーズ・セロンが「すごく難しかった」ってインタビューでも言ってたしね。クライマックスはいつもハンパないスピード感と砂嵐のような大自然の脅威と追い詰められる恐怖感があって。

HAKUEI:前に進むしかないみたいなね。

千聖:『北斗の拳』は『マッドマックス』の影響を受けていると言われているので、僕ら世代はダイレクトにくるというか。

HAKUEI:ヴィジュアルイメージがピンとくるんですよね。ロックバンドに置き換えられるし。センスよくふざけてる感じがあるというか。

千聖:いい意味でのB級感がたまらなくて、ロックに通じるところがある。全部一流だと正直面白くないこともあるじゃないですか。

──確かに。完成されすぎてると衝動が薄れるしね。

千聖:ロックの雑草感みたいなものを出したかったんですよね。

──なるほど。『マッドマックス』の荒廃/退廃した世界にインスパイアされたヴィジュアルなんですね。

HAKUEI:普通なら写真も綺麗にメイクして撮ると思うんですが、わざと汚くしてますからね。

──逆にそれで美しさが際立つこともありますから。

HAKUEI:映画の中のシャーリーズ・セロンはヒントになりました。でっかいトレーラーを運転して、陽射しの照り返しよけなのか儀式なのか顔に靴墨みたいなのを塗ってるんですよ。テキトーに塗っている感じがめちゃめちゃキレイでカッコよくて。“いいな。俺もテキトーに塗ろう”って(笑)。

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