【特別鼎談】日本のサウンドを牽引する男たち、INORAN・比留間整・峰守一隆

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10月某日、INORANとエンジニアの比留間整、ギターテクニシャンの峰守一隆が集結するという奇跡の現場に居合わせる機会を得た。

◆INORAN、比留間整、峰守一隆画像

INORANはもとより、普通のリスナーが比留間/峰守という名前を目にすることはほとんどないだろうが、彼らは1990年代から現在に至るまで日本のロックシーンを第一線で牽引し続けている伝説のスタッフである。比留間整はレコーディングエンジニアとして数々の名盤を制作、峰守一隆は著名アーティストのギター&ベースサウンドを作り上げてきたギターテックであり、バンドブームの勃発とともに、数多くのJ-ROCKシーンを生み出してきた人物でもある。LUNA SEA、BUCK-TICK、L'Arc~en~Ciel…2人が手がけたアーティストはまさに枚挙に暇がない。

取材・文:BARKS編集長 烏丸哲也
撮影:小野広幸

──この3人こそ、日本のロックシーンのサウンドを牽引してきた張本人であり歴史の証人でもあるので、今回は色んなお話を伺いたいと思っています。そもそも3人はLUNA SEAのデビュー前からのお知り合いなのですか?

INORAN:いや、違いますね。峰守さんはデビューアルバムからやっていただいているんですが、比留間さんはシングル「Believe」からですね。

比留間:「Believe」って最初のシングル?録ったのは俺だっけ(笑)?

INORAN:そう(笑)。


──ギタリストとして出したい音を出すにも、スタッフの力って重要ですよね。

INORAN:そうですね。スペシャルチーム…この2人以外にもスタッフはいるんですけど、多くを学んでいきましたね。LUNA SEAの歴史そのものが学び、なので。それが違うのか違わないのか…それすらも分からない時代からやっているから。

──アーティストってエンジニアに無茶振りするでしょ?「真っ青な空を白い鳩が羽ばたく感じ」とかイメージで語るから何を言っているのかわからないという(笑)。そういう人、いるでしょう?

比留間:まさしくLUNA SEAがそれ(笑)。「もっと青い感じ」とかね(笑)。

峰守:最初は「何を言ってるんだろうな?」って感じだったんですけど、だんだん分かってきて「こんな感じかな?」ってね。ミュージシャンってだいたい伝え方が抽象的ですよ。捉え方の違いがあるときは、その都度寄せていく感じで。

──音作りで重要なポイントというのはありますか?

峰守:かっこいいことですよね。耳に残る印象的な音。「何?このギターの音」と思って、ギターを始めたいと思ってもらえるような音にはしたいなという。

──それは努力と経験で会得していくものなんでしょうか。

比留間:最終的にはセンスなんじゃないですかね。子供の頃に聴いてきた音楽で頭の中に残っているフレーズとか、音色とか曲とか。そういうひきだしから、ポンと浮かんでくるもの。INORANが曲を作るときからそういうものはあると思うんですよね。今聴いている音楽に影響されているということもあるかもしれないけど、それよりも子供のころから聴いているもの。ヘタしたら家庭環境も関係してくると思うんです。

──エンジニアもギターテクもお互いに刺激し合いながらの制作現場なんでしょうね。

比留間:そうですね、戦ってみたり混ざってみたり。


▲レコーディングエンジニアの比留間氏。

──そもそも一般のファンは、周りのスタッフが何をやっているのかよくわからないと思うんですが、INORANひとりでは成し得なかったものがあるということでしょうか。

INORAN:それはもう、すべてですよ。やっぱり人が多ければ多いほど化学反応が起こるし、バンドがあって、その先にスタッフがいる。だからもう、すべて。ひとりでは何もできない。そんな世代なのかもしれないですし。だから居てもらって当たり前。一緒に作って当たり前。簡単に言っちゃうとピックを弦に当てるという僕の衝動があって、そこから先はアンプがあるように、比留間さんだったり峰守さんだったりがいないと成立しませんよね。

──なるほど、そういうことか。そんな中で自分の役割を全うするわけですね。

INORAN:試行錯誤を繰り返したというか…あの、ミュージシャンっておおまかに言うと2種類あると思うんです。最初から設計図を描いてそれに向かっていく人と、設計図がない人。僕は後者なので、やっているうちにどんどん変わっていく。峰守さんや比留間さんは理想に対して、引き出しを空けて待っていてくれるので。

──SUGIZOは前者ですね。

INORAN:前者です。Jも前者だと思います。

比留間:ある意味、バンドは両方いたほうがバリエーションも出るし面白いですよね。全員一緒だと、ひとつの方向にしか行かないじゃないですか。

──LUNA SEAは5人5様に尖っていたから、5つの要求をすべて受けて処理していかないといけなかったのではないですか?それって困難すぎると思うけど。

峰守:はっきり言いましたけどね「これをやっていくと大変だ。まとまらなくなる」って。押さえなくちゃいけない部分がありますよね。全員の意見を通していくと、その後に通過できない部分が出たりするので、そこが難しかったところかな。そのまま比留間さんに渡ると、それはそれで大変になるので。

──全員が主張し合っているとしっちゃかめっちゃかになる?

峰守:なります。

比留間:メンバーはそれぞれ個性が強いですけど、でもやっぱり大人だったので、ゴールまでいかないということはなかったです。それは今もそうです。さらに今はもっと大人になっているので。

──知識のない若いときと、キャリアを積んだ熟年の今とでは、音/プレイ/グルーヴはどうなっていくんですか?変わっていますか?

比留間:それはもちろん、人がやっていることなのでずっと一緒ではないですよね。毎回変わっていく。機材にしてもそうだし、いいものを見つけたりすると、それがプレイにも影響したりするので。

峰守:1stアルバム『LUNA SEA』のときはギターもそんなになかったもんね。立派な機材を使うようになるのはその後からで、それからは少しずつ楽になっていったかな。最初のころはチューニングが気持ち悪くて録り直したりしたよね。でも同じ音には戻らないんですよ。

──同じセッティングにしても、同じ音にならないですよね。

峰守:同じようになるようにメモを残しているんだけどね。それはその人のその日の気分もプレイに出てくるので。そういう部分は大変だったな。


▲ギター&ベース・テクニシャンの峰守氏。

──カッコいい音楽を作るというのは今も昔も変わらぬところと思いますが、時代は随分変わりCDが売れない時代になりました。“CDなんて出してもしょうがない”と言う若いアーティストも出てきました。この変化はどう捉えていますか?

比留間:ずっと変えなくていいものと、変えていったほうがいいなと思うもの、両方ありますね。

峰守:ギターで言うと、今の若者はシュミレーターの時代に向かっているじゃないですか。でもやっぱり弦をヒットした瞬間のニュアンスはまだまだ出づらいし、そこの取捨選択は迷うところですね。

比留間:今はね、音楽業界だけの話じゃなくてバーチャルなものがどんどん増えてきていて、それがリアルに近づいてきているんだろうけどね。映画もそうだし3Dとかもそうだけど、でも実際に景色のいいところに行って、自分がそこに立って見る景色がいちばん気持ちいいわけじゃないですか。そこで撮ってきたものをスクリーンに映して「3Dです、凄いでしょ?」って言ってもそりゃ本物とは違うわけだし。いろんな分野でせめぎ合いはあると思うんですけど、それはこれからもずっとそうなんじゃないですかね。人間は本物に近づきたいという欲があるから。でもやっぱり本物がいいですよね(笑)。

峰守:今はシミュレーターで何でもできるじゃないですか。でもそれはそこまでのものでしかないかな。

比留間:あとはね、やっぱり本物を知っている人と知らない人とでは差が出ますよね。

──本物を知る機会が少なくなっているという問題もありそうですね。

比留間:今はねぇ。だからそこはちょっとかわいそうだなって思う。昔は大変だったんですけど、良さもあったし本物だらけだったので。

──変な話ですが、いい音楽を作り上げるにはどうしてもお金がかかりますよね?

比留間:そうですね。

──お金をかけずにいいものを作りたいと思うわけですが、それって無理なんでしょうか。

比留間:んー(笑)、僕はやっぱり音楽はタダじゃないほうがいいと思うんです。欲しければお金を出して、欲しければアルバイトでもなんでもして手に入れるべきでね。そういう価値というか、何も努力しないで手に入れたものってあまり価値があるとは思えない。そこでやっぱりね、いいもの…本物とそうじゃないものを判断できる力…いい音もそうじゃない音も聴いてちゃんとわかる耳を持ってほしいですよね。

──音楽にたっぷりと時間をかけて聴きこむような生活スタイルが失われているから、耳を鍛える機会がなかなかないのだと思います。

比留間:あとは個人個人の欲だと思う。でも、今の若い人でも“ちゃんとしたものでちゃんとしたものを聴きたい”って人はいると思うんですけどね。親が音楽にどっぷりハマっている人だと、子供もいい音楽を聞いていたりするしね。ジミヘン聴いている20代とかいるよね。決して今はダメということはないですよ。

──今さらですが、INORANが音楽をやっている理由は何ですか?

INORAN:僕は人生そのものだからです。

──変な質問でしたね。ロックに夢が見られなくなってきたこの時代だからこそ、INORANの生き方が際立つと思って…。

INORAN:夢が見られない時代だからこそ、夢を探すしかないんです。情報が多すぎるから“この情報が僕には必要だ”というものを自分で判断しないといけない。それだから夢があるんです。

──なるほど。


INORAN:きれいごとかもしれないけど、作っている側はやっぱり本気で音楽の力を信じないといけないし、好きでなきゃいけないですよね。俺らもね、3人合わせて50円しかないって時代もあったし…別に不幸自慢じゃないけど、やっぱりそこには夢があったし、情熱があった。それはどの時代であっても音楽で飯が食いたかったら本気でやらないと。ロックに夢がないと言ってもね、EDMの世界だとDJで1年で70~80億円稼ぐ人だっているんですよ。ドリームなんていっぱいある。でもね、かといって若い世代のDJに、そういうヤツはいない。それって、結局は甘ったれているってことだと思う。僕がこういう立場に立たせてもらってるから言えることかもしれないですけど、でもそういう意思がないんだったらやめたほうがいい。制作している人間はみんなそうですよ、ひとりじゃできないから。

──力強い発言は、心に響きます。

INORAN:僕、言っていますよ。「売れない」って言うけどね、「いや、売ろうとしてないし」って。

峰守:そうそう、売ろうとしてない方が多いよね。例えばONE OK ROCKの今のギラギラした感じは、LUNA SEAの若い頃と変わらないですよ。目がギラついてる。

INORAN:そう、結果が出ている人は絶対努力しているもん。

峰守:海外で勝負するぞって言って、今海外でやっているじゃないですか。ギラギラしているものを持っていると吸引力を持つんです。ひとつずつ階段を上がって、だんだん伸びていった。次はもう1段ここ、もう1段ここ、って目標を上げていっている。それは彼らが自分たちでやってましたからね。僕らが何をしてるわけでもない。

比留間:でも昔よりうらやましいって思うのは、随分と海外に出やすくなっているよね。

INORAN:それはありますね。すごくいいことだよね。

比留間:何年か前にL'Arc~en~Cielのライブ収録をしにパリに行ったとき、ステージに立っているのが日本人でお客さんが欧米人という逆転現象に“すごいな、これ”と思った。変わったんだなーと。しかも狂ったように盛り上がってるんですよ。もう壁はないんだなっていう感じがしました。

──音楽の聴かれ方についてはどう思いますか? 今はみなイヤホン/ヘッドホンで、スピーカーで音楽を聴く機会がとても少ないんです。

峰守:そうですよね。うちの息子の周りでもほぼイヤホン。

比留間:でも、みんなが音を外に出し始めたらうるさくてしかたないけどね(笑)。

峰守:今じゃ盆踊りもヘッドホンでやってるからね。サイレント盆踊り。

比留間:シーンとしちゃってるんでしょ?(笑) 今はライブでさえもイヤホンだもんね。アンプの出音は小さくして裏に置いて、ステージ上に音がないんです。ドラムしか聞こえないし、歌も聞こえない。すごく静かだよね。

INORAN:Muddy Apesの中に入ってみてくださいよ、(爆音で)眼球が揺れますから(笑)。

峰守:ははは(笑)、そういう人たちはそういう人たちでいた方がいいね。

比留間:でも本当のうねりって、眼球揺れないと(爆音じゃないと)出ないっていうのはあるよね(笑)。

INORAN:外国の人とかはね、音楽を聴いているんじゃなくて身体で感じているからね、体感で。

──皮膚で浴びている感じ?

INORAN:そうそう。そこは勉強になりますよ。HAPPYの共有の仕方がぜんぜん違うんだなって。だから面白いです。

──そういう気持ち良さを知っているから、みんなライブに足を運ぶのかな。

INORAN:そうでしょうね。ライブはシンプルに人とつながれる場だよね。

比留間:今は特にそうかもしれないね。唯一開放できるんじゃないですかね。


──音楽制作現場の変化に関してはいかがですか? アートとして好き勝手やりたい思いとともに、厳しい予算でそれが許されない現状もあるかと思うのですが。

比留間:確かに、好き勝手やりたいです。使いたいものを使いたいしやりたい場所でやりたいし、やりたい時間にやりたい。でも今は限られた予算の中でやらないといけないですよね。

──機材も好きなものを自由に使う訳にはいかないでしょう?それもコストですから。

比留間:まぁ、あらゆるコネを使って集めてきますけどね(笑)。でもある意味そこまでやらないといけない状況かもしれないですね。だからと言ってふてくされても仕方ないので、頭を使って複合的に考えて予算と照らし合わせながらいいものを作ります。

──サウンドのファッション的なトレンドはあるんですか?

比留間:それは僕は意識したことないんですけど。あんまり意識しすぎるのもよくないし。

峰守:トレンドはあるのかもしれないですけど、俺もあまり気にしてないですね。曲に合えばいいと思っているので。若い子が持ってくるものに対して“こういうのが流行りなんだな”っていうのはありますし、そのへんの研究はしていますけど、それがいつもハマるかどうかは別なので。

比留間:トレンドを追ったところで同じにはならないし、そもそも同じようなものを求めてもつまらないじゃないですか。見えないものをみんなで探っていったほうが楽しいと思いますよ。

──LUNA SEAの歴史が、まさにそういうものですね。

比留間:そうなんです。LUNA SEAにしかできないことをやったほうが唯一になれる。

峰守:僕らはその時代にたくさんの実験ができたので、ノウハウはいっぱいあります。若いテクニシャンや若いエンジニアが「この時間内に即やってくれ」って言われたらできるかどうかは、ちょっと疑問かもしれない。

──INORANのギター変遷はどうですか?大元はハンバッカーを使っていたけれど、LUNA SEAではシングルサウンドを操るようになり…

INORAN:そうですね。やっぱり変わってきましたね。今は、こうなっちゃったって話です(笑)。

比留間:でも明らかにINORANのギターはいい方向に行ってますよ。ちゃんとした正しい道に。

INORAN:常に楽しいですよ。昨日より楽しいしそれが感情に出ている。それでいいんじゃないですかね。


──お二人はBUCK-TICKも手がけていますよね。B-Tのあのギターサウンドって何なんですか?超高品質な汚ねー音とでも言うのか、ハイクオリティなダーティサウンドを繰り出すあのセンス。

峰守:はは(笑)。普通の音を出すとOKが出ないんですよね。

──今井さんも星野さんも?

峰守:そうですね…まぁ、LUNA SEAもそうですけど(笑)。「普通じゃん」っていう返事がくる。

──普通じゃない片鱗が見えてきました。

峰守:「もっと汚く汚く、それいいよ!、これで弾こう」みたいな。でもそれで弾いてもフレーズがはまらないんですよね。すると「ダメだな。じゃあ、フレーズを変えるから待っていてくれ、この音は採用する」って、30分後にはかっこよくなっているんですよ。その音が好きになったらフレーズまでも変えていっちゃうし、イントロ部分に取り入れてみたりもする。自分の頭に描いたものからいろいろ変わっていくけど、最後にいいものができればいいじゃん、ていう人たち。

──INORANタイプと同じか。

峰守:そうかもしれないですね。今井くんは、例えば100点のものを作り上げるとしたら、もしかしたら自分ひとりでやったほうが100点になるかもしれない。でもひとりでやってるから150点にはならないというタイプ。人とやったときに倍以上良くなったほうがいいじゃないですか。みんなでああだこうだ、ケンカしてでもやって最終的には良かったよねっていうものが分かっている人ですよ。だから、音が汚かろうがなんだろうが関係なくて、最終的にはみんな「かっこいい」って言う。

──まさに。

峰守:でも、やっているときは大変ですよ。気が狂いそう(笑)。

──望洋としたアーティストのイメージを具現化するのは、峰守さんや比留間さんだったりするわけで。

峰守:LUNA SEAやBUCK-TICKのレコーディングが終わったあとは、ボーッとしてますよ。もう誰とも会話したくない、みたいな(笑)。

──LUNA SEAでのINORANサウンドも、後ろにいながら鮮烈な印象を与えるものですよね。

峰守:アルペジオの1発か2発しか出てこないんですけど、それが異様に頭に残るんです。それはすごいことですよね。音を詰め過ぎずに空間をいっぱい作って聴かせる。

──それでいてソロや別のバンドではまた人格が変わるし。

INORAN:自分を探しているだけかもしれないけどね(笑)。

比留間:今回の『BEAUTIFUL NOW』はすごく成熟していて、いい感じだよね。

──まだまだ成熟の余地がある事自体、すごいことですよね。

峰守:まだまだありますよ。必ず自分の中で課題を持っていて、それを前振りしますからね。レコーディング前に「今回は海だからね」とか(笑)。「夜じゃなくて昼だから」とか。

比留間:「ハワイで曲を作ってきたから」って。え?って(笑)。

峰守:それがメールで飛んでくるんですよ(笑)。どういう意味だ?って考えるのは面白いですよ。

比留間:お題が出るんです。

峰守:かならず出る(笑)。

──まさにチームワークだと思いますが、アーティスト自身が何を言っているかわからないとか、どこに向かっているかわからないということはないんですか?

比留間:INORANの場合、それはないですね。

峰守:まったくない。

比留間:確かにたまにいますけど、そういうときはヤバイ。長年やっていると、そういう時はなんとなくわかるんですよね。“このアレンジはやばいんじゃないかな”とか、“これはまとまらないよな”とか。もう1回、整理してから出なおしたほうがいいんじゃないかなって思うことはあります。それをなんとかまとめなくちゃいけない時もあるんですけどね。


──昨今ではポータブルオーディオも発達し、再生環境の音質が格段に向上してきています。そのことはアーティストや音楽制作者にどんな影響を与えますか?

比留間:常日頃ミュージシャンが何で音楽を聴いているかは気になってました。OKミックスを家に持って帰って聴くわけですけど、何で聴くかをアーティストに必ず質問してましたよ。

──当時は仮MIXもカセットテープにダビングして、各人がチェックしましたよね。

比留間:そう、そのテープをどんなデッキで聴いているのかとか、アジマス調整できてるのか?とか(笑)。それで「甘かった」って言われても「それ、絶対にアジマスが合ってないんだよ」ってね(笑)。今では、パソコンをいじれない人もいるから、高品質なポータブルオーディオプレイヤーが普及してくれるのは、共通語みたいな感じで話ができるのでいいと思います。あとはヘッドホンは何を使っているか、それだけじゃないですか。

峰守:僕はポータブルではDATがいちばんよくて、iPhoneはただ聴くだけ。そういう意味では昨今のプレイヤーは久々に楽しめるものが出てきたなという感じがします。

──DAT以来のプレイヤーの登場ですか。

峰守:そうですね、ちゃんと音楽聴こうかなっていう気持ちになる。それでイヤホンも試してみたら違いも楽しめてね。プレイヤーも20万円とか50万円クラスになると手が出ないけど、5万円~10万円の商品には夢がありますよね。

INORAN:共通の基準ができたので、共有しやすいと思うし、それはうれしいことだなと思います。逆に身が引き締まるというか、ちゃんとした音を残していきたいですね。作る方としては生きた音を作らなきゃいけないなと思う。僕ら自身も夢を絶やさないように、情熱を持って音楽に向かっていって、こういう素晴らしい音のプレイヤーで聴いてくれた人の景色が、…それが地下鉄でも海でもいいけど、景色が鮮やかになるような音を僕が鳴らせて、このプレイヤーが鳴らせていたら、それは幸せなことだと思います。



▲各人普段使っているヘッドホンと、Astell&Kernのデジタルオーディオプレイヤーの話題で談笑。
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