「音」と「香り」を奏でる、世界で1台の楽器“Perfumery Organ”

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香りと音をリンクさせる“香階”をご存知だろうか。

◆「LENOR HAPPINESS Perfumery Organ」映像&画像

香階とは、19世紀のイギリス人調香師ピエスが考案した「香り」に「音程」を当てはめたもの。いわば聴覚と臭覚を自然な形でリンクさせたもので、重たい香りは低音に、キーンと抜けるような香りは高域に当てはめて音階に並べたものだ。オクターブ上には同じファミリーと呼べる香りがあてがわれ、3度や5度のように心地良い和音を織りなす音階には相性のよい香りが配置されることで、和音では見事な香りのハーモニーが繰り広げられる。もちろんうまく溶け合わない香りもあり、それらはいわば不協和音を思わせるものだ。例えばドがローズであれば1オクターブ上のドはカンファー、レがアーモンド、ミがオレンジといった具合だ。


そんな香階によって芸術的な香りのハーモニーを生み出す楽器Perfumery Organが実際に制作され、クラムボンの原田郁子によって演奏された。7オクターブの音階と香りを持つPerfumery Organは、香料をひとつずつ音階にあてはめ、調和のとれた香りと音が同時に奏でられるように緻密に計算された、世界にたった一台しかない楽器だ。制作したのは“柔軟剤以上、香水未満”でお馴染みの柔軟剤ブランド『レノアハピネス』シリーズを発売しているP&G社で、フレグランスオイルと50種類以上の香料が複雑に配合された『レノアハピネス』の洗練された香りによって、芸術的なハーモニーを生み出すことに成功したという。

実際、撮影現場は良い香りに包まれ、ハッピーな気持ちが湧いてくるほのぼのとした空間だったようだ。Perfumery Organは瓶口に息を吹き込むとボーッとなる気柱の固有振動で音を生み出している。鍵盤を弾くと一音ずつ風が送り込まれ音が鳴り、瓶が前にスライドすることで香りが立つという仕組みだ。音程は瓶の中の香料の容量で調整されているため、時間が経つと蒸発することでピッチも変わってしまうという、極めてアナログな構造となっている。その都度香料を足したりエタノールで希釈したりと、音と香りのバランスをチューニングしながらの撮影となったようだ。





――今回のWEBムービー制作に参加していかがでしたか?

原田郁子:すごく面白かったです。“19世紀のイギリス人調香師のピエスさんという人が、音に香りを割り当てて、鳴らすと音と香りのハーモニーが生まれる楽器を考えたが、完成することなく亡くなった。その幻の楽器を実際に作るところから始めて、香りと一緒に音を出そうという企画がある。ぜひその楽器を演奏して、出来れば曲を作ってもらえませんか?”というオファーを監督からいただきました。まず思ったのは、面白そう。でもそんなこと本当にできるのかなって(笑)。現場は、とにかくスタッフの皆さんがとっても熱心でした。ギリギリまで細かい試行錯誤を繰り返して、未知の楽器を皆で作っていく。私も一スタッフ として、その過程に関わらせてもらえたことが嬉しかったです。今日、撮影現場で初めて完成した『Perfumery Organ』と対面したんですが、弾いた瞬間、鳥肌が立ちました。なんだかわからないけど、ピエスさんにも聴いてもらってるような気がしました。撮影した教会という場所は、生音が良く響くように設計されているので、想像していた以上に音が響いて、気持ち良く演奏できたと思います。

――曲作りで難しかったところは?

原田郁子:ジャスミンなら『ド』、ムスクなら『ファ』という風に、鍵盤ごとに香りがあるのですが、全部使えるわけじゃなくて、今回はレノアハピネスに含まれている香りの音しか使わないという決まり事がありました。でも、その音階はわりとマイナー色が強かったので、楽器のイメージや『Happiness』という商品のイメージに近づけるのがなかなか難しかったんです。何度か試奏しながら、スタッフの方々に相談していく中で、新たに1つ、2つ、使える音を増やせるようトライしてくださった。そこで一気に世界が広がって、主となるメロディーは、指が勝手に動いて、ぽろぽろっと出てきました。弾き終わったら現場の皆さんがわっと拍手をしてくれて(笑)、”あぁ、こんな風に歩み寄りながら進められるってすごいな”と思いました。

――日頃の制作活動や日常生活で、“香り”の要素はありますか?

原田郁子:鼻から香りが抜けると、目の奥とか、頭の裏がスーーッと通って、伸びするみたいになりますね。だるいなー、眠いなーって時に嗅ぐ香りと、寝なきゃいけないのに眠れないなーって時に嗅ぐ香りと、その時によって使い分けたりしてるかも。今、何の音楽聴きたいかなってこととか、ごはん何食べよっかなってことと近いのかな。すごく感覚的で、あんまり考えないんですけど。嗅覚って、実はすごく神経にダイレクトな気がしますね。人それぞれ、好きな香り、嫌いな香りってはっきりあるような気もするし、精神的な作用が大きい。それだけ強いんでしょうね。

――この映像を見た人へメッセージを。

原田郁子:香りも、音も、見えないから実体がないんだけど…、なんだろう、実感がありますよね。どういう場所、どういう状態で、その香りを嗅いだか、記憶とぴたっと張りついている。随分時間が経って、どっからともなく同じ香りがしてきた時に、フラッシュバックみたいに、その瞬間が有り有りと蘇ることがある。音にもそういう力があるから、今回、その二つが一つに合わさるという試み自体が、画期的だと思います。残念ながら映像から香りを嗅いでいただくことはできないんですが、これからこの楽器が色んな場所で鳴らされるようになったら面白いですよね。

  ◆   ◆   ◆

ピエスは、香階を奏でる楽器の制作も構想していたものの、実現することなく生涯を終えている。ピエスの世界観を敬意を持って再現したというPerfumery Organは、開けるとオルガン、閉じると香りをブレンドする調香台になる開閉式の天板を持ち、視覚的な効果をもたらす瓶がスライドする動き、空間全体に香りを行き渡らせるための工夫など、非常にきめ細かい完成度をみせている。

是非ともPerfumery Organの演奏会に足を運んでみたいものだ。





■『レノアハピネス』

50種類以上の香り成分を配合した、“柔軟剤以上、香水未満”の『レノアハピネス』は、ローズやジャスミンなどから構成されるフレグランスオイルを配合し、贅沢で洗練された、かつ心地よくやさしい香りが長続きする柔軟剤シリーズ。甘く濃厚な香りから、爽やかな香りまで、5種類のラインナップを展開。衣類の香り付け専用製品「レノアハピネス アロマジュエル」と組み合わせれば、気分やシーンにあわせて、自分だけのオリジナルの香りが楽しめる。
・プリンセスパール&ドリームの香り
・アンティークローズ&フローラルの香り
・ロイヤルリリー&ピオニーの香り
・ミスティグリーン&ジャスミンの香り
・ダークローズ&チェリーの香り

◆レノアハピネス・オフィシャルサイト
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