ザ・ジャムのすべてが語られたドキュメンタリー作品、登場

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ロンドン・パンクの異端児であり、当時のネオ・モッズの原動力であり、何より普通の市井の若者たちの代弁者であった3人の若いミュージシャンによるザ・ジャムのすべてが語られた真空パックの真実がここにある。そう言い切ってもかまわない過去にないリアルなザ・ジャムの、そのリーダーであったポール・ウェラーの姿をとらえたドキュメンタリー作品「About The Young Idea」が、いよいよ11月18日に日本でも6種類の仕様でワードレコーズからリリースされる。1980年に出演したドイツのTV番組の模様「Live at Rockpalast 1980」も収録されたスペシャル・ダブル・パッケージだ。

◆ザ・ジャム画像


誰もが知っている。ザ・ジャムはロンドンに住む若者たちではなく、南東に位置する近郊サリー州はウオーキングという町からパンクで沸き立つロンドンに出て来たバンドだ。その音楽は聴いてすぐ分かるように、激しく素早いつむじ風のよう。荒々しいギターカッティングと強靭なビートが繰り出すサウンドは、まさにパンク!

しかし、これも誰もが知っている。彼らは例えばセックス・ピストルズみたいにパンク・ファッションに身を包み、女王を罵倒したりしなかった。むしろストイックなまでにスーツにネクタイというシンプルなスタイルを貫いた。音楽も同様で、クラッシュが歌うような「1977年にはエルヴィスもビートルズもストーンズもいらないのさ」な感じはなかった。いや、これまた真逆で、ファッションと同じで60年代か、それ以前のR&RやR&Bをレパートリーにし、そもそも、始めた頃はビートルズみたいなバンドになるのが夢だと公言していた。

パンク・ロックの暴風雨吹き荒れるロンドンで、社会体制や政治に対して強烈なアンチのメッセージを送ることがストリートから生まれたバンドの確固たる存在証明だったのだ。アナーキストかニューレフトのような言動がバンドの価値を高めた。それに対して、真っ向勝負!あえてその反対の発言をしたり愛国的と言われるような行動もとったりヘソ曲がり極まる。真にパンクなのはどっち?と考えたくもなる。

パンクスたちからは総スカンをくらったかもしれないが、そういう彼らにシンパシーを強く抱く人も多くいた。パンクでもなんでもない普通の生活を送る市民。特に若者たちは夢や希望や挫折を等身大で歌う彼らに心酔した。彼らの歌で人生が変わった、という市井の人々の声は、このドキュメントの一番のハイライトだ。77年から82年までの5年間、ザ・ジャムは英国民の希望の星であり続けた。始まりも突然ならおしまいも突然だった。ベースのブルースは言う。「(解散宣言は)今まで飲んだ中で一番苦い薬(Bitterest Pill)だった」。

バンドにもファンにも、何より自分自身に潔く引き際を決めることはポールにとっても同じ気持ちだったに違いない。時代の潮目の変化を感じ、カッコいいうちにステージから去りたかったのだろう。まさに「さらば青春の光」。

作品はDVDとブルーレイの2タイプで、それぞれ初回限定盤にはライブCDが特典として付いている。ライブのパフォーマンスも大いに魅力的。ただ、ぼくが今一番知りたいのは、これを見たあなたの気持ちだ。How Does It Feel About The Young Idea?

文:大貫憲章 / KENSHO ONUKI

『ザ・ジャム - アバウト・ザ・ヤング・アイデア+ライヴ・アット・ロックパラスト1980』


【通販限定50セット Blu-ray+ライヴDVD+CD+Tシャツ】\10,000
【通販限定50セット DVD+ライヴDVD+CD+Tシャツ】\9,000
【初回限定盤 Blu-ray+ライヴDVD+CD】\7,500
【初回限定盤 DVD+ライヴDVD+CD】\6,500
【通常盤 Blu-ray+ライヴDVD】\6,000
【通常盤 DVD+ライヴDVD】\4,800
ディスク1『ザ・ジャムアバウト・ザ・ヤング・アイデア』Blu-ray
収録時間:本編約89分 / ボーナス映像 約35分
画面サイズ:16:9
音声仕様:リニアPCMステレオ / DTS HDマスターオーディオ
日本語字幕付き
ディスク2『ライヴ・アット・ロックパラスト1980』DVD
収録時間:約76分収録
画面サイズ:4:3
音声仕様:ドルビー・デジタル・ステレオ / ドルビー・デジタル 5.1chサラウンド / DTSサラウンド・サウンド
ディスク3『ライヴ・アット・ロックパラスト1980』CD *通販限定/初回限定盤のみ

『ザ・ジャムアバウト・ザ・ヤング・アイデア』ドキュメンタリー
出演:ポール・ウェラー、ブルース・フォクストン、リック・バックラー ほか
【ボーナス映像】
本編未収録アウトテイク映像(約22分)
1979年12月3日・4日 イギリス/ロンドン レインボー・シアター公演(約5分)
・イッツ・トゥ・バッド
・サタデイズ・キッズ
1981年5月26日 アメリカ/ニューヨーク ザ・リッツ公演(約7分)
・ザ・モダン・ワールド
・ジ・イートン・ライフルズ

『ライヴ・アット・ロックパラスト1980』(DVDのみ。Blu-rayはありません)
ミュージシャン:ポール・ウェラー(ボーカル/ギター)、ブルース・フォクストン(ベース)、リック・バックラー(ドラムス)
《1980年11月30日 ドイツ/ドルトムントTV番組“ロックパラスト”出演時の模様を収録》

1.ドリーム・タイム
2.シック・アズ・シーヴズ
3.ボーイ・アバウト・タウン
4.ゴーイング・アンダーグラウンド
5.プリティー・グリーン
6.マン・イン・ザ・コーナー・ショップ
7.セット・ザ・ハウス・アブレイズ
8.プライヴェイト・ヘル
9.リザ・ラドリー
10.ドリームズ・オブ・チルドレン
11.ザ・モダン・ワールド
12.リトル・ボーイ・ソルジャーズ
13.バット・アイム・ディファレント・ナウ
14.スタート
15.スクレイプ・アウェイ
16.ストレンジ・タウン
17.ホェン・ユー・アー・ヤング
18.イン・ザ・シティ
19.トゥー・ビー・サムワン
20.デイヴィッド・ワッツ
21.ジ・イートン・ライフルズ
22.ダウン・イン・ザ・チューブ・ステーション・アット・ミッドナイト

◆『ザ・ジャム - アバウト・ザ・ヤング・アイデア+ライヴ・アット・ロックパラスト1980』オフィシャルページ
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