YEN TOWN BAND、結成以来初の全国ツアーが閉幕

ポスト

先月、新潟で行われた<大地の芸術祭 2015 YEN TOWN BAND @NO×BUTAI produced by Takeshi Kobayashi>にて、約12年ぶりとなるライブを開催したYEN TOWN BAND。約20年ぶりとなる新曲「アイノネ」が、<JFL presents FOR THE NEXT supported by ELECOM>のテーマソングに起用され、全国のZeppにて結成以来初となる全国ツアーを行なった。

東京公演の模様をオフィシャルのライブレポートで振り返ろう。

  ◆  ◆  ◆


今年9月に約12年ぶりの復活を果たしたYEN TOWN BANDが、10月22日、全国5都市を巡るライブイベント<JFL presents LIVE FOR THE NEXT supported by ELECOM>東京公演に姿を現した。ゲストアーティストを迎えて行われるこのツアー。直前にプレイしたLily Chou-Chouのステージにそのまま小林武史(key/gt)と名越由貴夫(gt)が残って演奏を続けるシーンから、その日のステージは幕開けた。

まるで深海のような暗闇の中、流れるメロディーはいつしか聴き覚えのある「Gold Rush」のイントロへと繋がっていく。1996年に公開された映画『スワロウテイル』の中では、確かマーチングドラムっぽいリズムのインストナンバーだったはず。だが、この日は透き通るような鍵盤の音色が非常に印象的で、その暗がりの中にChara(vo)、村田シゲ(ba)、吉木諒祐(drs)、平岡恵子(cho)が静かにスタンバイ。その幻想的なオープニングの空気を一瞬で変えたのは、やはりCharaの、あの歌声だった。

オリジナルではアコギだったイントロを鍵盤で鳴らした「Sunday Park」。フロアから「グリコー!」という声援が飛ぶ。“グリコ”とは当時、映画の中でCharaが演じた主人公の名。そのグリコがボーカルを務めた架空のバンドがYEN TOWN BANDである。

モノクロからセピアへ、セピアからカラーへ。彼女の歌声がオーディエンスを包んでいくと同時に、フロアの景色が一気に色づき始めていく。「YEN TOWN BANDです。初めての人も元気~?」。割れんばかりの大きな拍手と歓声で迎えられ、笑顔を見せるCharaが客席に語りかける。


続く「Mama's alright」「上海 ベイベ」では、キュートなストロベリーブロンドと花柄のチャイナドレスのスリットを揺らし、コケティッシュな魅力を存分に発揮。「映画の中で、グリコがお母さんに会いたくて作った曲です。」と前置きして歌った「小さな手のひら」では、まるでひとつの楽器のように印象的なウィスパーボイスで、その世界観をさらに深めてくれていた。

また、映画の中でも重要な役割を果たしていたフランク・シナトラのカバー曲「My way」に続いて、新曲「EL」を披露し、ボーカルとエレピだけのシンプルなオープニングから、徐々にサウンドが足し増されていく壮大なバラードで、新たな一面を聴かせてくれていた。

その後、「She don't care」からのコントラストも絶妙に、本編ラストでは、今なお歌い継がれる名曲「Swallowtail Butterfly~あいのうた」。イントロが会場に鳴り響いた瞬間、会場からはこの日一番の歓声が飛び交い、フロアを圧倒した。


メンバーがステージ袖へ消えても鳴り止むことのない拍手は、再び6人をステージ上へと呼び戻し、そのままアンコールへ突入。最後に演奏された楽曲は、今回の<JFL presents LIVE FOR THE NEXT supported by ELECOM>テーマソングでもあり、バンドにとっては約20年振りのシングルとなる「アイノネ」であった。

フロアを埋め尽くすオーディエンスが、じっくりと噛み締めるように新曲「アイノネ」を聴き込んでいた印象的なライブは、プロデューサー小林武史によるメンバー紹介の後、惜しまれつつも幕を下ろした。

どこまでも力強く刻まれるビート、その包み込むような“愛の根/愛の音”のメッセージを感じながら、これから始まる新たな物語に想いを馳せた夜だった。

text by なかしまさおり
photo by 上飯坂一

◆  ◆  ◆

YEN TOWN BANDも含め、<JFL presents LIVE FOR THE NEXT supported by ELECOM>での各アーティストのパフォーマンスは、11月23日にJFL各局で放送の特別番組『JFL SPECIAL ELECOM FOR THE NEXT 2015 ~NEXT GENERATION~』にてオンエアされる。

SET LIST

M1.Sunday Park
M2.Mama's alright
M3.上海 ベイベ
M4.小さな手のひら
M5.My way
M6.EL(新曲)
M7.She don't care
M8.してよ してよ
M9.Swallowtail Butterfly~あいのうた~
EN. アイノネ(新曲)

関連画像・リンク

◆BARKSライブレポート
この記事をポスト

この記事の関連情報