【レビュー】WANIMA、もはや“祭り”!デイリーチャート首位驀進中

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WANIMAが1stアルバム『Are You Coming?』をリリースした。直訳すれば「来るの?」だが、「もうキてるでしょ!」と突っ込みたくなる。それくらいの状況を、彼らは既に作り上げているのだ。

◆『Are You Coming?』トレーラー

2010年からコツコツと活動を続けてきた結果、ライヴを見た3割のキッズがデモを購入していくようになった彼ら。そして2014年10月、PIZZA OF DEATHが、レーベルとしてだけではなく、マネージメントも手掛ける初のバンドとして1stミニアルバム『Can Not Behaved!!』をリリースし、さらに広く名を知られるようになる。

今夏は、<JOIN ALIVE>、<ROCK IN JAPAN FES.>、<SUMMER SONIC>、<SWEET LOVE SHOWER>、<RUSH BALL>……と、大きなフェスを行脚しながら、EP「Think That…」をリリース。これで、ライヴハウスに通うキッズや、メロディックパンクが好きなキッズのみならず、幅広い層に魅力を届けるトドメを刺した。そして満を持して『Are You Coming?』はリリースされるのだ。


既に各地で“祭り”や“現象”と噂されているだけあって、その盛り上がりはハンパなものではない。『Are You Coming?』リリースツアーの初日である東京・渋谷TSUTAYA O-WESTのチケット申込にはキャパシティを大きく上回るあり得ない数が殺到。ちなみにO-WESTのキャパシティは600人ほどであるが、何日間も連続公演をすることが可能な数だったとか。さらに、CDが売れないこの時代にイニシャル枚数も凄まじいという。ちなみにこちらはチャート初登場1位を狙える数字でもあるのだ(事実、オリコンやiTunesをはじめ、リリース当日11/4付デイリーチャート1位を獲得)。インディーズで! 1stアルバムで!これはもう、お茶の間に飛び出ていくレベルじゃないだろうか。というか、実際に朝の情報番組『めざましテレビ』にまで出演してしまったわけだけれども。

しかし、“祭り”や“現象”と言われているだけあって、一過性の流行り廃りに留まってしまう危険はないのか? 「WANIMAキてるよね、行かなきゃ聴かなきゃヤバいよね!」みたいな、軽いノリで広まっているわけではないのか? 答えはNOだ。10月に行われた、「Think That…」リリースツアーのファイナルとなった、東京・渋谷クラブクアトロ。そこには、“これから時代を築いていくバンド”特有の熱気が、隅から隅まで渦巻いていた。最前線のキッズがモッシュやダイブに明け暮れるだけではなく、最後方のオーディエンスまでシンガロングし、男も女も大人も、ステージの上の3人に夢中になった。ソールドアウトを果たせるバンドが、CDをたくさん売れるバンドが、全てこの熱気を生み出せるわけではない。さっきまでさんざん数字的な状況を説明しておいて何だが、数字以上の証明である“空気”を彼らはまとっているのだ。そしてそれは、『Are You Coming?』を聴いていても感じられるものなのである。

WANIMAの音楽性は、3ピースらしいメロディックパンクをベースに、ラップやレゲエを混ぜながら、日常会話のような日本語詞がのっているもの。“自分たちはこうあるべき”というような堅苦しい命題や、“自分たちはこう見られたい”というようなカッコつけたところは見当たらない。これが好き、これが気持ちいい、これがわかりやすい……そういう要素を集めて彼らが楽曲を作っているからこそ、シンガロングしたくなるような人懐っこさが感じられるのだろう。

また、敢えてまとめるなら、彼らの楽曲は“人を求めている”楽曲だと思う。“まだまだ これから 笑い飛ばせない日がきたら ダサいのは今だけだから”(「ここから」)と等身大の言葉で背中を押すメッセージソングも、“いいから気持ち良くするから 誰にも言わない内緒にするから その体つきはアジアの奇跡”(「いいから」)と大袈裟なまでに女の子を称え誘うエロ丸出しナンバーも、“ありがとうを込めて歌った この気持ちに嘘は無いと さよならが教えてくれた 必ずまた逢える 離れるのは距離だけと”(「THANX」)と熊本出身の彼ららしく郷愁を感じる楽曲も、形は様々ながら、届ける相手がいないと成立しないのだ。

そこに強烈な思いがあったからこそ、今の、たくさんの人を巻き込んでいる状況があるのだと思う。そして、人を求めている楽曲は、こと日本においては、執念が滲み出ているようなじっとりしたものも多いが、彼らの楽曲はとことんカラッとしており、前向きだ。何かにつけて俯きたくなるこの時代に、彼らが輝いているのも頷ける。

今作は、ほとんどの収録曲が最近作られたものだという。つまり、今の状況を感じながらも、それに押し潰されることなく、むしろパワーに変えたからこそ、こういった傑作が誕生したのだろう。そういった進化や才能と、根っこで揺るがない純粋さ。どちらも今作からは感じられる。“今は立派な君のパパも 1度は聴いてたんだHi-STANDARD”(「Japanese Pride」)で大先輩の名を取り入れて、尊敬と世代を露わにする大胆さを見せたかと思えば、“明日は晴れるかな 晴れたらいいのにな”(「エル」)と泣き笑いのメロディで、素朴な願いを歌う。このバランスも、彼らのたまらない魅力なのだ。

きっと、まだまだ、WANIMAは大きくなる。『Are You Coming?』という、その名の通りワクワクへの招待状を、ぜひとも今こそ受け取ってほしい。

取材・文◎高橋美穂



■1stフルアルバム『Are You Coming ?』

2015年11月4日リリース
PZCA-76 ¥2,300(税抜)
1.ここから
2.夏の面影
3.いつもの流れ
4.Japanese Pride
5.SLOW
6.TRACE
7.1CHANCE
8.リベンジ
9.いいから
10.Hey yo...
11.エル
12.THANX
13.また逢える日まで

■<WANIMA『Are You Coming ? Tour』>

11/21(土) 渋谷 TSUTAYA O-WEST
11/26(木) 神戸 太陽と虎
11/27(金) 京都 MUSE
11/29(日) 岡山 YEBISU YA PRO
12/02(水) 高崎 club FLEEZ
12/03(木) 郡山 HIP SHOT
12/05(土) 弘前 Mag-Net
12/06(日) 秋田 Club SWINDLE
12/08(火) 盛岡 Club Change WAVE
12/09(水) 仙台 CLUB JUNK BOX
12/10(木) 新潟 LOTS
12/12(土) 富山 SOUL POWER
12/13(日) 福井 CHOP
12/15(火) 横浜 F.A.D YOKOHAMA
01/15(金) 浜松 窓枠
01/16(土) 静岡 UMBER
01/29(金) 長野 LIVE HOUSE J
01/31(日) 金沢 EIGHTHALL
02/04(木) 山口・周南 RISING HALL
02/05(金) 広島 CLUB QUATTRO
02/07(日) 大阪 Namba Hatch
02/09(火) 福岡 DRUM Be-1
02/11(木) 鹿児島 Caparvo Hall
02/12(金) 宮崎 SR BOX
02/14(日) 熊本 DRUM B.9 V1
02/16(火) 長崎 DRUM Be-7
02/17(水) 大分 DRUM Be-0
02/19(金) 松山 WstudioRED
02/21(日) 名古屋 DIAMOND HALL
Final
02/27(土) 東京 Zepp DiverCity

◆WANIMA オフィシャルサイト
◆WANIMA レーベルサイト
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