【インタビュー】Thinking Dogs、それぞれの個性やこだわりをたっぷり詰め込んだ2ndシングル「3 times」

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Thinking Dogsという名前を聞いてピンと来なくても、サイモン利根川という銀髪でハスキーボイスのプロデューサーと一緒にガムのCMに出ているバンドと言うと“ああっ!”と分かる人が多いと思う。彼らは2014年に開催された<イナズマロックフェス>連動型オーディション<イナズマゲート 2014>に出場し、見事準グランプリを獲得。その後サイモン利根川氏に見いだされ、2015年6月にメジャー・デビューを果たした実力派のバンドだ。11月18日に2ndシングル「3 times」がリリースされるタイミングに合わせて、彼らの素顔に迫るべく全員インタビューを行なった。

◆Thinking Dogs~画像~

■今回の3曲もそうですがレコーディングする曲が決まったら
■そこにメンバーそれぞれの個性を入れ込んで仕上げます


――BARKSでインタビューさせていただくのは初めてですので、まずはThinking Dogsのプロフィールをお願いします。

わちゅ~:元々は、2014年の6月に、大輝以外の3人で前身バンドを組んだんです。同期とかはあまり使わずに、生の音を活かしたバンドをやりたいと思って結成しました。それに、ちょっとロック寄りで、でもメロディーは大切にしたいというのもありました。大輝は、当時は他にメインでやっているバンドがあったけど、良いドラマーなのでサポートで叩いてもらっていて。その後、正式にメンバーとして加入して、今の4人が揃いました。


▲2ndシングル「3 times」初回生産限定盤


▲2ndシングル「3 times」通常盤

――短期間で、良いメンバーが揃いましたね。それぞれの音楽的なバックボーンなども教えていただけますか。

Jun:僕が好きなのは、スティーヴィー・レイ・ヴォーンとヴァン・ヘイレン。それに、CharさんやTUBEの春畑さんも好きです。好みが年寄りくさいとよく言われますけど(笑)。僕はひたすら引きこもるタイプだったこともあって、好きなギタリストと出会うと、この人のルーツはどこだろうと探るのが癖になっているんです。ジョン・メイヤーから入って、スティーヴィー・レイ・ヴォーンにいって、ジョニー・ウィンターにもいって…みたいな感じで。そういうことを繰り返した結果、往年のギタリストが大好きになりました。プレイ的にもブルージーな感じが好きですね。ペンタトニックを多用するし、いやらしい感じのチョーキングとかを極めたいと思っています(笑)。

わちゅ~:僕は子供の頃はゲーマーだったんですけど、小学校6年生の時に『ファイナルファンタジーX』のBGMにすごく感動して。そこからコロッと一切ゲームをやらなくなって、植松伸夫さんのBGMにハマったんです。それがきっかけになって、ピアノで植松さんの曲を弾いたり、オリジナルを作ったりするようになりました。それと並行して中学の時にTHE BACK HORNと出会ってバンド物も聴くようになったし、その後エヴァネッセンスを聴いてヘヴィな洋楽に目覚めて、リンキンパークとかリンプ・ビズキットとかを聴くようになるんです。ただ、その間もずっとBGMに惹かれていて、ヒーリング系の音楽とかも聴いていて。今は『進撃の巨人』やドラマ『医龍』のBGMを手掛けた澤野弘之さんが作る曲が好きで、よく聴いています。


▲写真左より:大輝、TSUBASA

――ベースを弾くようになった経緯は?

わちゅ~:僕は元々4歳の時にピアノを始めて、小学校の時にギターも弾くようになったので、ずっとバンドもやりたいと思っていたんです。それで、中学生になった時に友達とバンドを組もうということになったんですけど、爆発的にギターが上手いヤツがいたんですよ。それで、僕はベースをやることにしました。僕はベースという楽器自体にも興味があって、ちょうどバンドを組む直前に父親にベースを買ってもらっていたんです。なので、ギターが上手いヤツがいるから仕方なくベースにしたという感じではなくて、前向きな気持ちでベースを始めました。

大輝:僕は、元々僕の父親が会社の同僚の人達とバンドを組んでいて、家に電子ドラムがあったんです。それで、小さい頃から遊びで叩いたりしていたんですよ。そうしたら、高校3年生くらいの頃に、軽音部の友達にドラムがいないから叩いてくれないかと言われたんです。家に電子ドラムがあるなら練習できるだろうからやってくれと。それで、「じゃあ、やるよ」と言って、本格的にドラムを叩くようになりました。軽音部の友達はSIAM SHADEとかLUNA SEAとかが好きだったので、始めた頃はその辺りのコピーをしていましたね。そこから音楽やバンドにのめり込んでいって、大学も音楽系の大学に行ったんです。大学は洋楽を聴いているヤツもいるし、メタルしか聴かないヤツもいるし…みたいな感じで、周りの人に教えられて、いろんなジャンルを聴くようになりました。好きなドラマーは、木村カエラさんのバックやthe HIATUSで叩いている柏倉隆史さんです。僕は、ドラマーから入って、その人がやっているバンドや関わっているアーティストに興味を持つことが多くて。柏倉さんもそうですけど、良いドラマーというのは歌物もやっていれば、すごくロックなバンドもやっていたりしますよね。それもあって、ジャンルには捉われずにいろいろ聴き漁っていました。

TSUBASA:僕は子供の頃は引っ込み思案で、声を出して歌うタイプではなかったんです。でも、小学校4年生の時に、みんなで合唱をする機会があって、先生に一回ちょっと歌ってみなよと言われて。それで、「紅葉」という曲を歌ったら、その先生がすごく褒めてくれたんです。それから歌うことが好きになったけど、バンドを始めたのは高校生になってからでした。高校ではバスケ部に入っていたけど、ここでは結果が出せないと諦めた。要は、挫折したんです。それで、打ち込めるものが何もなくなってしまった時にベースをやっている友達とカラオケに行ったら、「お前、すごく歌上手いな。俺バンドやりたいから、ボーカルやってよ」と言われて。それからバンドで歌うようになりました。当時はJ-POPしか聴いていなくて、GACKTさんとかL'Arc~en~Ciel、TM.Revolutionとかがすごく好きでしたね。そういう人達をコピーするところから入って、少しずつボーカリストとしての自分のスタイルを見つけていった感じです。


――メンバーそれぞれの指向性が違っていることは、Thinking Dogsの特徴の一つと言えますね。11月18日にリリースされる2ndシングル「3 times」は、どんなテーマのもとに作られた作品でしょう?

わちゅ~:僕らは楽曲を提供していただく形で活動していて、ただ、作曲してくださった方の曲を、そのままやっているわけではなくて。いつもそうですけど、レコーディングする曲が決まったら、そこにメンバーそれぞれの個性を入れ込んで仕上げるようにしています。それは、今回の3曲も同じでした。

大輝:表題曲の「3 times」は、これまでThinking Dogsが出してきた曲の中でも一番テンポが速くて。こういう曲はドラムが鍵というか、ドラムの善し悪しで楽曲の勢いだったり、疾走感がなくなってしまうんですよね。なので、とりあえずスタジオに入って、必死に練習しました(笑)。この曲はBPM=192とかで、聴いた感じよりも速いんですよ。スタジオに入ってクリックを聴きながら叩いて、“やべぇ、めっちゃ速ぇ!”と思って(笑)。しかも、8ビートから4つ打ちにコロコロ切り替わったりするし、意外とフィルとかタム廻しが多いから難しくて。もう、汗だくになりながら練習しました。僕は本番で焦りたくなくて、ちゃんと仕上げてから臨むタイプなので、レコーディングはわりとスムーズでしたね。何度か叩いて、その中から良いテイクを選びました。

わちゅ~:この曲はデモを聴いた時に、ライブの定番曲になるのは間違いないなと思いました。大輝も言ったように、今まででの曲の中で一番テンポが速いし、すごくバンド感が出ている曲だったから。ベースに関しては、ドラムがすごくスピード感があって、力強かったので、そのスピード感を大事にしたいというのがあったし、かつギターが良いフレーズを弾いているので。なので、ベースはあまり無駄な動きはしないようにして、支えることに徹しました。Bメロでちょっとペンタっぽく動くくらいで、支えることを意識したベースになっています。

――フレーズはシンプルですが、弾力感のあるグルーブがすごく気持ち良いです。

わちゅ~:ありがとうございます(笑)。それは、ピック弾きで録ったことが大きい気がしますね。僕は、ライブでは基本的に指弾きだけど、レコーディングではピックを使うことが多いんです。ライブの時はわりと強くコンプを掛けるけど、レコーディングの時はコンプで潰すのはあまり好きじゃないので。指で弾くと、最初の“ビッ!”というアタックの波形が出過ぎてしまって、確実にコンプを掛けないといけなくなってしまう。ピックで弾くと自然とコンプ感のある音になるからコンプを掛ける必要がなくて、ナチュラルで、気持ち良い音になる。それでピックで弾くことが多くて、それが今言われた弾力感に繋がっているんじゃないかなと思います。

Jun:「3 times」はコードの雰囲気がすごく僕の好きな感じで、最初にデモを聴いた時からレコーディングはどういうギターを弾いてやろうかと楽しみになりました。どんどんアイディアが湧いてきて、アプローチは困らなかったですね。それに、僕らの曲はいつもそうですけど、ギターが7人分くらい入っているんですよ。この曲もかなり本数が多いけど、それぞれのパートでギターを替えたり、ピックアップを替えたりして、全部違う音で録りました。僕はすごくこだわるタイプで、それを反映できたので、今回のレコーディングはすごく楽しかったです。それに、ギター・ソロにもこだわりたくて、何パターンか考えて、全部をあててみて、一番良いなと思うのを選びました。このソロを聴くと、僕が暑苦しいソロが大好きなことが分かってもらえると思います(笑)。

TSUBASA:この曲は、メロディーが難しかったです。なので、メロディーを身体に染み込ませるところから入って、その後感情をどう入れていくかというところで、すごく悩みました。この曲の歌詞の主人公は、“俺に着いてこいよ”というタイプではなくて、ちょっと草食系なんですよね。気持ちを伝えたいけど、どうしよう…みたいな。そういう主人公になり切らないといけないというのがあって、この曲は自分を主人公に近づける作業に一番重きを置いた気がしますね。そのために、1人でスタジオに入って、軽く歌を録って、それを聴いてみて。これはくど過ぎるとか、これだと薄過ぎて伝わらないということを客観的な耳で判断して、細かいところのニュアンスを詰めていきました。

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