ジラフポットが11月18日(水)にセカンド・ミニアルバム『Breathe and breathe again』をリリースする。シングル『Last Man Standing』リリース後の3月、メンバーを乗せた車が交通事故に遭い、何本かのライヴが中止・キャンセルを余儀なくされた。そうした逆境をはねのけ完成させた今作は、彼らの発言にもあるように、ロックファンであれば思わず微笑んでしまうような先人たちへのオマージュだけでなく、音楽への愛情がたっぷり詰まっている。しかもそれを決してマニアックに、小さなジャンルのムラのなかで鳴らすのではなく、もっと広いフィールドで鳴らそうとしている、その勢いと突破力にこそジラフポットの魅力があるような気がしてならない。今作はそうした彼らの精神性を、ラウドなバンドのアンサンブルだけでなく、多彩な楽曲のバリエーションと、ミニ・アルバムとしての構成力により提示している。

取材・文=駒井憲嗣

◆ジラフポット画像

■ギターロックバンドと言われることに疑問を持っていた

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── 今年の始めに行った前回のインタビューで「今年は攻める」という言葉が印象的でした。現時点でこのアルバムができて、その「攻める」という目標はどれくらい達成できましたか?

中野大輔(Gt&Vo/以下、中野):僕はできましたね!

関浩佑(Ba/以下、関):これからリリースされて実感すると思うんですけれど、楽曲的には以前より踏み込めたアルバムにできたと思います。たとえば「I am A」は、お客さんと一緒にシンガロングしてひとつになる、という今までなかったアプローチの曲ですし、その意味では攻めてると思います。

原田直樹(Dr/以下、原田):いろいろありすぎて……。攻めるというより、今までと違ういい作品になったんじゃないかと思います。

中野:僕は事故後のほうが明らかに、さらに攻めていました。ライヴは特にそうでした。

── それは、アクシデントがバンドを続けていくうえでの精神的な影響があったということですか。音楽へ向かう姿勢についても再確認した?

中野:ひとりひとりそれぞれあったと思います。僕はちょっと吹っ切れました。もうひとつ命をもらった、といったら大げさかもしれないですけれど、それくらいの意気込みでできるようになりました。ライヴができなかった時期は考える時間も多かったですし、ギターを触れないというので、曲の作り方も変わって。それこそライヴもサポートメンバーを入れてやっていたので、そうした環境の変化は大きく影響していると思います。

関:やっぱり今のメンバーがいい、ということを確認しましたね。

── 今回のアルバム制作は、いつぐらいから構想があったのですか?

関:当初は夏前に出して、それで夏を迎えようとしていたんです。前作を出した後のツアーをまわっているときから、次はこのタイミングで出したいという構想でした。

── このアルバムの仕上がりも違っていたかもしれない?

関:そう思います。事故があったことによって、時間的なゆとりが生まれたことで、落ち着いた気持ちでレコーディングに臨めたんじゃないかと。

原田:僕は……事故ってない自分と比較しないと分からないですね(笑)。

── 楽曲は事前に準備が出来ていたんですか?

中野:そうではなくて、新しく作った曲がほとんどです。

関:1曲だけ元ネタが最初からあったのですが、それ以外は書き下ろしです。

── では、その吹っ切れたみなさんのスピリットがきちんと入っているアルバムということですね。前作『Last Man Standing』はEPというフォーマットのなかでバンドの明るい部分と暗い部分、その2面性を表現したかったとおっしゃっていましたが、今作でイメージしていた作品像はありましたか?

中野:ロックアルバムを作りたい!といって、曲ゼロの状態で制作に入りました。結果としては、純粋なロックかと言ったら違いますが、1曲1曲ロックの伝統継承、フレージングなりコード進行なり音色、あと台詞まわしを託して入れている。そのテイストを入れているということで、1曲づつ「このバンドのこの感じ出したいんだな」というのが見えてくると嬉しいですね。そこをぜひ聴いてほしいですね。

── ロックという言葉がキーワードとして出てきたのは、なにかきっかけがあったのですか?

中野:このアルバムを作るまでは、僕はロックをしているつもりはなかったのに、ギターロックバンドと周りから言われることに疑問を持っていたんです。そう言われることを自分のなかで消化できなかった。だからあえてロックを作ろうと思ったんです。

── それは逆説的な発想ですね。レッテルを貼られることに憤りがあった?

中野:イヤではなかったんです。けれど、ギターロックバンドと言われ続けるとそれ以外の音楽をやりにくくなる。言われるのはしょうがないんですけれど。

── ということは、ジラフポットというのは、その成り立ちから、活動を続けていくなかでも、いわゆるロックと呼ばれる音だけではない、ジャンルにとらわれない音楽をやろうという意識が強かったのですね。

中野:僕のなかではそうですね。頭のなかにある曲はロック以外のものもいっぱいありますし。今後の活動のことを考えると、あまり囚われた見方をされると困るかなとも思ってるんです。

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