初期ピンク・フロイドを描き出す、傑作映像作品登場

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BBC傑作ドキュメンタリー「ピンク・フロイド&シド・バレット・ストーリー」に、未編集インタビューを収録した完全版がDVD2枚組で発売となる。ロジャー・ウォーターズ、デヴィッド・ギルモア、ニック・メイソン、リチャード・ライトの未編集インタビュー素材をすべて収録した本邦初登場の作品だ。

『ピンク・フロイド&シド・バレット・ストーリー 完全版』は、ピンク・フロイド初期のリーダーであったシド・バレットの知られざるストーリーを、本人の生前の映像やボブ・クローズ(結成時のオリジナルメンバー)を含めたバンド・メンバーらの証言で綴ったドキュメンタリー作品だ。2001年に英国BBCで制作・放映されたが、プログレッシブ、サイケデリック、ブルースなどのロックが融合した高い音楽性と、スペクタルな仕掛けのステージ、メンバーの卓越した演奏テクニック、文学的、哲学的なその世界観など、多くの面で影響力と人気を誇ったピンク・フロイドの初期に特化した傑作と、高い評価を得ていた。

メンバーの他、元恋人、プロデューサーのジョー・ボイド、写真家ミック・ロック、建築家マイク・レナード、画家ダギー・フィールズなどが登場し、様々な角度からシド・バレットの音楽やキャラクター、そして悲劇的な人生について解き明かされる。


このドキュメンタリー本編に、番組のために撮影されたピンク・フロイド全メンバーの未編集インタヴュー(ロジャー・ウォーターズ55分、デイヴ・ギルモア36分、ニック・メイソン28分、リチャード・ライト26分)も追加収録され、合計214分、DVD2枚組となって新装されたのがこの完全版だ。

アビー・ロード・スタジオで行われたロジャー・ウォーターズのインタビューでは、シド・バレットの音楽的才能や波乱の人生が語られる。幼少の頃から知り合いで、大学時代から同じバンドの仲間として活動するようになるまで、シド・バレットとの関係性が手に取るようにわかる語り口には引き込まれてしまう。またロジャー・ウォーターズ独自の作曲手法や、映画「ザ・ウォール」でのワンシーンとシド・バレットとの関係を感慨深げに語るシーンなども収録されている。

デヴィッド・ギルモアは自宅兼スタジオでのインタビューで、ピンク・フロイド加入時の率直な心情や困難さについて語るほか、シド・バレットのソロ・アルバムの制作の様子やシドのギタリストとしての才能や彼からの影響についても言及している。レコーディングでも使用したという愛器マーティンで「あたながここにいてほしい」をつま弾きながら、曲が誕生したエピソードも紹介。「コンフォタブリー・ナム」を作曲したオベーションのギターを披露する様子はファンには感涙もののシーンだ。

その他、シドが劇的に変わった出来事を赤裸々に語るリチャード・ライトや初期のプロデューサーだったジョー・ボイドとノーマン・スミスの違いについて語るニック・メイソンなど、驚きの逸話がいくつも飛び出す。そして、全員が口を揃えて“ショッキング”だったという「クレイジー・ダイアモンド」レコーディング中に現れたシド・バレットの様子が語られる件も印象的だ。

さらに、ファン代表とも言えるソフト・ボーイズのロビン・ヒッチコックはシド・バレットのミュージシャンとしての才能を解説しならがら「あたりまえ」「ドミノ」「ジゴロおばさん」を、ブラーのグレアム・コクソンは「ラヴ・ユー」と、それぞれシドの曲を弾き語りで披露する。大変興味深い作品だ。

『ピンク・フロイド&シド・バレット・ストーリー 完全版』

2015年12月23日発売
2DVD 4,000円(本体価格)+税 YMBA-10618/9
Disc 1約103分 Disc2 約111分 / 16:9 / Dolby Digital Stereo/日本語字幕付き
解説:石山栄二 for KR Advisory
発売:ヤマハミュージックメディア
販売:ソニー・ミュージックマーケティング
DISC-1
・ピンク・フロイド&シド・バレット・ストーリー
・ロジャー・ウォーターズ インタビュー
DISC-2
・デヴィッド・ギルモア インタビュー
・リチャード・ライト インタビュー
・ニック・メイソン インタビュー
・ロビン・ヒッチコック(ソフト・ボーイズ)インタビュー(3曲弾き語り含む)
・グレアム・コクソン(ブラー)「ラヴ・ユー」弾き語り

◆『ピンク・フロイド&シド・バレット・ストーリー 完全版』オフィシャルサイト
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