今最も注目され、今最も期待されるアーティストのひとり、ジェームス・ベイをご紹介しよう。

◆ジェームス・ベイ画像

第58回グラミー賞主要部門「最優秀新人賞」に加え「最優秀ロック・ソング/Best Rock Song:ホールド・バック・ザ・リヴァー」「最優秀ロック・アルバム/Best Rock Album:カオス&・ザ・カーム」の3部門にノミネートを受け、今一度改めて大きな注目を集めてる状況にある。

25歳、イギリス出身のシンガーソングライターであるジェームス・ベイは、画家としての才能も発揮しており、長い間、美術を学びたいという思いも持っていたという多彩な人物だ。ロンドンでのライヴ動画がネットに公開されたのをきっかけに、米リパブリック・レコードと契約し、デビュー・アルバム『カオス&ザ・カーム』はいきなり全英チャート初登場1位を獲得している。英ソロ・アーティストのデビュー作としては、サム・スミス以来最高の売上を記録している状況だ。

サム・スミスやテイラー・スウィフトといった若いアーティストはもとより、キース・リチャーズやロン・ウッドからも高い評価を受け、今後の活躍が大いに期待されるアーティストだ。ジェイムス・ベイ本人も「日本武道館でパフォーマンスしたい」と公言、初来日を3月に控える彼の、貴重なインタビューをお届けしよう。

──はじめまして、お元気ですか?

ジェイムス・ベイ:すごく元気だよ。ありがとう。実は、さっきショウを終えたばかりなんだ。

──そうなんですよね。ショウの後で深夜なのに、電話取材に応じて下さってありがとうございます。

ジェイムス・ベイ:大丈夫だよ、僕は元気。

──日本では、あなたの楽曲がアップル・ミュージックのCMとして流れていて「あれは誰なんですか?」という問い合わせが殺到したんです。それで早速、この取材をお願いしました。

ジェイムス・ベイ:わあ、それは嬉しいな。

──あなたのいるイギリスから遠く離れた国で、自分の音楽が注目されているのはどんな気分ですか?


ジェイムス・ベイ:素晴らしい気分だよ。オーストラリアも日本のようにイギリスから遥かに離れた国だけど、10ヶ月ぐらい前に、ラジオで僕の曲が流れていて、人気になっているって知ったんだ。それも嬉しかった。でも、僕は日本には前からすごく惹かれてて。何十年も前から、僕が好きなアーティスト達が日本に行ってショウをやっているからね。日本に行けたら、最高にラッキーだな。イギリスでは本当に沢山ショウをやってきたし、アメリカとヨーロッパにも何度も行ったことがあって、遂にオーストラリアにも行けたんだけど、「日本はまだかな?」って思ってたんだよ。さっき言ったように、僕の好きなアーティスト達はみんな日本に行ってるから。だから日本に行ってショウをやって、いい反応が得られるかどうか挑戦してみたいんだ。だから、君達の読者が反応してくれたっていうのは、すごく嬉しい。僕の音楽が日本に届いてるって、僕にとってすごく大きなことだよ。これがいい始まりになるといいな。

──出だしは絶好調だと思いますよ。今回が初めての取材になるので、これまでの経歴を教えて欲しいのですが、いつ頃から音楽にのめりこむようになったんですか?

ジェイムス・ベイ:僕は物心ついた時から音楽が大好きだったんだ。多くの人達が同じことを言ってると思うけど、3、4歳の頃から好きだったのをはっきり覚えてる。

──3、4歳?

ジェイムス・ベイ:うん、その数年後にさらに夢中になったんだけど、音楽は4歳の時からずっと聞いてた。父が大好きなブルース・スプリングスティーンとか、母が好きなソウル・ミュージック、モータウンの曲とかをね。僕の家では、ソウルとロックンロールのミックスが、いつも流れていたんだよ。でも、11歳のある土曜日の午後、父があるレコードをかけてくれたんだ。その前に僕がギターにちょっと興味を示していたから、「ちょっとこのギターを聞いてみろ、素晴らしいぞ」って。父はギタリストではないんだけど、ギターが好きでね。それで聞かせてくれたのが、1970年代のバンド、デレク・アンド・ザ・ドミノス「いとしのレイラ」だった。ぶっとばされた。その瞬間、僕は「これだ、これをやりたい。今聞こえている音楽を、僕も演奏できるようになりたい」って思った。それで、家に置いてあった古いギターを修理に出して、ギターを弾き始めたんだよ。すごく気に入った。それ以来、ギターは僕にとってなくてはならないもの、何よりも僕の音楽をインスパイアしてくれるものなんだ。その後何年もの間、ただギタリストになりたかったんだけど、そのうち作曲もするようになった。友達の間では、ギターをやりたがる人は沢山いたけど、歌も好きな人はほんの数人だった。僕はその数人の中に入っていたんだ。それで歌い始めて、最終的に曲も書き始めた。それが、僕のこれまでの旅路だよ。

──ご両親が聞いていた音楽の他に、どんな音楽に影響を受けましたか?

ジェイムス・ベイ:最近の音楽だと、アデルが大好きだよ。それから、レイラ・モンテーン、ブライアン・アダムスも大好きだね。カナダのバンド、ファイストにもいつもインスパイアされている。少し昔のアーティストでは、マイケル・ジャクソン。

──そうなんだ!

ジェイムス・ベイ:もちろん。マイケルの音楽は最高だよ。あとローリング・ストーンズにもインスパイアされてるよ。

──ザ・ローリング・ストーンズは、前座を務めたことがあるんですよね?

ジェイムス・ベイ:うん、幸運なことに、数年前にね。ロンドンのハイド・パークでの公演で、他の何人かのアーティスト達と一緒に、僕も前座に選ばれたんだ。クールだった。いい時間を過ごしたよ。でも一番良かったのは、観客としてストーンズのショウを見られたことだね。超、超、年配のバンドだからさ、今でもロックできるんだろうかって心配があったんだよ。でも、彼らは驚異的だった。シンプルで直球の素晴らしいロックンロール・ミュージックだったよ。素晴らしいバンドだよ。

──そうですよね。音楽を始めてからレコード会社との契約を結ぶまでの道のりはどうでしたか?大変でしたか?

ジェイムス・ベイ:楽ではなかったね。レコード会社の目に留まることが簡単じゃないんだ。いいアーティストであることは必須だけど、誰もが認めるいいアーティストのルールなんて存在しないし、見つけてもらうためには、運も必要なんだ。誰も彼もがデビューできないのは、それが理由だよ。だから、長い時間がかかったよ。僕は何年もの間、イギリスのあちこちのオープンマイク(出たい人が誰でも参加できる)のショウでプレイしていた。ある時、ロンドンでのオープンマイク・ショウに行ったんだ。そこに大きなビデオカメラを持って来ていている人がいて、後から聞いて知ったんだけど、プロのカメラマンで、仕事帰りにパブに寄ったんだって。彼が僕の曲を一曲撮影して、それをYouTubeにアップしてくれたんだよ。ショウの後、彼にどう思ったか聞いてみたんだ。自分がいいアーティストなのかどうか知りたかったから。彼は僕の音楽を気に入ってくれてて、嬉しかった。そのビデオを見たいくつかのレコード会社が、連絡をくれたんだ。ビデオの再生回数は、大したことなかったんだよ。でも、その中に僕と契約してくれたリパブリック・レコードがいたんだ。ビデオを見つけて連絡をくれて「君の曲を聞いてとても気に入ったから、ぜひ君に会いたい。ニューヨークに来て欲しい。もっと曲を聞かせてもらいたい」って、ニューヨークに僕を呼んでくれたんだ。それで、契約を手にしたんだよ。

──そして、あなたのデビュー・アルバム『カオス&ザ・カーム』がリリースされました。このアルバムの制作はいかがでしたか?

ジェイムス・ベイ:去年、アメリカのナッシュビルに行って制作したんだ。僕はキングス・オブ・レオンの大ファンなんだけど、僕が一番好きな彼らのアルバム『カム・アラウンド・サンダウン』をプロデュースしたジャクワイア・キングが僕のビデオを見て「すごくいい!」って気に入ってくれて、一緒に仕事することになったんだ。彼、ナッシュビルに住んでるんだよ。それでナッシュビルのブラックバードスタジオっていう素晴らしいスタジオで、レコーディングしたんだ。僕が大好きなアルバムも、そこでレコーディングされたんだよ。

──作詞と作曲は同時に書いているんですか?

ジェイムス・ベイ:曲によって変わるけど、大抵そうだね。同時に出てこない時は、まず曲のアイディアを考えてから、歌詞をつけてる。

──『カオス&ザ・カーム』というタイトルにしたのは、どうしてですか?

ジェイムス・ベイ:『カオス・アンド・ザ・カーム(カオスと静寂)』っていうのは、僕の精神状態を言い表してるんだ。作曲をしている時とか、ここまでに至る道のりでのね。全ての曲は、僕の18歳から24歳までの人生に関する曲なんだ。全てが、僕の経験にインスパイアされたストーリーなんだよ。だから、それを集約する言葉として、『カオス・アンド・ザ・カーム』にしたんだよ。

──あなたの書く歌詞は、あなたの音楽と同じように美しくて誠実だと思います。

ジェイムス・ベイ:わあ、どうもありがとう!。

──「ホールド・バック・ザ・リヴァー」も本当に美しい曲なので、多くの人達が虜になってしまったんだと思います。この曲は、どんな風にして生まれたんですか?


ジェイムス・ベイ:ありがとう。どうやって書いたんだったかな?この曲は2年ぐらい前に書いたんだ。その頃、僕は突然忙しくなって、そんなに多忙になったのは、初めてのことだった。まあ、今の方が忙しいけど、今は慣れたからね。2年前に初めて、アメリカに何度も行くようになって、イギリス中を移動して、他の人達と一緒に作曲したりレコーディングしたりして、ショウも一杯やって。ツアーを終えてロンドンに戻ったら、またすぐにツアーに出ていた。僕は長い間サポート・アクトをやっていて、それも前座として回ったツアーだったんだけど、そのツアーの後、ロンドンで初めてのヘッドライナー・ショウをやったんだ。100人ぐらいしか入らないパブなんだけど、観客の中心は僕の家族と友人達だったから、僕はすごく興奮してた。その後も予定は詰まってたけど「今夜はみんなに会える、素晴らしい時間になるだろうな」ってね。そして、その夜は本当にあっという間で、瞬きをする間に過ぎ去った。その翌日、僕はデモをレコーディングすることになっていて、スタジオに行ったんだ。その時の僕は、前夜のショウで僕の目の前にいるみんなを見て、みんなのことを恋しく思っていたことに気づいて、少し感傷的になっていた。「ホールド・バック・ザ・リヴァー(川の流れをせき止めて)」っていうのはちょっとした比喩で、このクレイジーな忙しさを止めて、自分のペースを取り戻して、僕が一番大切に想っている人達との時間を過ごしたいっていうことを言っているんだよ。それがこの曲のストーリーだよ。

──ラブ・ソングだと思っていたんですが、典型的なラブ・ソングではないんですね。

ジェイムス・ベイ:ちょっと違うタイプのラブ・ソングだよ。僕が一緒に育った人達に対する愛だからね。

──素敵ですね。どの曲も素晴らしいですが「クレーヴィング」の情熱的な歌詞が特に印象に残りました。この歌詞は何にインスパイアされたんですか?

ジェイムス・ベイ:子供の頃は家にいるのが大好きで、旅には興味がなかったんだ。僕はヒッチンっていう小さな町で生まれ育ったんだけど、ヒッチンの外に出たいなんて思ったことがなかった。でも、19歳の時に突然、ヒッチンだけで音楽をやっているわけにはいかないって気づいた。音楽で成功したいなら、イギリス全国を回って、世界を回らなきゃって思ったんだ。その「外に出よう、この場所以上のことを見つけよう」って切望する気持ちが、「クレーヴィング(切望)」をインスパイアしたんだよ。

──アルバムの中で、特に誇りに思っている曲はありますか?

ジェイムス・ベイ:それは一番難しい質問だな。僕の曲は全部、僕の子供みたいな存在なんだ。全員、平等に愛している。全曲、誇りに思っているよ。

──このアルバム全体を通して、何かリスナーに伝えたかったことはありますか?

ジェイムス・ベイ:僕自身が音楽を聞く時に望むことは、ただ心を動かされることなんだ。何かを感じたい。だから僕も、リスナーの心を動かしたい。ハッピーになるか、悲しくなるかは問題じゃなくて、ただ感動して欲しい。音楽に必要なのは、それだけだと思う。一番大事なのは、何かを感じてもらうことなんだ。僕はそう思っているから、そういう音楽を作っていきたい。

──アーティストとして、これから達成したい一番の夢は何ですか?

ジェイムス・ベイ:永遠に音楽をやり続けること。そして、世界中でプレイしたいよ。

──ローリング・ストーンズみたいに。

ジェイムス・ベイ:うん、ストーンズ、ブルース・スプリングスティーン、マイケル・ジャクソン、数々の大物アーティスト達のようにね。人々が大好きになってくれて、共感してくれる素晴らしい音楽を作り続けて、その音楽を世界中でプレイし続けたい。日本でも、他の国々でも、永遠にね。

──早く日本でも公演を行って欲しいです。日本について何かご存知ですか?

ジェイムス・ベイ:いやー、ぶっちゃけると、僕の好きなアーティスト達が日本によく行って楽しんでいることしか知らないんだ。でもそのアーティスト達が取材で「日本はどこよりも面白い場所だ」って言うのを読んでいたから、日本でプレイしたくてたまらないんだ。

──ロンドンとかで日本食を食べたことはあります?

ジェイムス・ベイ:いや、それすらなくて。アメリカで一度、日本食っぽいものを食べたことはあったかも。だから日本で本物の日本食を食べたいよ!。

──来日したら、ぜひ沢山食べて下さい。ところで、あなたの定番の帽子姿はユニークでクールですけど、音楽をやっていない時も、帽子をかぶるのが好きなんですか?

ジェイムス・ベイ:ありがとう。帽子は大好きなんだ。ショウでも、ベッドの上でも帽子をかぶってて、かぶっていない時がないんだよ。一番大好きなものだよ。

──へええ。子供の頃から?

ジェイムス・ベイ:いや、19歳ごろかな。夢を見たんだよ。天のお告げみたいに、知らない人が話しかけてきて、「帽子をかぶれ」って言ったんだ。それで「分かった。帽子をかぶるよ」って。それで帽子をかぶったら止められなくなって、大好きなんだ!。

──面白すぎます。では最後に、日本のファンにメッセージを。

ジェイムス・ベイ:日本のファンのみんな!僕のファンが日本にいるなんて、信じられないよ。僕の音楽が日本に何らかのインパクトを与えているって、最高にクールだよ。だから、僕がプレイしに行くまで待ってて。僕の音楽を聞いてくれて、本当にありがとう。

ジェイムス・ベイ『カオス&ザ・カーム』

2016年2月5日発売
UICU-1272 ¥2,500(税抜)+税
1.クレイヴィング / Craving
2.ホールド・バック・ザ・リヴァー / Hold Back The River
3.レット・イット・ゴー / Let It Go
4.イフ・ユー・エヴァー・ウォント・トゥ・ビー・イン・ラヴ / If You Ever Want To Be In Love
5.ベスト・フェイク・スマイル / Best Fake Smile
6.ホエン・ウィ・ワー・オン・ファイア / When We Were On Fire
7.ムーヴ・トゥゲザー / Move Together
8.スカーズ / Scars
9.コライド / Collide
10.ゲット・アウト・ワイル・ユー・キャン / Get Out While You Can
11.ニード・ザ・サン・トゥ・ブレイク / Need The Sun To Break
12.インコンプリート / Incomplete
Bonus tracks
13.スティーリング・カーズ / Stealing Cars
14.クロックス・ゴー・フォワード / Clocks Go Forward
15.スパークス / Sparks
16.ウェイト・イン・ライン / Wait In Line
17.ランニング / Running
18.ヒア・ユア・ハート / Hear Your Heart

<ジェイムス・ベイ初来日公演>

2016年3月2日(水)
@梅田クラブクアトロ
2016年3月3日(木)
@六本木EXシアター
http://www.creativeman.co.jp/artist/2016/03jamesbay/