【インタビュー】PUSHIM「歌う前にちゃんとやってくるんですよ。いろんなドラマが」

▲『F』ジャケット

■すごい近い人には、キモっ！て思われるんやろな、と（笑）
■本当に近い仲間と作った

――今回も、いい恋の歌がありますよ。

PUSHIM:気持ち悪いですよね（笑）。

――何言ってるんですか（笑）。

PUSHIM:すごい近い人には、キモっ！て思われるんやろな、と（笑）。でもそんなことも考えてられへんから、書く！みたいな。そういうアルバムです（笑）。

――たとえば「A Little Love」のような、初々しい、ピュアな、少女のようなラブソングもあれば、「MATTAKU」のような、けっこうな恋愛キャリアを重ねた男女の（笑）。ケンカのあとの不安や愛しさをリアルに描いたものもあり。ラブソングといってもいろいろあるんですが。

PUSHIM:全部はしてないです（笑）。でも、それが経験であれ想像であれ、曲が面白くなったらいいんですよね。たとえば「A Little Love」のようなピュアな曲も、初めてPUSHIMを聴く十代や二十代の人が、「あたしの気持ちと一緒」と思ってくれたら、すごくいいことやなと思うし。

――ですね。

PUSHIM:「MATTAKU」もそうですね。こういう男女のやりとり、ケンカ、攻防のようなものを歌にして、面白くもせつないものにできたらいいなと思って。韻シストのベースのShyouくんの声がすごく素敵なので、彼と作るならこういう歌を作ってみたいなと。

――韻シストやHOME GROWNや、参加メンバーはいつものお仲間ですよね。

PUSHIM:そうです。今回は、本当に近い仲間と作ったんですよね。

――その中でも、MUROさんが作ったリードトラック「Feel It」の、キャッチ―なディスコ・レゲエのパワーはほんとすごいです。これはどういうふうに作っていったんですか。

PUSHIM:MUROくんと作ろうということになって、いつもの制作スタッフ、メンバーと話している時に、「ディスコ・レゲエをやったら面白いかも」と。今までとは違うものを作ってもらおうということで、自分のイメージを彼に伝える中で、「Feel It」のトラックが返ってきました。本当にすぐメロディがついて、そのあとすぐ歌詞も全部できあがりましたね。

――こういう曲は今の時代に合ってるし、みんな踊れるだろうなとか。狙いみたいなものはあったんですか。

PUSHIM:そこ、何にも考えてなかったですね。ただただ、聴いて、「うわ、めっちゃカッコいい」と思って作っただけで。作ってる過程の中で、クラブでかけてほしいね、踊ってほしいねという話にはなるんですけども、トラックを作ってもらう前や、最初に聴いた時は、ただただカッコいい、これはアガるなという、それだけで浮き浮きしてましたね。

――最高のトラックです。音はめちゃ現代的でハイファイですけど、80’sの、マイケル・ジャクソン的なブラック・ポップの感じもあるし、もうちょっと前のEW&Fとか、マーヴィン・ゲイのようなニューソウルとか、さらに60’sのロックンソウルみたいな感じもあって。いろんなものが聴こえてきて、本当にいい曲だなと。

PUSHIM:自分にはとても新鮮なオケではあったんですけど、メロディを作ってる時に、自分が聴いてきたソウルであったり、ジャズであったり、そういうものにシンクロする部分もあって。楽しかったですね。

――やっぱり。あと、BUZZER BEATSのSHIMIさんがすごくいい仕事してます。曲調がびっくりするほど多彩で、「A Little Love」のようなシンプルな柔らかいレゲエから、へヴィでクールな「People In The Shadow」とか、いろいろあって。これはもう、お任せで？

PUSHIM:はい。つきあいが長いので。久々にスタジオに入った時に、「PUSHIM用にこんなオケ作ってたんです」みたいなものもあって、ほかにもいろいろ聴かせてもらって。今回のアルバムはSHIMIくんがいなかったら成立しなかったんですよ。レコーディング（・エンジニア）もほぼ彼がやってくれたので。

◆インタビュー（3）へ