【ライブレポート】チキパが90分ノンストップ『地獄の黙示録』公演。BPM1.5倍のカオス

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2015年11月から3ヶ月連続で行なってきたCheeky Paradeの定期公演。そのラストとなる『地獄の黙示録』公演が、1月15日、ニコファーレにて開催された。

◆チキパ 『地獄の黙示録』公演 画像


この3ヶ月の定期公演の中でも一番の集客ではないかというほどに、ファンが詰めかけたこの日のライブ。まずは前説として、これまでの定期公演同様に、スティーブン・島崎バーグが助手のあさみちゃんを連れて登場。年が明けて肩がさらに隆起し、ジャミラかカオナシかというシルエットに成長したスティーブン。その独特な語り口調で、あさみちゃんのアバンギャルドなイラストを使って、今回のコンセプトとなった映画『地獄の黙示録』の見どころを観客にプレゼンしていく。もっとも『地獄の黙示録』は戦争映画であり、また“アバンギャルド(avant-garde)”も最前線の部隊を示すフランスの軍事用語(vanguard)から転じて芸術に使われるようになったという点では、あさみちゃんのアバンギャルドなイラストは、今回のテーマにもマッチしていたのかもしれない。

今回のライブはすでに告知されていた通り、チキパが持ち歌すべてを披露する90分ノンストップライブ。チキパも観客も、もし体力が途中で尽きたならば、そこからは地獄が待ち構えていることになる。

ワーグナーの「ワルキューレの騎行」をモチーフにした「SINFONIA」が鳴り響き、ステージ背面のLEDディスプレイでは01:30:00から残り時間を示すカウントダウンがスタート。そして山本真凜を中心に小生意気なプレッシャーを感じさせての「CANDY POP GALAXY BOMB!!」。1曲目ということで、9人もまだまだ余裕の表情を見せている……かと思いきや、楽曲後半にはリーダー・関根優那がすでに息切れ気味。

ライブは冒頭から予断を許さない状況となっていた。

※01.16 22:55追記:本人の名誉のためにつぶやきを埋め込んでみました(笑)

さらに「片想いファクトリー」で溝呂木世蘭をはじめ、可愛いチキパを演出するが、この曲も踊りっぱなし。続くアッパーチューン「チェケラ」では、後半ヘビメタverへと移行し、激しいビートが会場を揺らす。十分温まったところで「チィキィ ファイター」のゴングが鳴る。これが合図だったかのように、肌には汗が滲んでいよいよチキパもトップギアへ突入。「カラフルスターライト」で会場をこれでもかと煽れば、オーディエンスもハンズアップで熱狂していく。

コールが激しさを増せば、これに反応して熱いパフォーマンスで魅せていくチキパ。残り1時間を切る「GloryDays」でタオルを全力で回すと、永井日菜もパワフルなシャウトを聴かせ、小鷹狩百花は、カメラにキス。


「Together」では、鈴木真梨耶が突然「ねえ、ちょっとさ、“あー”って言ってみて。」と、客席に呼びかける。「あー」と声を返す観客。すると真梨耶、「全然声枯れてないじゃん! もっと声枯れるくらい叫んでよ!!」とまさかの激昂。そんな真梨耶のアドリブに「まりやっほー!」から始まるコール・アンド・レスポンスがいつもに輪をかけて大声援へと変わる。この展開には、チキパからも笑いが漏れ、ライブの折り返し地点というなかなかキビシイ時間帯はチキパらしく楽しく、笑顔で乗り切っていた。

すっかり汗だくになりながらも「Challenger」で、<待ってろ“未来”!>と歌いあげれば、「無限大少女∀」で、髪を振り乱し、重力を無視する手加減なしで限界ラインを越える。そして“ここからは渡辺亜紗美のターン”と言わんばかりに「キラキラ☆ホリデー」「絶対! Love Magic」「あこがれストリート」「Peace! Smile Girl」と、ストリート生時代の曲をとりわけ可愛くパフォーマンスすると、続いたのは、前回の定期公演で初披露された「faith」。“どんなときも笑顔でいられますように”と、遠く離れた仲間のことを信じ、元気づけるこの曲こそが、進化の途中にある2016年のチキパの最新形。ひとりひとりが願いにも似た思いを込めて歌いあげていく姿は、力強くもあり、同時に優しくもあった。

「みんな! ちょっと静かすぎない?」と、今度は鈴木友梨耶が会場に呼びかける。そもそも「faith」のような聴かせる曲の後にこんなことを言われても……と思うところではあるが、そんな“強引さ”は鈴木姉妹よく似ている。そして、この煽りが終盤、ニコファーレが会場から戦場となり、観客を地獄へと誘うことになる。

「Understand !?」と真梨耶のシャウトからスタートする、チキパ史上最もBPMの速い曲「C.P.U!?」。腕を突き上げて興奮と熱狂がフロアを支配すると、チキパもステージを縦横無尽に走り回る。そして曲が終了……と、思いきや、再び、あのイントロの打鍵音。そして真梨耶が「みんな~。速くなったよ~。」と、なんだか嬉しそうに囁く。観客の誰もが想定外だったBPM×1.5倍ver「C.P.U!?」が始まると、島崎莉乃は真梨耶のお決まりのフレーズ「Understand !?」を横取りして、真梨耶は唖然。泥沼化の様相をみせるこの戦場にて、観客のコールすら追いつかない、9人も歌っているのか早口言葉を披露しているのかどうかすらよくわからないカオティックな展開が繰り広げられ、これはもう笑うしかない。しかしながらこの1.5倍速パフォーマンス、ライブを武器にするチキパのステージ上での魅力を存分に引き出すことに成功しており、そのインパクトと破壊力は過去最強レベル。奇想天外なこのリーサルウェポンを投入した後の「M.O.N.ST@R」に、バラードのような感覚(速いテンポに慣れることで起こる錯覚)を覚えながら<僕らがNo.1>とチキパが歌えば、これはもう確かにある意味No.1だと認めざるをえない。

もしかしたら(制作サイドを含めた)彼女たち、地獄の中で“1.5倍速ver”という新しい武器を手にしてしまったのかもしれない。

ラストは、みんな清々しい表情を浮かべながら、最後の力を振り絞ってデビュー曲「Cheeky dreamer」で一気に畳み掛ける。そしていよいよ終了へ向けてのカウントダウン。背面のLEDが00:00:00を示した瞬間、ニコファーレは大きな歓声と喝采に包まれた。


「さすがに疲れたね。」
「でも楽しかった。」
「みんな途中白目になってたよ。」
「あさみん白目だったよ。」
「友梨耶「C.P.U!?」でのドヤ顔やばかったんだけど(笑)」
「その前に、なんで莉乃「Understand!?」言ってるの!」
「2回めの、1.5倍速の時に……」

90分ノンストップライブを終えて、途中に一切盛り込まれなかったMCコーナーぶんを取り返すように口々に話し始める、小鷹狩を除いた8人。なお小鷹狩はというと、「90分間ですね、あのー、いい汗かいたっていうのと……やっぱり、もうこれ以上増やさないでください。120分とかやめていただければ、私は幸せです。」と、見事なまでに疲労困憊。一方で、まだまだ余裕ありそうなオーディエンス。溝呂木世蘭からは「今度はファンの人たちが疲れるセトリ考えようよ!」という提案まで飛び出した。

また本公演が2016年最初のライブだったことに鈴木友梨耶が「これが今年初めてのライブじゃん? なんか90分ノンストップで始まるチキパっていいな。チキパらしいな。」と触れ、チキパと会場に詰めかけた観客だけでなく、ニコ生で視聴していた人たちにも(観ていただけなのに)謎の達成感を与えながら、公演は幕を下ろした。

チキパは1月17日、中野サンプラザで行われるiDOL Streetのファミリーライブ<iDOL Street Carnival 2016~新春!開運!歌祭り!~>に出演。シングルタイトル曲「SKY GATE」の初披露がここでなされるのかもしれない。

text by ytsuji a.k.a.編集部(つ)

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