【ライブレポート】藤田麻衣子、原点でもある鍵盤弾き語りで最新アルバム『恋愛小説』からの楽曲を披露

2015年12月2日に発売された2ndアルバム『恋愛小説』を提げ、1月23日に有楽町よみうりホールにて、藤田麻衣子が2016年初となるソロライヴを開催した。

◆藤田麻衣子～画像～

ライヴ当日は雪の予報もあり天候が心配されていたが、そんな空模様もどこ吹く風。会場は超満員のファンで埋め尽くされた。ステージ上にはグランドピアノとキーボードの他、ソファ、ルームライトなどが置かれ、床にはシックなカーペット。まるで藤田の家のリビングで行われるプライベートコンサートのような雰囲気だ。


2016年は、藤田が最初のシングル「恋に落ちて」をリリースしてから10年目に当たるということで、スタートはその記念すべき第一歩を飾った「恋に落ちて」から。澄んだ藤田の声だけが会場に響き渡り、場内の全員がその言葉のひとつひとつに集中して聴き入っている。

初期の楽曲から一転して2曲目には最新シングル楽曲の「おぼろ月」。彼女自身は、「10年の時を経て書いたのに、そんなに進化が感じられなかったね(笑）」と、コメントしていたが、むしろ10年の活動の中で、その芯はスタートの時からブレていなかったことがわかる曲順だ。彼女は現在、「女心の代弁者」とも言われる女性シンガーソングライターに成長したが、リスナーに音楽を届け始めたその瞬間から、もうその肩書きは彼女に備わっていたのだ。


この日のライブは、彼女の原点でもある鍵盤弾き語りで、最新アルバム『恋愛小説』からの楽曲が中心だったが、「奇跡的に1、2、3が並んだ日」ということで、前半のラストは2012年にリリースされた5thアルバム『1%』から「1.2.3」。いつもなら、会場が揃って一斉にジャンプする演出があるのだが、会場の都合で背伸びに変更。それでも、オーディエンスの歌声の大きさに盛り上がって藤田が「飛ぶよ～！」と呼びかけてしまう場面も。

15分休憩後の後半戦は、ダウンスタイルのヘアにロングスカートというしっとりしたいで立ちで登場した藤田。楽曲は彼女の真骨頂であるバラードが中心となった。


両親へ贈るウエディングソングとしてもジワジワと人気を高めている「手紙～愛するあなたへ～」では、客席で感動して涙を流している人もチラホラ。藤田が両親への想いを綴ったリアルな言葉が胸にジンワリと染みる。続いて、「少し昔を回想していく曲」というテーマで「この白い雪と」「井の頭線」を演奏。本編のラストは「恋愛の歌を最後に歌いたい」ということで、最新アルバム『恋愛小説』から「you」を披露した。

彼女のライヴはバラードが続いても、それぞれの楽曲のストーリーに引き込まれ、最新アルバムのタイトルの通りに小説を読んでいる気分になるので、まったりしない。この楽曲の登場人物にはこれからどんなことが起こるのか、一曲一曲の主人公のその後にも想いを馳せてしまうくらい想像力が掻き立てられる。後半戦のバラードゾーンは、まさにそんな彼女の音楽の魅力を存分に味わえるような内容だった。


アンコールでは、「今日もいろんなところから来てくださっていると思いますが、今度は私がみなさんの街へ行きます！」と、47都道府県を回る全国ツアーを開催することを告げた。まずは4月22日の神奈川県・横浜赤レンガ倉庫での公演が決定しているが、これから徐々に発表していくとのこと。「今日燃えてるから、この元気をみなさん持って帰って！」と、ラストは彼女からのエールがたっぷり詰まった「泣いても 泣いても」で幕を閉じた。アニバーサリーイヤーのはじまりにふさわしい特別なライヴ。47都道府県を回るツアーが楽しみだ。


取材・文●大橋美貴子
写真●宮家和也

■藤田麻衣子 弾き語りLIVE 2016 ～恋愛小説～　セットリスト
日時：2016年1月23日（土）16:30開場 / 17:30開演
会場：有楽町よみうりホール (東京)
1. 恋に落ちて
2. おぼろ月
3. 家族になれる人
4. 魔法使いが現れそうな夜
5. カモフラージュ
6. この恋が終わるまで
7. 火曜日、聞かなきゃよかった話
8. 1.2.3.
9. あなたに恋して
10. 恋時雨
11. 手紙 ～愛するあなたへ～
12. この白い雪と
13. 井の頭線
14. you
Encore1. 伝えたい言葉
Encore2. 泣いても 泣いても