【インタビュー】ZAQ、「賛否両論あるだろうけど少しでも風穴をあけられたら」

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2012年にアニメ『中二病でも恋がしたい!』のオープニングテーマ「Sparkling Daydream」でデビューを果たしたアニソンシンガーZAQ。2月3日にリリースされる「hopeness」でシングルは10枚目を数える。タイトル曲は士郎正宗×六道神士×Studio五組のクリエイターチームで送る近未来バディアクション『紅殻のパンドラ』のオープニング主題歌。この新作を手がかりに、ZAQというアーティストを改めて探る。

◆ZAQ~画像&映像~

■アニソンって音楽の要素が全部入っているしテンポが速くてめまぐるしいのも面白い
■転調、転調で、ストリングスも鍵盤もありえないほどの輝きを放っていて


――「hopeness」は10枚目のシングルではあるんですが、改めてZAQさんの音楽ヒストリーを伺いたいと思います。3才の頃からピアノをやってたそうですね。

ZAQ:姉が先に習っていたので、「じゃあ、妹もやってみる?」っていうくらいのテンションだったんですよ。でも、姉たちは、妹の才能に嫉妬してやめてしまいました(笑)。

――子供の頃から音楽的な才能があったんですね。

ZAQ:そうみたいです(笑)。姉たちがそんな感じでやめてしまったので、逆に私はプレッシャーでピアノがやめられなくなってしまって。中学でも吹奏楽部に入って、そこでもピアノを続けていたんです。高校も音楽科に進学し、そこでもやっぱりピアノを続けて。

――当然、将来は音楽を職業にしようと思ってたわけですね?

ZAQ:高校時代はクラシックのピアニストになるって決めていました。小さい頃からクラシックのピアノが大好きで、コンサートも毎週のように行っていたくらい。でも、中学、高校時代はダンスミュージックがすごい流行っていたし、ヒップホップを聴いてました。TLC、Destiny’s Childが全盛期だったので、姉の影響もあって、そういう音楽も聴きました。

――その時期ですね。他にもルーツの中にはロックもあるんですよね?

ZAQ:クラシックをやりつつバンドをやってるクラスメイトもいたんです。GOING STEADY、 BRAHMAN、ELLEGARDEN、Hi STANDARDとか、青春パンクやインディーズバンドがすごい流行っていましたね。自分が洋楽を聴いてるのが恥ずかしいくらい、そういうロックが周りで流行っていて。


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▲「hopeness」【アニメジャケット盤】
©2016士郎正宗・六道神士/KADOKAWA 角川書店/紅殻のパンドラ製作委員会

――なるほど。学校ではクラシックを学んで、プライベートでは当時、洋楽の王道だったダンスミュージック、あとロック、いろんなルートで音楽を通ってきているんですね。

ZAQ:そうなんです。クラシックは学業としてやらなきゃいけないものでもあったので、真面目にピアノをやっていたけど、傍ではいろんなジャンルを聴いて、友達に合わせるためにJ-POPも聴いていました。だから、私にはベーシックとなるものがいろいろあるんです。でも音大に進学したら、周りのあまりの上手さに驚いてやさぐれてしまって…(笑)。自分があまりにもピアノが下手だってことで、ついていけなくて本当に落ち込んで。自分には音楽の才能はない、ピアノの才能もないって、クラシックはもちろん、洋楽も邦楽も一切聴かなくなって、大学も行かず引きこもってました。

――もう音楽自体を捨てようかなっていう感じ?

ZAQ:そう。もう私はピアニストにはならないって。

――音楽に挫折をしたんですね。

ZAQ:そう……まさしく挫折ですね。ピッチのあるものは聴きたくなかったし。

――音楽を一回捨てようと思ったのに、やっぱりまたそこに戻ってしまうきっかけは?

ZAQ:引きこもっていた私を友達が「最近、暗いよ」ってクラブに誘ってくれたんです。それがハマッてしまって、「楽しい~~!」ってなっちゃったんですよ。私がクラブミュージックにハマりはじめた頃はピットブルの全盛期。リアーナも出てきて。それまでもダンスミュージックやR&Bやヒップホップは好きだったんです。けど、クラブミュージックを肌で感じるようになったのはクラブに通い始めてからです。だから、クラブは遊びに行くというよりも、純粋に音楽を聴きに行くという感じで。クラブに通いはじめた当初は「音楽で生きていこう」とは思っていませんでしたが、音楽の楽しさに気づかせてもらったというのは大きかったです。それからはまた大学にもちゃんと通うようになりましたし。

――一度は音楽から離れたからこそ、クラブに行って「やっぱり自分には音楽なんだ!」って気づいたっていうことですよね。歌はどのタイミングではじめたの?

ZAQ:二十歳を過ぎたくらいの時に、テレビで今のレーベルの先輩でもある茅原実里さんのテレビCMが流れていて。「アニソンってめっちゃかっこいい!」と思ったんです。それで、CDを全部買って、そこでアニソンの楽しさに目覚めてしまったんです。アニソンって、これまで聴いてきた音楽の要素が全部入っているし、テンポが速くてめまぐるしいのも面白くて。転調、転調で、ストリングスも鍵盤もありえないほどの輝きを放っていて。で、茅原実里さんのライヴに行った時に、私も歌いたいと思うようになって。

――きっかけはライヴだったんですね。

ZAQ:はい。ライヴで面白かったのはお客さん。ステージに向かって、すごい大きな声を上げていて、最初はポカーンとするしかなかったんですけど、隣にいた茅原実里さんファンの男子高校生が私にサイリウムをくれて、「一緒に盛り上がりませんか?」っていうんですよ。「いいですね!」って、そこから私も一緒に盛り上がったのがすごく楽しくて。その時に、ステージ側から客席の風景を見てみたいなぁと思ったのが歌を始めたきっかけですね。「アニソンって面白い!」って、私のように思う人を増やしたいと思ったんですよ。同時に、これまで培ってきた自分の音楽経験を自分の作品として落とし込めないかなということで、作曲もするようになったんです。

――アニソンシンガーを目指してからはどんな活動をしていたんですか?

ZAQ:いろいろやっていました。ヒップホップが好きだったから友人とユニットを組んでラッパーとしても活動をしていたし、クラブでの友達のつながりが多かったから、R&Bの楽曲を作って、インディーズで活動していた友達のR&Bシンガーに歌ってもらったり。アニソンシンガーを目指すにしても、歌えるだけじゃなく、曲も書きたいからって「曲を書かせてください」ってお願いして。

――修行期間ですね。

ZAQ:まさに。当時、ヒャダイン(前山田健一)さんが台頭してきて目標になりました。私自身、劣等感の塊だったから、楽曲作りから作詞、編曲、とにかくなんでもできる人にならなきゃって必死だったんです。最初はMACに入ってるソフト「ガレージバンド」を使って曲作りをしてたんですけど限界がきちゃって。その時に姉がLogicを買ってくれたんです。

――Logicって、すごい高い音楽ソフトですよね。

ZAQ:はい。5万円くらいするんですよ。それを送ってくれて。Logicで作った曲をお姉ちゃんに送ったら「すご~い!あんたは才能ある! 絶対作曲やるべき!」って褒めてくれてくれたのが自信になっていったんです。ラッパーとしても評価を受けて、それも自信になりました。私はラップもできるし、R&Bもできる、楽曲も作れる!ってことで、肩書きもどんどん増えて。そうこうしているうちに、ヒャダインさんが動画サイトでオーディションをやるというので、投稿したらファイナリストまでいったんです。結局、優勝はできませんでしたが、現在所属している会社のプロデューサーが「面白いね」って言ってくれて。最初は作家としてデビューして、今に至るという感じです。

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